英文讀解自修室

  - in the historical Japanese kana/kanji orthography

・用例研究 198 <先行詞の省略; when>

2019-11-25 | 用例研究

 

[用例研究 198] 〈先行詞の省略; when〉

  (BLONDIE  By Dean Young & Stan Drake  © 1981 King Features Syndicate Inc.)

 

1  I had a violin recital last week.

2  In the middle of the Paganini Variations, a string broke.

3  The audience must’ve been disappointed.

4  No... that’s when I got my biggest applause.

 

[解説]

・violin [vàiəlín]: (アクセント注意)

 

・must’ve: must have の短縮形です。〈must have+過去分詞(…)〉は過去のことについての現在の推量を表はし、「…したにちがひない」「きつと~しただらう」などの意味を傳へます。助動詞のあとにhave+過去分詞が置かれるかたちについては「英文讀解のヒント(31)」 (2015年8月12日付)及び「英文讀解のヒント(32)」 (2015年8月26日付)で例文を紹介してゐます。

 

・that’s when~: 關係副詞 when の先行詞が省略されたかたちです。~部分では「時」を示す副詞語句がブランクになつてゐます(※when 以下には、暇なときがいつであるか、家族みんなが集まるときがいつであるかを示す語句がありません)。

□參考例文

194.1    Saturday is when I am least busy.

                 土曜日は私が一番暇なときです。

194.2    The best time of her life is when all the family get together.

                 彼女の暮しで最良のときは、家族みんなが集まるときです。

 

[意味把握チェック]

1 「先週バイオリンのリサイタルがあつたんだよ」

2 「パガニーニ變奏曲の演奏中に弦が(1本)切れたんだ」

3 「聽衆はきつとがつかりしただらうね」

4 「いいえ(/そんなことないよ)... (ぼくへの)拍手が一番大きかつたのはその時なんだ」

 

[笑ひのポイント]

・弦が切れて演奏が中斷したのでせう。

  近所の小生意氣な(impertinent)子ども Elmo と Dagwood の對話はひとつのパターンになつてをり、意表をつく對話を繰り返し展開します。


・用例研究 197 <the way>

2019-11-18 | 用例研究

 

[用例研究 197] 〈the way〉

  (BLONDIE  By Dean Young & Stan Drake  © 1991 King Features Syndicate Inc.)

 

1  Honey, you like my cooking, don’t you?

1  I love your cooking!

2  Would you mind sharing it with the rest of the city?

2  Of course I’d mind.

3  I love the way you kiss, too, but I wouldn’t share that with the city either.

4  Well, so much for that approach.

 

[解説]

・~, don’t you?: 付加疑問です。相手に同意を求めたり確認したりするときに用ゐるもので、前出の動詞・助動詞に應じてかたちが變はります。文法書では疑問文の項に解説がみつかります。

 

・mind: = to feel annoyed, worried, or angry about something; 動詞 mind は動名詞(-ing)を目的語にとります。

□參考例文: mind を用ゐた叮嚀な依頼の文體です。

197.1     Would you mind calling back later?

                 後で(電話を)かけなほしていただけませんか。

 

・Would/Do you mind~?: used to ask politely if you can do something or if someone will do something; 上述のやうに mind は「不愉快に思ふ」など否定的な意味合ひを持つてゐますから、mind を用ゐられた場合は應答に注意が必要です。以下に應答例を示します。

□參考例文: 相手の許可を求める場合です。

197.2    Do you mind if I use your phone?

                 電話をお借りしていいですか。

(應答例)使つてかまはなければ No, please go ahead. / No, not at all. など。斷りたいなら I’d rather you don’t(/ didn’t / wouldn’t ). など。

□參考例文: 相手に何かを依頼する場合です。

197.3     Would you mind posing with me?

                 一緒に寫眞を撮つてもいいですか(/一緒に寫つていただけませんか)。

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・I’d mind: ( I’d = I would); これも斷る應答です。「不愉快に思ふだらう」「嫌だよ」と應答してゐます。

 

