英文讀解自修室

  - in the historical Japanese kana/kanji orthography

・用例研究 259 <不定詞 3 目的語として>

2024-07-29 | 用例研究

[用例研究 259] 〈不定詞 3  目的語として〉

  (BLONDIE  By Dean Young & Stan Drake  © 1994 King Features Syndicate Inc.)

 

1  Dad, I want to get one of my ears pierced.

2  No son of mine is ever going to have an earring!!

3  But all my friends are doing it...

4  Dad, please, I just want to be different like everybody else.

 

[解説]

・to get~: 動詞wantの目的語の位置に不定詞句が置かれ、目的語となつてゐます。「耳の片方に(earringイアリングのための)穴をあけること」を望んでゐます。

□參考例文: 不定詞句が第五文型(SVOC)の目的語になる場合に、形式目的語 it を置いてわかりやすい文にした例です。

  I thought it possible to solve the problem.

  私はその問題を解決することが可能だと思ひました。

□參考例文: 不定詞が前置詞の目的語になることはふつうはありませんが、exceptの意味でbutを用ゐる場合に不定詞が目的語のはたらきをすることがあります。この場合、不定詞は自然に生じる精神的・感情的反應(involuntary mental or emotional reaction)を表はすものになります。

  I couldn’t help but laugh at his talk.

  私は彼の話に笑はずにはをれませんでした。

(※文法書では、かうした不定詞の用法を「名詞的用法」と分類してゐます。)

 

・get one of my ears pierced: <使役動詞get+目的語+過去分詞>の構造で「~させる」「~してもらふ」といつた意味を表はします。ここでは「耳の片方を穴があけられてゐる(状態)にさせる(/にしてもらふ)」→「耳の片方に穴をあけてもらふ」。

 

・No son of mine~: noといふ強い否定語を伴ふ主語で始まる文であり、かなり強い響きを以て父親の意思を傳へてゐるやうです。「私の息子はイアリングなんて決してつけようとはしないぞ」→「私の息子にはイアリングなんて決してつけさせないぞ」

 

・to be~: 一コマめと同樣に、不定詞句が動詞wantの目的語となつてゐます。

 

[意味把握チェック]

1 「父さん、ボク片方の耳に穴をあけてもらひたいんだ」

2 「私の息子はイアリングなんて決してつけようとはしないぞ」

3 「でも友達はみんなやつてるよ…」

4 「父さん、お願ひだよ。ボクは他のみんなと同じやうに違つて(/變はつた恰好をして)ゐたいだけなんだ」

 

[笑ひのポイント]

・「皆と同じやうに違つてゐたい」といふ矛盾が笑ひを誘ひます。

  集團における同調志向や、個性的であらうとしても、それが多數に及べば忽ち凡俗に陷つてしまふといふ、流行の一側面への諷刺と捉へることもできるかもしれません。


・用例研究 258 <不定詞 2 主語 / 眞主語として>

2024-07-22 | 用例研究

[用例研究 258] 〈不定詞 2  主語 / 形式主語として〉

  (BLONDIE  By Dean Young & Stan Drake  © 1997 King Features Syndicate Inc.)

 

1  I’m in the mood for something light and not too filling.

1  Try the fruit salad platter.

2  Great call!  That was a nice, light lunch.

2  See how easy it is to eat sensibly?

3  You want another one?

3  Yeah, but make it quick!  My lunch hour is nearly over.

 

[解説]

・in the mood for~: 「~を望むこころ持ち(/氣分)で」

・filling: 形容詞で「お腹をいつぱいにする」「滿腹にする」

 

・call: ここでは「決斷」「選擇」の意味で使つてゐます。

 

・See how easy it is to eat sensibly?: It is easy to eat sensibly.(「賢く食べることは容易である」)から變化させた文です。「賢く食べることがどんなに易しいかわかりますよね」と理解を求め、念を押してゐるやうに見えます。

  下線部の文では、主語をit(preparatory subject)で始めてまづ「容易である」と言明し、あとから不定詞句で何が容易であるかを説明してゐます。(※文法書ではitを「形式主語」「假主語」、不定詞句を「眞主語」と説明し、かうした不定詞の用法を「名詞的用法」と分類してゐます。)

  一般論として述べるやうな場合に不定詞句を主語にすることがありますが(やや古めかしい印象がある)、現代の英語ではit(preparatory subject)で始めることが多いやうです。

□參考例文: 不定詞句を主語として一般論として述べる例です。

  To practise regularly is important.

  It is important to practise reguarly.

  きちんと(/定期的に)練習することが重要である。

(Michael Swan, Practical English Usage. 3rd ed. [Oxford: Oxford University Press, 2005], p.265 .)

