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――でゞむ子拜
[用例研究 254] 〈shouldn’t have+過去分詞〉
(BLONDIE By Dean Young & Stan Drake © 1997 King Features Syndicate Inc.)
1 I probably shouldn’t have bought this tree at lunch time,
2 but Claudia won’t mind me taking it home in her car.
3 Then again ...
[解説]
1
・probably: probably は確信の度合を示す副詞で、8割方の確かさを表はします。辭書には「たぶん」「おそらく」「たいてい」「十中八九」といつた譯語があてられてゐますが、「たぶん」「おそらく」は日本語ではかなりの幅をもつて使はれます。注意が必要なところでせう。(※さまざまな「確信の度合を示す副詞」については2018年7月16日付の記事中の「用例研究 135」で扱つてゐます)
・shouldn’t have bought: 〈shouldn’t have+過去分詞〉のかたちで「過去において實行された行爲に對して、現在の話者の非難や後悔」を表はします。「~すべきではなかつたのに」「~しなければ良かつたなあ」といつた意味を表はします
□參考例文: 短縮形とさうでない例です。
254.1 We shouldn't have come to this party - it's terrible.
こんなパーティには來なけりや良かつた - ひどいもんだ。
254.2 I hurt my back. I should not have carried that heavy box up two flights of stairs.
背中が痛い。あの重い箱を持つて階段ふたつ登らなければ良かつたな。
□參考例文: oughtn't to、ought not to でもほぼ同じ意味を傳へます。
254.3 He oughtn't to have said that.
彼はそんなことを言ふべきではなかつたのに。
254.4 You ought not to have used the electric light more than is necessary.
必要以上に電燈を使ふべきではなかつたのに。
2
・mind: mind は –ing form を目的語にとる動詞で「いやがる」といつた意味です。me は taking の意味上の主語として前に置かれ、「僕が家に持ち替へるのをいやがらないだらう」といふ意味になります。
3
・then again: (反對の可能性を表はして)「いやさうではなくて」「しかしまた一方では」。前に but を置くこともあります。
□參考例文
254.5 He may be here tomorrow. Then again, he may not come until next week.
彼は明日ここにくるかもしれません。でもさうではなく來週になるかもしれません。
[意味把握チェック]
1 「晝飯時にこの木を買ふんぢやなかつた(/買ふべきぢやなかつたな、おそらくは)」
2 「でも Claudia は、彼女の車で(僕が)家に持ち歸るのをいやがらないだらう」
3 「いやさうでもないか...」
[笑ひのポイント]
・クリスマス前の car pool(車の相乘り)でのできごとでした。起こりがちなできごとを極端化して笑ひを誘ひます。
[用例研究 253] 〈should have+過去分詞〉
(BLONDIE By Dean Young & Stan Drake © 2003 King Features Syndicate Inc.)
1 Tell me why you should be our accountant.
1 I’m a CPA with 20 years of experience.
2 The city is full of people with that background.
2 And I’ll need weddings catered for my four teenage daughters.
3 Welcome to Blondie’s catering family.
3 I should have saved time and said that first.
[解説]
1
・CPA: 公認會計士( certified public accountant )
2
・full: 「多くある」
・background: 「經歴」
・need weddings catered: 〈need+名詞O+(to be)過去分詞C〉のかたちで「OがCされる必要がある」「OがCされなくてはならない」など。
□參考例文: signed は過去分詞で「署名される」と受身の意味を持つてゐます。「この手紙は署名される必要がある」→「この手紙に署名をしてもらふ必要がある」
253.1 I need this letter signed.
この手紙に署名をしてもらふ必要があります。
□參考例文: Cに不定詞句が置かれる例です。
253.2 I don't need you to tell me that.
そんなことを私に言つてもらふ必要はありません。
3
・Blondie’s catering family: 家族と友人で營む仕出・出前事業にかういふ名稱をつけたものでせう。「ブロンディの仕出屋」といつたところでせうか。
・should have saved / said: 〈should have+過去分詞〉のかたちで「過去において實行されなかつた行爲に對して、現在の話者の非難や後悔」を表はします。saved と said は過去分詞で、竝んでゐます。「時間を節約して、そのことを最初に言つたら良かつたですね(/…言ふべきでしたね)」
□參考例文:
253.3 You shoud have submitted your application by the end of January.
願書は1月末までに提出すべきでしたね(/提出したら良かつたのに)。
□參考例文: ought to でもほぼ同意の表現ができます。
253.4 The clerk ought to have given you a receipt.
その店員はあなたにレシートを渡すべきだつたのに。
同じ〈should have+過去分詞〉のかたちで「きつと~したはずだ」といふ意味を表はすこともあります。
□參考例文
253.5 The patient should have recovered, but he didn't.
患者は恢復するはずだつたのに、しませんでした。
□參考例文: ought to でもほぼ同意の表現ができます。
253.6 The game ought to have started at noon.
その試合は正午には始まつてゐたはずです。
[意味把握チェック]
1 「どうしてあなたがうちの會計士になるのが良いのか聞かせて」
1 「私は經驗20年の會計士なんです」
2 「そんな經歴の人は町にたくさんゐますよ」
2 「それにうちは十代の娘4人の結婚式に仕出しをしてもらふ必要があるんですよ」
3 「ブロンディの仕出屋にようこそ」
3 「時間を節約してその話を最初にしたはうが良かつたですね(/そのことを最初に言ふべきでしたね)」
[笑ひのポイント]
・Blondie は親友 Tootsie と catering business を始め、Dagwood も會社をやめて手傳ふ流れでありました。近い將來の顧客を逃すわけにはゆきません。
[用例研究 252] 〈shouldn’t〉
(BLONDIE By Dean Young & Stan Drake © 1991 King Features Syndicate Inc.)