・I love the way you kiss: 「君のキスの仕方が好きだよ」

 the way how とはせず、the way か how のいづれかを用ゐます。the way の後にin which または that を續けることは可能です。

□參考例文: 關係副詞 how の例と、漫畫と同じ the way の例です。

197.4            That's how he succeeded in business.

                そのやうにして彼はビジネスに成功したのです(/それが彼がビジネスで成功したやり方なんです)。

197.5            This is the way you should cut the meat.

                このやうにして肉を切ればいいんです。

 

・either: (否定文に續けて)「~もまた(…でない)」。料理の共有を望まず、キスの共有についてその意嚮はない、といふわけでせう。

□參考例文: 否定文脈で否定する場合は too ではなく either を用ゐます。

197.6    "I can't swim."  "I can't either."

                 「私は泳げないんです」 「私もです」

 

・so much for~: (話し言葉) said when a particular action, idea, statement, etc. was not useful or did not produce the result that was hoped for; 何かがうまくいかないときのせりふとして使はれてゐます。

  また 197.8 のやうに仕事の終りなどに「~はこれまで」といふ意味で使はれることもあります。

□參考例文:

197.7    She wouldn't discuss it.  So much for trying to compromise.

                 彼女は議論しようとしません。歩み寄りを試みてもだめでせう(/試みるのは諦めるしかない)。

197.8    So much for today's work.

                 今日の仕事はこれまでにしませう(/これでお終ひ)。

・approach: = a way of doing something or dealing with a problem

 

[意味把握チェック]

1 「私の料理は好きよね、あなた」

1 「好きだよ」

2 「それを、ほかの町の人たちみんなと分かち合ふといふのはいやかしら」

2 「もちろん、いやだね」

3 「ぼくは君のキスのやり方も好きだけど、でもそれを町の人たちと分かち合はうともしないね」

4 「さてと、あの(/今試みた)アプロウチ(/方法)はうまくいかなかつたわ」

 

[笑ひのポイント]

・專業主婦の Blondie は「仕出し」の起業を計畫してをり、主人 Dagwood の許諾を得ようとしてゐます。

  ここでは、反對しにくい(意外な)反論に出くはし、このアプロウチがうまくいきませんでした。この反論の巧みさが笑ひを誘ふのでせうか。


・用例研究 196 <關係副詞の省略; why>

2019-11-11 | 用例研究

[用例研究 196] 〈關係副詞の省略; why〉

  (BLONDIE  By Dean Young & Stan Drake  © 1999 King Features Syndicate Inc.)

 

1  I could use a little help shoveling that snow.

1  I’d like to, but it might interfere with my weight training.

2  But the reason you build muscle is so you can do things like shovel snow, right?

2  No, that’s not it...

3  The reason to build muscle is to look good.

 

[解説]

・could use: 助動詞を過去形にして婉曲に表現してゐます。これは假定法に通ずる用法で、「現在・現實」とは遠ざけて現實味をうすれさせ、直接的な物言ひを囘避することにより婉曲な依頼としてゐます。ここは「ちょつと手傳つてくれないかなあ/ちよつと手助けしてくれるとありがたいんだが」と遠慮がちに希望を傳へてゐるのかと思ひます。

・I’d like to, but~: 〈would/should like to-不定詞(~)〉で「~したいのですが」などと希望を「ていねい・遠慮がち」に表はします。ここでは to 以下が省略されてゐます(代不定詞)。補ふとすれば、例へば、I’d like to help you shovel the snow など。

・might interfere: may を過去形にして可能性を弱めてゐます。「差支へるかもしれないんだけど…」と言つてゐます。

・interfere with~: 「(物・事が)~を妨げる」

 

・the reason you build muscle: the reason の後に關係副詞 why(または that)が省略されてゐます。先行詞に reason があるときには why がしばしば省略されます。「君が筋肉を鍛へる(/増強する)理由」ほどの意味です。

□參考例文: why または that が省略されてゐる例です。

196.1     The reason I am going is that I want to.

                 私が行かうとしてゐるのは、行きたいからなんです。

・so you can~: 〈so that~can/may/will…〉のかたちで「目的」を表はす文體です。くだけた言ひ方では that が省略されることがあります。ここは助動詞が can ですから「君が~できるやうに」といふ意味を傳へてゐます。

