大福 りす の 隠れ家

小説を書いたり 気になったことなど を書いています。
お暇な時にお寄りください。

僕と僕の母様 第43回

2011年03月20日 01時50分01秒 | 小説
僕と僕の母様 第43回



僕がアルバイト君を 初めてみたのが 高校一年の時に 母様のパート先のお店に行った時だ。

母様が僕の学校の 参観日や懇談会、体育祭などに 毎回欠かすことなく きちんと来てくれていたのを すごく感謝というか 親として一生懸命に役目を果たそうと 努力してくれているんだと思うと 僕も母様の勤めるお店に 参観じゃないけど 同じように行かなくちゃと思い 基本平日出勤の母様に合わせて 夏休みや春休みというような時には 少なくとも一日 他に僕が休みで母様が出勤という日に お店に行くようにしていた。

特別に母様だけが 参観に来ていたわけではないし 他のお母さんだって みんなそうしているではないか、何故そこまで思わなくちゃいけないの? と思われるかもしれない。

一番大きな理由は 僕が中学二年の二度目の参観の時だった

「陵也、明日の参観どうしよう、行っていい?」 と聞くのだ。

何度かそれまでも聞かれていたが それまでは「別に来ていいよ」 と返事をしていた。 でもこの時には

「う・・・ん、どっちでもいいけど・・・もう面倒くさいでしょ、来なくてもいいよ」 そう言ったのだ。

「ふーん・・・そうか、分かった。 もう十分に恥ずかしいもんね。 男の子のお母さんで来てるのは お母さん位だものね、もう 止めとこうか」

「いや、別にそう言う意味じゃなくて そんなに変わり映えのしない 授業を見てたって面白くないだろうし 大体、来るのが面倒くさいだろうと思って 言っただけだから どっちでもいいよ」

「うん、分かった分かった。 うーん・・・そうだな・・・もう止めとくわ」 そう言う会話で 参観に来ることは二度と無かったのだが、すごく母様に対して この時に申し訳なく思ったのだ。

本当は僕の心の中に ほんの少し母様の言う 恥ずかしい があったのだ。

だからと言って 面倒くさいでしょ と言ったのは嘘ではない。

母様は普段お化粧をしない お化粧が嫌いなのだ。

ファンデーションたるものを塗ると くしゃみが当分止まらないようで 目も充血したりしてくる。 それなのに参観の日には きちんとお化粧をしてくる。

多分早くから塗って 鼻や目を慣れさせておいているのだろう。

その上、中学は歩いて三十分以上かかる。 

母様は原付で来るから そんなに距離感は無いのかもしれないが 来てもらう僕にしたら 何十分もかけて来てくれる という感じがある。 遠いのに悪いなと思ってしまうのだ。

そんな思いから出た 僕の言葉で終わらせてしまった 母様の努力を すごく申し訳なく思っているので 発想の転換で 今度は僕が母様の参観をしようと思ったのだ。

僕が母様の参観に行くのは 大抵母様の仕事が終わる 三十分位前からだ。

そして母様の仕事が終わるのを待って一緒に帰る。 と言ってもこの時には 必ずどこかに寄って帰ってくれる。 それがボーリングであったり、マクドナルドであったりと色々だ。 