 

  1958年頃The Teddy BearsやThe Springfieldsが歌つたTo know him(,) is to love himといふ曲のタイトルでは不定詞句が主語と補語のはたらきをしてゐます。「彼を知ることは彼を愛すること」→「彼を知ると好きになつてしまふ」。邦題はたしか「会ったとたんに一目ぼれ」でした(/「つのる想い」とも)。

  歌詞の中でもJust to see him smile makes my life worthwhile (「彼がほほゑむのをただ見ることがわたしの人生を意義あるものにする」→「彼がほほゑむのを目にするだけで私に生きてゐる甲斐が生まれる」)とあり、不定詞句が主語の位置に置かれてゐます。

 

・make it quick: 「急いで」「はやくしてくれ」

 

[意味把握チェック]

1 「何か輕いもの、あまりお腹がいっぱいにならないものが食べたい氣分なんだ」

1 「大皿盛りのフルーツ・サラダを食べてみては」

2 「すばらしい選擇だつたよ(/大正解だつたよ)。美味しくて輕いランチだつたな」

2 「適切に食べる(/分別ある食事)つてどんなに簡單かわかりますよね」

3 「もうひとつ欲しいんですか」

3 「ああ、でも急いでくれよ。ランチの時間が終りさうなんだ」

 

[笑ひのポイント]

・Dagwoodにとつて「分別ある食事」は容易ではないやうです。

 

[参考]: 下線部をクリックすると關聯記事が出ます。

  ・用例研究220  2020.6.15: it is ~ to-不定詞(…)

 ・用例研究223  2020.7.6: it takes ~ to-不定詞(…)

  ・用例研究224  2020.7.13: it costs ~ to-不定詞(…)

 


・用例研究 257 〈不定詞 1 不定詞とは〉

2024-07-15 | 用例研究

[用例研究 257] 〈不定詞 1  不定詞とは〉

  (BLONDIE  By Dean Young & Stan Drake  © 1991 King Features Syndicate Inc.)

 

1  Then you’ll help me with my catering business?

2  Of course!  Best friends always stick together.

2  I’m glad to hear you say that.

3  I’ll expect you to back me up when I break the news to Dagwood.

4  But there comes a time when best friends must part.

 

不定詞とは:

  2コマめのto hear / say、3コマめのto backは不定詞と呼ばれます。これらは、主語の數や人稱などによつて形が變はる定形動詞と異なり、主語によつて形を定められないので不定詞と呼ばれます。不定詞は、歴史的には動詞を名詞に使ふ用法から始まり、それが次第に多樣な使はれかたをするやうになつたものと思はれます。

  文中に現はれるかたちでいへば、

 ・to-不定詞  <to+動詞の原形>

 ・原形不定詞  <動詞の原形のみ>

 ・代不定詞  <toのみ>

 ・完了形の不定詞  <to have+過去分詞>

 ・進行形の不定詞  <to be+現在分詞>

 ・受動態の不定詞  <to be+過去分詞>

  などがあります。

  不定詞は、文中でさまざまな位置に置かれ、さまざまなはたらきをします。便利なので多用されますが、動詞との紛はしさや意味の曖昧さ・多樣さで困ることがあります。不定詞に對應するには、

  ・「不足してゐる情報・説明を補ふ」ものと受けとめる

  ・話し手・書き手の言はんとするところを文脈・前後關係から察する

  のが有效かと思ひます。

  toはもともとは「~へ」といふ方向を表はす前置詞に由來してをり、方向性や到達點を指し示すことがあります。そのため、不定詞には

  ・「これからすること」や目標・目的を(漠然と、また一般論として)示す

  といつた一面があります(※ 不定詞ではtoが本來の意味を失ひ記號化してゐる場合もあります)。

  大學入試での不定詞對策としては、上記の性質を念頭に、

  ・基本例文を暗記する

  のが有效だと思ひます。基本的な出現パターンは30通り内外にをさまります。出會つた英文を、基本例文に還元して解するとわかりやすく、また發信(英作文など)も容易になるのではないかと思ひます。

(※拙ブログの「用例研究」では、しばらくの間、不定詞の用例を紹介し、解説をしてゆく豫定です。)

 

[解説]

・stick together: 「互ひに協力する」「仲がよい」

・I’m glad to hear you say that : 「うれしい」と言ひ、續く不定詞句がその「感情の原因」を説明してゐます。「あなたがさう言ふのを聞いて嬉しく思ふ」といふわけです。この用法については後日 [用例研究271] で解説いたします。

  hear you say~は知覺動詞のあとに目的語と原形不定詞が續くかたちです。この用法については後日 [用例研究269] で解説いたします。

 

3

・I’ll expect you to back me up~: I’ll expect youと言ひ、そのあとに不定詞句が置かれてゐます。「あなたが私を支へてくれるのを期待するわ」と述べてゐます。このかたちについては、後日 [用例研究267] で解説いたします。

・back~up / back up~: 「~を支へる」。代名詞のmeが中に入つて強・弱・強のリズムを形成してゐます。

・break~: ここでは「~を知らせる」「~を打ち明ける」の意味で使はれてゐます。何かまづい出來事について知らせるニュアンスを含んでゐます。

 

