デラシネ日誌

私の本業の仕事ぶりと、日々感じたことをデイリーで紹介します。
毎日に近いかたちで更新をしていくつもりです。

オクス博士の幻想

2012-08-14 19:15:26 | 買った本・読んだ本
書名 オクス博士の幻想
著者 ジュール・ヴェルヌ 翻訳 窪田般弥 出版社 東京創元社(創元推理文庫) 出版年 1970

メリエスのつくった映画のDVDを購入して見ているうちに、ヴェルヌがまた読みたくなり、まだ読んでいない本をネットで探し、8冊ほど購入した。またのんびりと読んでいこうと思っている。
この作品は珍しく短編を三つ集めたもの。「オクス博士の幻想」は、幸福にのんびりと暮らしていた町に電気をただで設置するということで乗り込んできたオクス博士がばらまいたガスで次第に住民たちがおかしくなった様子を描く。ガスを原子力に置き換えることも可能な、科学への妄信を揶揄。「ザカリウス親方」は時計職人の技術過信がうんだ悲劇を書く。視点は相変わらずシャープである。「水の中の冬ごもり」はヴェルヌ得意の北海を舞台にした冒険活劇。短い中にしっかりと手に汗にぎらす活劇を見せてくれる。

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アイハヌム

2012-08-14 19:00:45 | 買った本・読んだ本
書名 アイハヌム 加藤九祚一人雑誌
出版社 東海大学出版社 出版年 2010

90歳になってもウズベグまででかけ発掘されている加藤先生が、考古学をテーマに2001年から発行している一人雑誌。すごいなあと思う。私が購入したのは、2010年版。前から興味があったキルギスのイッシク・クル湖の探検記の翻訳が載っていたからなのだが、この論文自体は、以前角川新書で発表されていたという。
ボリス・ジューコフの探検レポートは、ふたつの意味で興味深いものとなった。ひとつは著者自身が潜水術を学び、さまざまな遺物が沈んでいるイッシク・クル湖に実際にもぐり、その体験を語っているところである。実際に遺物を発見したときの臨場感が伝わってくる。もうひとつはどうやらこの著者は加藤さんと同じように相当のロマンチストのようで、考古遺物を目の前にして、触れて、その時代をロマンチックな筆致で再現してくれる。それはチームルがこの湖の小島につくったという別宅で、自らの評伝を書くように命じたハフィジとのやりとりで頂点に達する。
自分はもうこの年になって潜るなんてことはできないだろうが、でもこの謎に満ちたイッシク・クル湖には行ってみたいな。


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石原莞爾試論

2012-08-14 18:49:14 | 買った本・読んだ本
書名 石原莞爾試論
著者 平岡正明  出版社 白川書院 出版年 1977

平岡さんの著作としては異色の部類に入るかもしれない。妙に緊張感が漂う。それはのんびり満洲国をプランニングした石原莞爾を論じようというのとはほど遠い。過去ではなくこの本が書かれたときの時代と同列にして迫っている。そこから漂う緊迫感といえるかもしれない。雑誌でこれを書いているときに、平岡さん自身が東アジア反日帝武装戦線、アラブ赤軍に関連して家宅捜査されたということも関連しているだろう。いわいる左翼が70年代闘争で敗退する中、赤軍や狼といった極左が最後の闘いをしていたとき、満洲をでっちあげた石原を思想家としてではなく、軍人として戦略家としてとらえたところ、これがこの本の全てだと思う。
この視点から石原莞爾を見ていくというのは、船戸与一の「満州国演義」の背景として頻繁に出てくる石原莞爾を見る視線と重なり合ってくる。
石原莞爾への非常にユニークな、そして示唆に富んだ書といえる。

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始動

2012-08-14 09:31:20 | お休み日記
寝ている2階の風がまあとおること、とおること。相当な風が吹いたような気がする。途中何度か目が覚めたが、あまりもの強い風で息ができないほどだったというのは、夢かな。
朝が涼しいのは助かる。今日もベイサイドまで走る。
10時過ぎに家を出て、早稲田の近くにある出版社へ。いよいよ長谷川濬の評伝を本にするための作業が始動。今日は装丁の西山さんにも打合せに加わっていただく。9月末刊行予定ということで、これから一気にギアチェンジ、トップスピードに入る。思えば去年の今頃文化座の佐々木愛さんから電話をいただいたことから、今回の半ばあきらめかけていた本つくりがはじまったことになる。どんな本になるのか楽しみ。
打合せを終えて、西早稲田、渋谷を経由して横浜中央図書館で本を借りてから、帰宅。
夕食のあと、西山さんお薦めのヒッチコックの「フレンジー」を見る。ラストシーンいいねえ、見事なカットアウト、問答無用のカットアウト。それと捜査にあたる警部の自宅での奥さんとの会話、そして食事シーンがとてもおかしかった。
今日は休肝日にして、24時前には就寝。

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