デラシネ日誌

私の本業の仕事ぶりと、日々感じたことをデイリーで紹介します。
毎日に近いかたちで更新をしていくつもりです。

ダメじゃん小出 負け犬の遠吠え

2010-11-27 21:40:28 | 観覧雑記帳
公演名 「ダメじゃん小出の負け犬の遠吠え Vol.23」
会場   銀座みゆき館
観覧日 2010年11月27日(土)午後2時(終演3時半)
年末恒例の負け犬。今年の重大ニュースをふり返るということで、民主党のふがいなさ、尖閣諸島での日中衝突、実は死んでいた高齢者(中には200才も)、7年ぶりで帰って来たはやぶさをメインに、仕分け、名古屋市長、普天間などをおなじみの天気概況で取り上げ、さらには一瞬芸のようにチリの奇蹟の生存救出をはさむなど、小出のトークは冴えていた。特に民主党カレーではエアークッキングということで、さまざまな具材の説明から調理法までを演じるのだが、あざやかに民主党のダメさ加減を描いて見せる。なんでもかんでもマニュフェストに入れすぎてしまい、にっちもさっちもいかなくなった民主党の現状を見せつけられるたびに、こんなやつらに期待した自分たちが悲しくなってしまう。宙に彷徨っている死んだはずの高齢者がたむろする居酒屋に閻魔さんが訪ねてくるというネタは、設定にちょっと無理があったかもしれない。7年ぶりに帰って来たはやぶさが、仕分けされて、地上勤務となり、東北新幹線のはやぶさとなったという話しには笑わせられた。トークの中で吹きだしたのは尖閣諸島に「立ち上がれ日本」を常駐されろというアイディア。今回一番小出らしい冴えが発揮されたのは、尖閣での衝突をどらえもん風にアレンジしたネタ。ジャイアンが中国、のび太が日本、そしてどらえもんがアメリカなのだが、この設定に置かれるとあまりにもぴったしなのに笑えてしまう。しずかちゃんやスネオを出てくるエンディングではこの笑いが加速されていった。見事なつくりである。おそらく肩の力を抜いて自然にできた作品なのではないだろうか。
しかし今回の負け犬での傑作は最後のネタである。大好きな京急の今年なくなった1000系の電車がまだ現役で走っているという高松のローカル線まで訪ねて行ったというトークから、今年1月に二代にわたって続いた蒲田にあった自分の親たちがやっていたネジの工場が閉まったという話しにもっていくのだが、いままでの小出の作品にはなかった叙情とペーソス、さらには希望まで漂う。最後に小出が自分はこの店じまいした工場の看板だけは自分が受け継ぎましたと言って、「小出製作所」をもってきて、この製という字に創という字をかぶせて、今年の私にとって最大の事件はこれでしたと締めたときには、おもわず目頭が熱くなった。素晴らしい作品である。小出のお父さん、お母さんこそ日本の高度成長を支えていたのだと思う。廃業しなくてはならない、その機械を引き取ってもらった小出のご両親が、引退したいまはその機械の調子具合を見るために、引き取り先の工場に行く、なんて話し、これほど美しいオチがあるだろうか。
こうやって新境地を見せてくれたことを喜びたい。それを支えたのはトークというか、語りがしっかり確立したからだろう。無理な設定や演出をしなくても語りだけで、十分作品をつくれるということを証明した作品だといえよう。


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