[用例研究 159] 〈假定法-條件節省略⑤〉
(BLONDIE By Dean Young & Stan Drake)
1 Food, food, food! You have no idea how boring this is to me.
2 What I really wanted to do was be a scuba diver.
2 How would you’ve made a living scuba diving?
3 I could’ve had a little seafood restaurant on the side.
[解説]
1
・no idea how boring this is to me: no idea のあとに「同格の of」 が省略されてゐるとみることができます。名詞(idea)の後に節を置いて、名詞の説明を加へてゐます。「~といふ idea は持たない」→「これがぼくにはどれほど(うんざり/退屈)なのかは君にはわからないよ」
□參考例文: 話し言葉では通例 of が省略されます。
159 I have no idea (of) what she means.
彼女が何を言つてゐるのかさつぱりわからない。
2
・be: 原形不定詞です。補語として使はれてゐます。
・would you’ve made: you would have made が疑問文の語順となり、さらに have が短縮形になつてゐます。
・make a living (-ing): 「(-して/-で)生計を立てる」。make のほか earn / gain / get が使はれることがあります。-ing の前に by / from / out of が置かれることがあります。
・scuba: [skjú:bə] self-contained underwater breathing apparatus / aqualung [ǽkwəlʌ̀ŋ] (※商標名 Aqua-Lung から普通名詞化)
3
・could’ve had: could have made の have が短縮形になつてゐます。〈could have made〉や上述の〈would have made〉は共に假定法過去完了の歸結節のかたちであり、ここでは條件節がありません。假に補ふとしたら、例へば「もしスキューバ・ダイバーになつてゐたら(/だつたなら)」でせうか。if で始まる假定法過去完了の文の基本については 「假定法の讀み方 (8) (9)」 (2011年6月15日掲載;ただし(8)(9)は逆順)で解説してゐます。
・on the side: 「内職として」「副業で」「別に」。[用例研究 148] では on the side が「添へ料理として」の意味で使はれてゐました。
[意味把握チェック]
1 「食べ物、食べ物、食べ物!これがぼくにはどれほどうんざり(/退屈)なのか、あなたにはわかりませんよ」
1 「ぼくがほんたうにやりたかつたことは、スキューバ・ダイバーになることでしたね」
2 「スキューバ・ダイビングでどうやつて生計を立てただらうな」
3 「副業で(/傍ら)小さなシーフード・レストランを持てたでせうね(/やれたんぢやないかなあ)」
[笑ひのポイント]
・結局のところ「食べ物」關聯の仕事に行き着いて「うんざり/退屈」から逃れられないことになつてしまひ、をかしみが生じます。