英文讀解自修室

  - in the historical Japanese kana/kanji orthography

ブログ『でゞむ氏の 英文讀解教室』開始にあたつて

2011-03-31 | 出題英文讀解

 

一月あまりの間、General Structure of an Essay といふ一節を紹介し、解説を加へながら、ブログ投稿の練習をしてきました。パソコンにあまり詳しくないものですから、フォントや畫像の扱ひ、英文の行末處理などよくわからないことがあり、いろいろと試してはみたのですが、思ふやうにはゆきませんでした。自分のブログ畫面を眺めても、「何だかサエナイ」感はあるものの、さりとて改善方法はわからぬといふお粗末……。

 

まだ疑問と不安が殘つてゐますが、とりあへず四月から、實際に出題された大學入試の問題文を紹介し、一緒に讀みながら、ゆるゆると英文讀解の祕訣をさぐつてゆきたいと考へてゐます。當面設問は紹介せず、まづは本文をしつかり讀むことを主眼とします。文意を正確に把握できれば、おほかたの問題は解けるものです。(ゆくゆくは設問の解法に言及することがあるかもしれません)

 

紹介する英文の解説に竝行して、讀解に必要とされる場合に英文法の解説を試みます。學校で教へられる規範文法は、英語教育批判の際によく槍玉に擧げられます。しかし、英語圈で育つてゐない人が、外國語として英語を學ぶ場合には大層便利なものです。また外國語であつても、一般の新聞や書物を讀むところまで含めて、日常生活の中で正確なコミュニケイションをはかれるまでになるのですから、ありがたいものだとも言へます。殊更に敵視することはありませんし、むやみに怖れる必要もありません。あまり細いことまで氣にせず、語順(文の構造)や語句のはたらき、發音のルールなどを習得すればよいのではないでせうか。

 

どこかで誰かが英語を學ぶ、ちよつぴりでもそのお手傳ひをすることができるなら大變うれしく思ひます。他方、淺學非才の身で大それたことをしようとしてゐるのではないか、と戰く氣持もあります。そんな心もちでの出發でありますから、いたらぬところ、あやまつたところについて、諸兄の御意見、御教示を賜はることができれば大變ありがたいことに思ひます。どうかよろしくお願ひいたします。焦らず慌てずゆるゆると續けて參る所存です。

 

                                                                                           でゞむ氏拜


試行: General Structure of an Essay から見える、英文讀解のヒント

2011-03-31 | 出題英文讀解

 

 これまで一緒に讀んできた essay の構造を教へる文章から、英文讀解の祕訣を看取することができるのではないでせうか。ブログの「試行」を兼ねて、掲載してきた英文は、College Writing Skills といふ書物からの引用です。500頁近いこの本は、大學初年級の Writing のコースで教科書として用ゐられるものと思はれますが、その中から essay の構造についての記述を引用しました。 essay の構造を理解することにより、具體的には、パラグラフや topic sentence を意識することなどにより、英文とくに評論文が讀みやすくなると思はれるからです。書き手によつてさまざまなスタイルがありますから、例外も勿論あるでせうが、このやうな構造に關する指導がなされてゐると承知しておくのは意味があることと思ひます。

 

  新聞や雜誌の記事、もちろん一般の書物の記載内容も、パラグラフと呼ばれる「意味的かたまり」から成つてをり、ひとつのパラグラフにひとつの主題があります。新たなパラグラフに移るときには、タイプライターで5スペース下げるやうにと、この教科書は教へてゐますが、實際の英文では23スペースのものがあります。章の最初のパラグラフをスペースなしで始めたり、そこに大きな活字を使ふなどの方法で、區切りを際立たせる工夫もあるやうです。

 

各パラグラフには、topic sentence と呼ばれる文があり、パラグラフの先頭に置かれることが多いやうです。パラグラフ先頭の文だけを拾ひ讀みするといふ「超速讀法」を、以前米人から教へられて試してみたことがありますが、評論文については有效だといふ實感がありました。topic sentenceの位置がすべて先頭とは限らないやうですが、大事な文をなるべく前に出すといふ傾向はあると感じました。試驗のときなど、最初にさつと各パラグラフの先頭文に目を通して、全體の主題の見當をつけ、その後本文をじつくり讀むと讀み易いのではないでせうか。