1 If you want my opinion, you’ve got bad pipes.
2 My pipes are bad?
3 Oh now, come on ...
4 You shouldn’t take these things personally.
4 I know, but I can’t help it.
[解説]
1
・pipes: 業者は plumber [plʌ́mər] と思はれますので、ここでの pipe は「排水管 ( drain pipe ) を指してゐるのでせう。
2
・my pipes: Dagwood は胸に兩手をあててゐますから、ここでは pipe が「氣管」を指してゐるのかと思ひます。
3
・come on: (督促・懇願・説得・激勵・挑戰・注意喚起などの目的で使はれることばです。状況に應じてさまざまな譯語が考へられますが、ここでは used in order to tell someone that you know that what s/he said was not true or right (相手が言つたことが眞實ではない或は適切ではないことを相手に傳へるために用ゐられる)といふケースと解し、「ねえ」としてみました。
4
・shouldn’t~: 「~すべきではない」といふ譯語をあてられることが多いのですが、「べき」ほど強い意味合ひはありません。ここは「~しないはうが良いですよ」と語りかけてゐるやうに見えます。
□參考例文: 生徒が、話しかけてくる隣席の生徒に自制を促してゐるのでせうか。
252.1 We shouldn't visit with our neighbors in class, should we?
授業中に隣の席の人たちとおしやべり(/雜談)しちやいけないでしよ。
・personally: 「個人にあてたものとして」
□參考例文:
252.2 You must not take the criticism personally.
その批判を個人にあてたものと思つてはなりません。
・help: (can / cannot とともに用ゐて)「やめる」「避ける」。I can’t help itで「私はそれをやめられない」「私としてはどうしやうもない」と言つてゐるのでせう。
□參考例文: 受動態の例です。
252.3 It can't be helped.
仕方ありませんよ。/ほかにどうしやうもないんです。
[意味把握チェック]
1 「私の見解をお望みでしたら(言ひますが)、排水管がいけませんね」
2 「ぼくの氣管がいけないのかい?」
3 「あれまあ、ねえ」
4 「かうしたことを個人にあてたことと受けとめないはうがいいですよ」
4 「ああ(わかつてるさ)、でも(自分ぢや)どうしやうもないんだ」
[笑ひのポイント]
・pipe の多義性に着目して作品に仕立てあげてゐます。
[用例研究 251] 〈ought to / should〉
(BLONDIE By Dean Young & Stan Drake © 1981 King Features Syndicate Inc.)
1 Who are the flowers for, Dagwood?
1 They’re a surprise for Blondie.
2 I just wanted her to know I was thinking of her.
3 I really ought to do something like that for Cora.
3 You really should.
4 I knew you’d see it my way.
[解説]
1
・Who……for?: 「その花は誰のためなんだい?」。who は for の目的語のはたらきをしてゐます(「誰のため?」)。目的格 whom は改まつた印象を與へるため who で代用し、for を後にまはしてゐます。
2
・think of~: 「~のことを考へる」「~のことを思ひやる」
3
・ought to / should: ①「~すべきだ(義務・當然の行動)」、②「~のはずだ/きつと~だ(確信)」。兩者はほぼ同意ですが、ought to のはうが should よりもやや強いとする文法書もあります。
①には日本語の「べき」が持つほどの強い意味はなく、must と比べても弱く、「~するはうが良い(助言)」くらゐの意味です。また、②の「~のはずだ/きつと~だ」も must に比べて弱く、さうでない可能性もあると考へてゐる場合に使はれます。
「本來あるべき(正當な)姿が念頭にあるときに(、殊にさうなつてゐない場合に)使はれる」と考へると、上述の ① ② の背景が傳はつてきます。
□參考例文: ①の例です。
251.1 We ought to save energy.
私たちはエネルギーを節約すべきです。
□參考例文: ①の例です。
251.2 You should watch your weight.
體重に氣をつけなくてはね。
□參考例文: ②の例です。
251.3 She ought to know the rules. She's been working here long enough.
彼女は規則がわかつてるはずですよ。十分長くここで仕事してますから。
□參考例文: ②の例です。
251.4 He should win the race.
彼はきつとレースに勝つでせう。
4
・I knew you’d see it my way: ≒ I knew you would agree with me
idiomatic な表現です。「自分と同じ見解を有するだらう、自分のやうな觀方をするだらう、と分かつてゐた」と言つてゐるのかと思ひます。
[意味把握チェック]
1 「その花は誰のためなんだい、Dagwood」
1 「Blondie を吃驚させる贈物ですよ」
2 「ぼくが彼女のことを思つてゐると彼女に知つてほしいんですよ」
3 「わしも實際何かそんなことを Cora のためにすべきだらうな」
3 「はんたうにさうしたはうが良いですね」
4 「わしに同意してくれると分かつてたよ」
[笑ひのポイント]
・Dagwood が買ひ求めた花を社長が奧さんに屆けることになつてしまひました。そのちやつかりした或は強引・傲慢な振舞ひが笑ひを誘ひます。