[用例研究 222] 〈it ― -ing〉
(BLONDIE By Dean Young & Stan Drake © 2000 King Features Syndicate Inc.)
1 The radio says it’s going to clear up.
1 The paper says colder with snow.
2 The weather channel says rain with a northerly wind.
3 Good, I think it’s nice having a choice like that.
[解説]
1
・it: 時間・距離・天候・寒暖(温度)・明暗・季節などを述べる際に主語に使はれる it です。
・clear up: 「晴れる」「雨が上る」
1
・colder with snow: 「雪を伴ひ寒さがきびしくなる」。it’s(/ it is)が省略されてゐます。
2
・a northerly wind: 「北からの風」と解しました。
3
・Good: 是認・承諾・滿足・喜びなどを表はす間投詞として使はれてゐます。
・it’s nice having: preparatory it です。it~と言つて文を切り出し、あとからその理由や事情説明を加へてゆく文體です。文法書では、代名詞の項で動名詞を代表する形式主語として解説してゐます。
Michael Swan は Practical English Usage.3rd ed.で、
It can be a preparatory subject for an –ing form. This is usually informal.(It は –ing形の豫備の主語とすることが可能である。これは通例くだけた(/形式ばらない)表現である。)
と記し、次のやうな例文を添へてゐます。
It was nice seeing you.
(君に會へて良かつたです)
It's crazy her going off like that.
(あんなふうに立ち去るとは彼女はどうかしてますね)
It's worth going to Wales if you have the time.
(時間があるなら、ウェールズは行つてみる價値がありますよ)
It's no use trying to explain - I'm not interested.
(説明しようとしても無駄ですよ - 興味ありませんので)
It surprised me your not remembering my name.
(君が私の名前を覺えてゐないなんて驚きましたよ)
(※カッコ内は拙譯です。2番めの例文の her、最後の例文の your はいづれも –ing form の意味上の主語を示してゐます)
・have a choice: 「選擇の機會がある」ことを意味します。
□參考例文
222.1 You have a choice of soup, salad or fruit.
スープ、サラダ、フルーツのうちからひとつ選べます。
[意味把握チェック]
1 「ラジオぢや晴れさう(/晴れる見込み)つて(言つてるわよ)」
1 「新聞では雪を伴ひ寒さがきびしくなるとあるよ」
2 「(テレビの)天氣(豫報)チャンネルでは北からの風で雨ね」
3 「いいねえ、そんな風に選擇肢を持つてる(/選擇の餘地がある/自分で選べる)つてのは良いことだと思ふな」
[笑ひのポイント]
・Dagwood の淺慮が笑ひを誘ひます。Dagwood の表情をみると、皮肉を言つてゐるのではなささうです。
作者の立場からすると、media によつて豫報が異なることへの皮肉をこめてゐる、といふことも考へられます。そんな作者の意圖に反應して讀者が共感して笑ふこともありさうです。
また、さまざまな選擇の機會を與へられることについて、ある種の特權乃至は自由の行使と看做される背景があるのかもしれません。さうだとすると、作者による諷刺の一面も?