 

  topic sentence に續くのはそのpointを支へる内容であり、詳しい説明や讀者を説得するための客觀的事實、實例、體驗などが記されます。確かな理論や權威のある書物、專門家の見解などが引用されることもあります。時には一般論へと擴大したり、内容を(演繹的に)敷衍してゆくこともあるでせう。この構造がわかつてゐれば、一部が理解出來なくても慌てないですみます。パラグラフ全體としてひとつの主題を展開してゐるのですから、殘りの部分がわかれば理解に支障はない、といふことがあり得るのです。

 

  最初のパラグラフと最後のパラグラフが非常に重要だといへさうです。なぜなら、最初のパラグラフには thesis (statement) として全體的主題が述べられ、その後の内容も簡潔に紹介されることがあるからです。また、最後のパラグラフには、全體の要約があるかも知れないし、結論がことば・表現をすこし變へて再述されるかもしれません。ただし、入學試驗の「長文」問題では、このことがあてはまらない場合もあります。「長文」といつても、數百語・數パラグラフから、長くても十數パラグラフ程度に制約され、文の途中から拔萃して出題することがあるからです。

 

  すでに、この教科書を眺めて實際に體驗したやうに、ある事柄を述べる際に、さまざまな言ひ換へをしながら、同一の内容を繰り返すといふ記述方法が看て取れます。ひとつには、讀者の理解を深めるためですが、もうひとつ、同一語の繰り返しを嫌ふ傾向が英文一般にあるやうに感じられます。一種の美意識によるのではないかと思ふのですが、類義語に入れ換へて説明を展開してゆくわけです。洋書賣場では「類義語辭典」が目につきますが、適切な語句をさがすのとは別に、この言ひ換へも使ひ途のひとつかも知れないと私は思つてゐます。この言ひ換へ説明のかたちは、例示も含めて考へれば、or in other wordsfor instance that is といつた語句、 ; : などの句讀點、説明が後置される表現などに見出すことができます。

 

  外國語として英文を讀む際には、意味のわからない語句や表現に出くはすことが多いものです。讀書や豫習のときには辭書や參考圖書が使へますから、正確で深い理解のため、學習の成果を高めるために大いに活用すべきだと思ひます。しかし、試驗のときは辭書の使用が許されない場合が殆どでせう。出題されたのが評論文であつたら、この essay の構造を思ひ浮べてみてはいかがでせうか。たとへ分からぬ箇所があつたとしても、他の部分に説明があつたり、もつとやさしい言葉に言ひ換へられてゐたりすることがあるかもしれない……さう考へて讀み進めてみてはいかがでせうか。

 


試行: General Structure of an Essay 解説 (4)

2011-03-25 | 出題英文讀解

4 Concluding Paragraph

結論パラグラフ

 

4.1 The concluding paragraph often summarizes the essay by restating briefly the thesis and, at times, the main supporting points of the essay.

 

【語句】

at times:          ときどき、おりおり

 

【譯例】

  結論パラグラフは、thesisや、時には主な支持pointsを簡潔に再述することにより、essayを要約することがしばしばある。

 

4.2 In addition, the writer often presents a concluding thought about the subject of the paper.

 

【語句】

in addition:        さらに、その上

 

【譯例】

  さらに、筆者はそのpaperの主題についての結論を提示することがしばしばある。

 

 

5 Diagram of an Essay

  essayの圖

 

5.1 The following diagram shows you at a glance the different parts of a standard college essay, also known as a one-three-one essay.

【譯例】

  次の圖を眺めると、標準的な大學でのessay1-3-1 essayとしても知られてゐるものであるが、そのさまざまな部分が一目でわかる。

 

5.2 This diagram will serve as a helpful guide when you are writing or evaluating essays.

【譯例】

  この圖は、essayを書いたり評價したりする折に、有益な指針として役立つであらう。

 

Title of the Essay

essayの表題(題名)

Introduction     Opening remarks to catch reader’s interest

導入(序論)     讀者の關心をとらへる冒頭の所見

                 Thesis statement

                 essayの論題

                 Plan of development (optional)

                 展開の計畫(任意)

Body            Topic sentence 1 (supporting point 1)

本體部分(本論) このパラグラフの中心的な考へを述べる文(支持point

                 Specific evidence

                 明確な證據

                 Topic sentence 2 (supporting point 2)

                 上に準ずる

                 Specific evidence

上に準ずる

                 Topic sentence 3 (supporting point 3)

上に準ずる

                 Specific evidence

上に準ずる

Conclusion       Summary (optional)

結論             要約(任意)

                 General closing remarks

                 全般的な結びの所見

                 (Or both)

                 (またはその兩方)


試行: General Structure of an Essay 解説 (3)

2011-03-18 | 出題英文讀解

3 Body: Supporting Paragraphs

  本體部分本論): 支持パラグラフ

 

3.1 Most essays have three supporting points, developed at length over three separate paragraphs. (some essays will have two supporting points, others four or more.

