書名 「サーカス研究」
著者 蘆原英了 出版社 新宿書房 出版年 1984
何十年ぶりかで読む。いまでも読んでも古さを感じさせない。それは蘆原さんが間違いなく、サーカスをこよなく愛していたからだと思う。小父である小山内薫に大学でドビュローをやるように言われ、ドビュローをテーマに卒論を書き、これも小父の藤田嗣治からパリで見たサーカスや道化師の話を聞いて、サーカスに惹かれていくというところから始まっているという筋金入りなのである。ここには雑誌やパンフレットに書いたエッセイや、講演記録が収められているが、そのどれもいずれサーカスについてはまとめたいということを書いたり、言っている。資料を集め、その準備をしていたのに志半ばで実現できなかったということなのだろう。特に氏が書きたかったのは、クラウンのことだったようだ。今回再読して、すごいなあと思ったのは、グロックとフラテリーニ三兄弟の生の演技を実際に見ていることである。うれしいことに演じたネタについても書いてある。
私も一度見せていただいたことがあるが、蘆原英了コレクションの中でもサーカス資料はいまは国会図書館の本館にある(私が見たときは上野の別館)が、だれかこれを利用した人たちはいるのだろうか?いまは調べることはできないだろうが、一度いかないといけないだろう。特に気になるのは道化師について日本に初めて来た海外サーカスについてのメモをとった20数冊のノートである。