読み直そうと思って本棚から取り出した本の中に画家岡部文明さんの「ピエロよ永遠」の一冊が入っていた。日本の道化師について書かれた本をこの機会にまとめて読もうと思っていた。去年赤レンガ倉庫で見た岡部さんの個展はおよそ200点近くのクラウンの絵が一同に会した素晴らしい展覧会だった。オープニングセレモニーで岡部さんが長年クラウンの絵(岡部さんはピエロと呼ぶ)を描いてきて最近やっと道化師とは何なのかわかってきたような気がすると挨拶されていた。岡部さんの展覧会の最後のコーナーに飾られた絵がとても素敵だった。ここに岡部道化師の世界の集大成があるのではないかと感じた。それを一度岡部さんから聞いてみたいと思った。そんなとき3月末だったと思うが、おもいがけなく岡部さんからメールが来た。私が勝手に送りつけている「デラシネ通信」号外への感想だった。その中で共生という言葉に反応されて、このことについて岡部さんの思うことが綴られていた。いま自分がとりかかっている道化師についての論考で、岡部さんのお話も聞かないとと思っていた。そんな時岡部さんの奥さんから岡部さんが4月23日に肺炎で亡くなったというお知らせが届いた。コロナではなかったが、容態が急変して、わずか一日の入院で亡くなったということだった。二日前には絵筆さえにぎっていたという。どう言ったらいいのかわからない、言葉を見つけることができない。ただいまはご冥福を祈るだけである。ご遺族の方には申し訳ない言い方になるが、去年あれだけの展覧会を見れたことは自分にとってはよかったと思っている。道化師とは何なのか、あそこには岡部さんの答えがあったように思える。
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