 

【解説】

・分詞構文です。Most pointsの主文に過去分詞developedで始まる分詞の句がついてゐます。主文との關係を曖昧にした言ひ方なので、手がかりにより適切な關係をさぐります。手がかりは「時・理由・付帶状況」で可いでせう(條件、讓歩は少ないやうです)。具體的には、「~とき」とか「~ながら」「~ので」と解したり、「~て」「~で」などで續ける場合があります。過去分詞には「受身」と「完了」の意味がありますが、ここは目的語をとる他動詞ですから「受身」でせう。

 

【語句】

at length          詳細に、十分に

some othersとが對になつてゐます。

 

【譯例】

ほとんどのessayは3つの支持pointsを持つてゐ、別々の3つのパラグラフにわたつて詳しく展開される。(essayには2つの支持pointsのものもあり、4つあるひはそれ以上のpointsのものもある)

 

3.2 For the purposes of this book, your goal will be three supporting points for most essays.)

 

【譯例】

この書物の(持つ)目的のため、讀者の到達目標は、たいていのessayに使ふ3つの支持pointsの方である。

 

3.3 Each of the supporting paragraphs should begin with a topic sentence that states the point to be detailed in that paragraph.

 

【語句】

topic sentence:  各パラグラフの主題(そのパラグラフで主張したい中心的な考へ)を述べる文のこと。各パラグラフにこれが存在する、といふことを念頭においておくと、讀解が容易になると思ひます。

 

【譯例】

支持パラグラフのそれぞれは、そのパラグラフで詳らかにされるpointを述べるtopic sentenceで始めるべきである。

 

3.4 Just as the thesis provides a focus for the entire essay, the topic sentences provide a focus for each supporting paragraph.

 

【語句】

provide a focus: provide の意味は supply (something needed or useful)focus の意味は the central point です。要するにprovide a focus は「中心的な考へを提供する」といつた意味ですから、文脈にあふやうな譯語を工夫すれば良いわけです。動詞は「示す」か「提示する」としてはどうでせうか。

 

【譯例】

thesisessay全體の核心部分を提示するのと丁度同じやうに、topic sentenceはそれぞれの支持パラグラフの核心部分を提示する。


試行: General Structure of an Essay 解説(2)

2011-03-11 | 出題英文讀解

2 Introductory Paragraph

導入パラグラフ 

 

2.1 The introductory paragraph of an essay should start with several sentences that attract the reader’s interest.

 

【譯例】 

essayの導入パラグラフは、讀者の關心を引きつけるいくつかの文章で始めるべきである。 

 

2.2 It should then advance the central idea or thesis that will be developed in the essay.

 

【解説】 

or: 言換説明のorです。the central idea つまり thesis 

 

【譯例】

次いで、それは、essayで展開される中心的な考へ、つまりthesisを示すべきである。

 

2.3 The thesis often includes a plan of development a “preview” of the major points that will support the thesis.

 

【解説】

thesisを説明する文に、理由や根據などが簡潔に列擧してゐる場合を想定するとわかりやすいでせう。列擧した順に、以下の各パラグラフで詳しく論を展開することになりますから「豫告」にもなるわけです。

 

【譯例】

thesisはしばしば展開の案を含んでゐる――(言つてみれば)thesisを支へる主要なpointsを「豫告」するのである。

 

2.4 These supporting points should be listed / in the order / in which they will appear in the essay.

 

【解説】

・関係代名詞の含まれる文章は、意味的まとまりのある數語のグループを、前から順に頭に入れてゆくとスムーズに讀めますし、誤解もなくなります。聽き取りの力をつけるためにも有效な方法です。