□參考例文: 漫畫と同樣に that が省略されてゐる例です。

196.2    I'll give you my e-mail address so you can easily contact me.

                 容易に聯絡がとれるやうに、私のEメールアドレスを教へませう。

・~, right?: 「これで正しいの?」と疑問を呈して、相手に確認するため文尾に置いてゐます。[意味把握チェック]では「~だよね」?「さうだろ?」としてみました。

・that’s not it: 「さうぢやないよ」「(それは)違ひます」。That’s it!(「さうだ!」「それだ!」)は、相手の話や行動が核心をついてゐたときの嬉しさや驚嘆などを表はしますが、ここはその對になるやうな表現で、相手のことばに否定で返してゐます。

 

・The reason to build muscle: 不定詞句が名詞を修飾してゐます。「筋肉を増強する理由」。

 

 [意味把握チェック]

1 「あそこの雪かきをちよつと手傳つてくれるとありがたいんだが」

1 「やりたいんだけどね、ぼくのウェイト・トレーニングに差支へるかもしれないんで」

2 「でも君が筋肉を鍛へる(/増強する)理由は、雪かきのやうなことができるやうに、だよね(/、さうだろ)?」

2 「イヤ、さうぢやないよ...」

3 「筋肉を鍛へる(/増強する)理由はかっこよく見えること(/見榮え)なんだ」

 

[笑ひのポイント]

・Daisy が讀者に視線を投げかけてゐます。Alexander の「(手傳ひをうまく斷る)知惠」と本音について、登場人物の視線を通して何らかの思ひ・感懷を示すと共に讀者の共感を促してゐるのかと思ひます。ここでは「意外」「呆れ」「(淺知惠への)輕侮」といつた思ひでせうか。


・用例研究 195 <關係副詞の省略; where>

2019-11-04 | 用例研究

 

[用例研究 195] 〈關係副詞の省略; where〉

  (BLONDIE  By Dean Young & Stan Drake  © 2002 King Features Syndicate Inc.)

 

1  Blondie, I cut my finger!  Where do we keep the Band-Aids?

1  Why don’t husbands ever know anything about their own homes?

2  They’re in the same place they’ve always been ... in the odds and ends drawer.

3  Where do we keep the odds and ends drawer?

 

[解説]

・Band-Aid: 商標名に由來しますので大文字表記にしてゐます。

・husbands / their own homes: それぞれ複數形にしてゐますから、Dagwood を含め夫一般を對象にした物言ひと解し、[意味把握チェック]では「夫といふのは」としてみました。

  

 

・They’re in the same place they’ve always been: 制限用法で、先行詞に place が使はれてゐると、關係副詞 where(もしくは that )が省略されることがあります。誤解が生ずる餘地がないからでせう。續く説明の they’ve always been では場所を示す副詞句がブランクになつてゐますので、聞き手の意識が先行詞につながります。「バンドエイドは、いつもの(同じ)場所にあるわよ」と傳へてゐます。

□參考例文: where (または that )が省略されてゐる例です。

193.1     The place I live is close to the ocean.

                 私が住んでゐる場所は海の近くです。

・odds and ends: =various small things that have little value(あまり値打の無いさまざまな小物)

・drawer: [發音注意] 「抽斗」の意味では [drɔ:r] 。

 

[意味把握チェック]

1 「Blondie、指を切つたんだ。バンドエイドはどこに置いてあるんだい」

1 「夫といふのは、どうして自分(自身)の家庭について何も知らないの」

2 「バンドエイドはいつも置いてある同じ場所にあるわよ...小物類の抽斗にね」

3 「小物類の抽斗はどこに置いてあるんだい」

 

[笑ひのポイント]

・夫たちが自分の家庭について何も知らない、といふ Blondie の嘆きを Dagwood が3コマめの問ひにより實證してしまつたところで共感を呼ぶと共に笑ひを誘ひます。