【第2パラグラフ】
2.1 Globalization entails a growing global intimacy.
[意味]2.1 globalization は、世界的規模で(諸國民間の)關はりの密接化を伴ふ。
2.2 This is a development that some experts refer to as the growth of world citizenship, or the emergence of a global civil society.
【讀解のポイント】
・citizenship には文脈に合ふ適切な譯語がみつかりませんでしたので、假に「市民意識」としました。もとになる citizen は歴史的背景を負ふことばであり(ことばは皆さうですが)、單に「ある地域の住民」を指すこともありますが、それ以外に或るニュアンスを伴ふことがあります。定義は私の手に負へませんが、例へば「ある社會において、その一員であることに自覺と責任を有し、主體的に社會の運營・發展に寄與してゆく」といつたイメーヂでせうか。
[語句]
2.2
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refer to ~ ( as … )
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~を(…と)呼ぶ
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[意味] 2.2 これは一部の專門家が世界的市民意識の成熟と呼ぶ、或ひは世界的市民社會の出現と呼ぶひとつの進展である。
2.3 This new form of citizenship transcends conventional citizenship categories: increasingly we find that we are no longer simply American, or British, or Chinese, or Vietnamese.
[語句]
[意味] 2.3 この新しい市民意識の形態は從來の市民意識の範疇を越える。つまり、私たちはもはや單にアメリカ人、イギリス人、中國人、あるひはベトナム人であるのではない、といふことに次第に氣づき始めてゐるのである。
2.4 We also experience our citizenship globally.
[意味] 2.4 私たちは市民意識を世界的規模でも經驗する。
2.5 We are daily discovering much in common with people who, hitherto, have been geographically, culturally and ethnically foreign to us.
[語句]
2.5
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in common ( with ~ )
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(~と)共通に
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[意味] 2.5 私たちは、これまで地理的、文化的、民族的に馴染のなかつた人々との共通點を日々たくさん發見してゐる。
2.6 There is a growing awareness that the very survival of the human species depends on the flourishing of this new sense of citizenship, provided it can be nurtured into a higher form of global civilization than we humans have been able to achieve so far in the brief archeological time accorded to us on this planet.
【讀解のポイント-かたちからのアプロウチ】
・56語で長めの文ではありますが、中心は先頭の There is ~(~がある)です。同格表現が續き、provided に率ゐられた條件節が置かれる文構造になつてゐます。「説明を後から後から竝べてゆく」といふ、いはば英語らしい文章ですが、讀む時は、丁度相手の話に耳を傾けるやうに、前から順にかたまり毎の意味を頭にはふりこんで解します。
・同格は英語では appositionつまり「竝列させること」で、語源的には「近くに置く」の意味です。名詞の説明を後に竝べて示します。ここでは「~(that節)といふ氣づきがある」と述べてゐます。
名詞にthat節が續くかたちは、「同格」と「関係詞節」の場合が多いのです。It is や It was で始まる文であつたら、「強調構文」や「形式主語-眞主語」の可能性もあるとみます。ここは同格表現です。
・provided は過去分詞由來の接續詞で、條件節を率ゐて、「もし~ならば / ~の條件で」といつた意味になります。
・( higher~ ) than 以下の節に gap または blank があります。つまり achieve の目的語がありません。ゆゑに than を以前學んだ「擬似關係代名詞」と解し、 than がachieve の目的語の役割を果してゐると考へると、關係代名詞に似た構造としてわかりやすくなります。([既出]→2011年3月5日投稿の記事參照。この記事を參照するときは、「Back Numbers」から Mar. 2011 を click して選び、次いで 「Calendar」で該當の日をclickして選びます。)
・accorded は過去分詞で、後ろから前の名詞を説明してゐます。
[語句]
2.6
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depend on ~
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~にかかつてゐる
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2.6
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provided ~
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もし~なら
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2.6
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so far
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これまでのところ
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2.6
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accord ~ to …
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~を…に與へる
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[意味] 2.6 人類の生き殘りそのものが、この新しい意味での市民意識の繁育にかかつてゐる、といふ認識が次第に深まつてゐる-この惑星上で私たちに與へられた、考古學的觀點からすれば短い時間にこれまで人類が達成できてゐる以上に高度の形態の世界文明へと、この市民意識を育てあげることができるならば、であるが。
【この項つづく】