スラッシュで切つた文章を前から順に讀んでみませう。「これらのsupporting pointsは記載されるべきです……(その)順序で……(どんな順序なのだらうか、と疑問に思ひつつ次を眺めると、その順序についての説明があります。whichthe orderの言ひ換へですから)……順序は順序でも、そのessayに現はれる順序で」……さういふ順序で記載されるべきだ、と言つてゐるわけです。

 

■用例:「前置詞+関係代名詞」

 

 

 

1 Skyler! What about you? Do you know the answer?

  「スカイラー、君はどうだい?答がわかるかい?」(skylarkのキャラクターなのでせうか)

2 Sir, I question the premise / on which your question is based…

  「先生、ぼくは先生の質問の根據になる前提(條件)について質問します」

3 When you don’t know the answer…question the question.

  「答がわからないときは、その質問について質問せよ」

 

【譯例】

これらの(thesisを)支へるpointsは、essayに出現する順序で記載されるべきである。

 

2.5 In some cases, the plan of development is presented in a sentence separate from the thesis; in other cases, it is omitted.

 

【語句】

present(動詞): (アクセント注意)

 

【譯例】

展開の案がthesisとは別の文で提示される場合もあるし、省略される場合もある。


試行: General Structure of an Essay 解説(1)

2011-03-05 | 出題英文讀解

試行の一環として、先に掲載したGeneral structure of an essay の解説を記します。今囘は第1パラグラフで、青字の英文が原文になります。原文につけた數字、例へば1.5は、第1パラグラフの5つめの文を指します。なほ、譯例には、敢て英語のまま殘した部分があります。

 

General structure of an essay

essayの一般的構造

 

1.1 Much of your college writing will be in the form of five-hundred-word essays papers of several paragraphs that support a single point.

 

【語句】

essay: ここでは大學などで課す「小論文」といつた意味で捉へるとよい。

paper: 論文、レポート。college writing, essay などとも近い意味でせう。

point: (小論文で主張したぃ中心的な)考へ、主眼點、要點。

 

【譯例】

大學での書きものの多くは500essay ひとつのpointを支へるいくつかのパラグラフ(段落)から成る文書 の形式になる。

 

1.2 An essay typically consists of an introductory paragraph, three supporting paragraphs, and a concluding paragraph.

 

【語句】

consist of

~から成る

 

【譯例】

essayは、典型的なところでは、導入パラグラフ、3つの支持パラグラフ、結論パラグラフから成る。

 

1.3 The central idea, or point, developed in an essay is called a thesis statement rather than, as in a paragraph, a topic sentence.

 

【語句】

・-, or : -つまり…。別の言葉に言ひ換へて説明してゐる。

 

thesis: an opinion or statement put forward and supported by reasoned argument (Longman Dictionary of Contemporary English)

as; 接続詞。(前置詞句の前に置かれて)~やうに、~やうな

 

【譯例】

essayで展開される中心的な考へ、つまりpointは、パラグラフにおける(やうな)topic sentence といふよりはむしろthesis statementと呼ばれる。

 

1.4 A thesis appears in the introductory paragraph, and the specific support for the thesis appears in the paragraphs that follow.

 

【譯例】

thesisは、導入パラグラフで現はれ、續く數パラグラフに、そのthesisの明確な支持(の論述)が現はれる。

 

1.5 The supporting paragraphs allow for a fuller treatment of the evidence that backs up the central point than would be possible in a single-paragraph paper.

 

【語句】

allow for

~を可能にする、~をもたらす (make possible, provide)

 

【解説】

than: 「擬似関係代名詞」と呼ばれるもので、比較級とともに用ゐられます。than以下の節の主語の省略と考へることもできるでせう。文法書では、関係代名詞の章に、as, but とともに説明されます。

・例文

She didn’t give her son more money than was necessary.

彼女は息子に必要以上のお金を與へなかつた。

 

in a single-paragraph paper には假定の意味が込められてゐて、「もしパラグラフひとつのpaperなら」の意味です。その假定を受けるかたちで「~であらう」といふ意味の would be が置かれてゐます。

  文法書では「假定法」の章に説明があります。副詞句に條件の意味が含まれるケースになります。

 

【譯例】

その(複數の)支持パラグラフにより、中心的pointを支持する論據の扱ひを、パラグラフひとつのpaperに比して、一層念入りに行ふことが可能になる。