・when: whenは關係副詞でwhen~が前のa timeを説明してゐます。

 

[意味把握チェック]

1 「それぢや私の配食の仕事を手傳つてくれるのね」

2 「もちろんよ。親友はいつだつて團結(/協力)するものだわ」

2 「あなたがさう言ふのを聞いてうれしいわ」

3 「Dagwoodに打ち明けるときあなたが私を支へて(/支持して)くれるのを期待するわね」

4 「でもね、親友も別れなくてはならない時が來る(も)のよ」

 

[笑ひのポイント]

・Tootsieの御都合主義が笑ひを誘ひます。Blondie は得意な料理の腕前をいかしてパーティなどへの配食事業を始めようとしてゐますが、その意嚮を夫のDagwoodに打ち明けるに際して難しさを感じてゐるやうです。


・用例研究 256 〈接觸節 / 接續詞 where〉

2024-07-08 | 用例研究

[用例研究 256] 〈接觸節 / 接續詞where〉

  (BLONDIE  By Dean Young & Stan Drake  © 1990 King Features Syndicate Inc.)

 

1  It’s not fair!  Every fall half the leaves I rake are from other yards.

2  I hear that we’re getting strong, gusty winds tonight.

3  I’ll wait till tomorrow...maybe they’ll all blow back where they came from.

4  Well, there’s another idea that didn’t pan out!

 

[解説]

1

・half the leaves I rake: 「ぼくの掃く葉の半分」。I rakeが前のthe leavesを説明してゐます。名詞のあとに節を追加して説明を加へる場合、この節は「接觸節」と呼ばれます。關係代名詞の省略と解することもできます。

 

・I hear (that) S V(~): 「~ださうだ」「~と話に聞いてゐる」

 

・where they came from: 「元のところに」。接續詞whereは「~するところに(/へ/で)」といふ意味を表はします。關係副詞whereの前にto the place(前置詞+先行詞)が省略されてゐると解する觀方もあります。

□參考例文:

  Put it back where it was.

  それを元の場所に戻しなさい。

 

・pan out: 「(話)(計畫などが)うまくいく」

 

[意味把握チェック]

1 「フェアぢやないよな(/公正とは言へないね)。毎年秋にぼくが掃く葉の半分はよその庭から來てるんだからな」

2 「今夜は強くて激しい風が吹くらしいな(/吹くといふ話だ)」

3 「明日まで待たう…たぶん風が(葉を)すつかり元のところへ吹き戻してくれるかも」

4 「さてと、うまくいかなかつたアイデアがまたひとつ、か」

 

[笑ひのポイント]

・吹き戻してくれるどころか、玄關前に吹き寄せられてゐました。目論見と逆の結果が招かれたので、讀者の笑ひが生まれます。物事はさうさう期待通りには運ばないもの、といふ共感・納得感も笑ひに含まれてゐさうです。


・用例研究 255 〈What do you think of ~ ?〉

2024-07-01 | 用例研究

[用例研究 255] 〈What do you think of ~ ?〉

  (BLONDIE  By Dean Young & Stan Drake  © 1992 King Features Syndicate Inc.)

 

1  What do you think of this dress, Honey?

1  Too expensive.

2  And what do you think?

2  You should definitely buy it.

3  Sold!

4  See how important a second opinion is?

 

[解説]

・What do you think of ~ ?: 「~をどう思ひますか」。think (of)を使つて意見や感想を求める場合はwhatを用ゐます。この場合howを用ゐると思考そのものの過程を問うてゐるやうな印象を與へます。

  howを用ゐて意見、感想を訊ねるには How do you like~? が使へます。(↓)

  (BLONDIE  By Dean Young & Stan Drake  ©2001 King Features Syndicate Inc.)

 

2

・definitely: =without any doubt

 

・Sold: 原形はsellです。店員の立場に立つて「賣れましたよ」と言つてゐるのでせう。

□參考例文:

  The book sold a million copies.

  その本は百萬部賣れました(/ミリオンセラーです)。

 

・See how important a second opinion is?: このseeは「~がわかる」の意味で、「セカンド・オピニオンがどれほど大事かわかりますよね」と(疑問のかたちで)納得を求めてゐるのでせう。

:how important a second opinion is: 間接疑問文のかたちで、平敍文の語順になつてゐます。

 

[意味把握チェック]

1 「このドレスどう、あなた」

1 「高過ぎるよ」

2 「(店員に訊ねて)どうかしら」

2 「是非とも(/間違ひなく/絶對に)買ふべきですね」

3 「賣れましたよ!」

4 「セカンド・オピニオンつて大事よね(/どれほど大事かわかりますよね)?」

 

[笑ひのポイント]

・salesclerkにセカンド・オピニオンを求める、といふ機轉と意外さ、歸結の豫測が笑ひを誘ひます。