僕が高校一年の 終わり頃だったと思うが 母様のお店に行ったときに 僕の後ろに そのアルバイト君が居たのだ。

その時には 僕もアルバイト君も お互いを知らないので 背中合わせに普通に立っていた。

そこへ仕事が終わって 着替えてきた母様がやってきて

「陵也、このお兄さんがいつも言ってる バイトちゃん」 母様は家でアルバイト君のことを バイトちゃんと言っていた。

僕が振り返る、アルバイト君も振り返る 僕よりずっと背が高い。

確か僕の五歳位上だと聞いていたが 五年違いで埋め尽くされる身長差ではない。

「えっ、子供さん?」 アルバイト君がそう言った。

「うん。」 そうアルバイト君に返事をして 今度は 「陵也ご挨拶は?」 と僕に言ってきたのだ。

一瞬にしてムカムカが襲ってきた。



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僕と僕の母様 第42回

2011年03月18日 16時08分22秒 | 小説
僕と僕の母様 第42回



「ふーん、ふーん」 僕の顔をわざと覗き込みながら

「まあ、少しは大きくなってきたのかなあ 大人に近づいてきたのかなあ 今までどんな修理の人が来てても 知らない顔ですぐに二階に上がってた人が ちょっとは関わらなくちゃと思ったわけ?」

「別に。 電話が無いと お母さんの一日の楽しみが無くなるから 早く直るといいなと思って言っただけ」 

母様は友達と電話で話し出したら 二、三時間は当たり前 酷いときには五、六時間ほど話してるのだ。

「へー、へー、それはそれはご心配して頂きまして ありがとうごじゃります。」 そう言って

「はい、お利口さん」 僕の頭をよしよしと撫でた。

おちょくられて 腹が立つけど笑えてしまう。 

そんなことが直接の原因で 赤くなってたのとは違うんだ。 イヤ、赤くなってたという事は自覚していなかったが 修理の人にくってかかったのは 僕のムカムカを八つ当たりしてたんだ。

何も分かってない母様が その僕を褒める。 

母様も僕のことを分かっているようで 分かっていないんだと思うと 何故か笑えてしまう。

そう思っていると ムカムカも薄くなってきた。 少し気分が良くなって

「この前の人と違うね」 そう聞いてみた。

「ああ、一回目の人ね 違うよ。 それに二回目は一回目の人と一緒に 違う人がきて二人だったけど 今日の三回目はまた違う人だし だんだん偉いさんが来てるんじゃない? ああ、そんな事どうでもいい また調子悪くなったら電話するのイヤだ」 そう言ってソファーにドーンと座った。

「いいじゃん、今度は新しいのと 取り替えてくれるって言ってたんだから そうしてもらった方が すっきりするじゃない」 いつもの僕と母様らしい会話に戻った。



ついでに言うと 僕のムカムカは この世界でもう二人に対してもある。

修理の人に対しては はっきりとムカムカの理由が分からなかったが でもこの二人に対してのムカムカは 僕自身理由が分かっている。

一人目は 母様のパート先のアルバイト君だ。 

それまではずっと家にいて 時々お小遣い稼ぎと言って 内職をしていたのだが 僕が中学二年の終わり頃に 朝9時からお昼の1時までパートに出だした。

そこで一緒に働いている アルバイト君がムカムカの対象だ。

そのアルバイト君のことを母様はよく話す。 

俗に言うフリーターなのだが 僕より五つ位年上らしく 自分の夢を追っていて 単に定職に就かないのとは訳が違うらしい。

「陵也には きちんと働いてもらいたいという気持ちがあるけど 一生に一度の自分の人生、大切に目一杯生きてほしいし 充実してほしいから もし夢を持ったのならば そっちの方面に全力投球してみるのもいいかなと思う」 

そう言っていた母様の考えにピッタリのアルバイト君は 母様の目に良く映るのだろう。 それが許せない。

それのどこが許せないのかと聞かれると その質問からズレた答えになるかもしれないが

母様の息子は僕だけなんだ。 

そういう答えしか出てこない。 それ以上でも以下でも答えはない。 それ以外の答えは無いのだ。





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僕と僕の母様 第41回

2011年03月17日 14時14分46秒 | 小説
僕と僕の母様 第41回



「今はまだ調子がいいみたいですけど まだ一週間も経ってませんから よくは分かりません」 と母様が答えていた。
 
電話を切って母様が

「修理の人が明日から ちょっと遠くの方に仕事で行くらしいから また調子が悪くなったら 会社に電話して下さいだって。 もう何回も電話するのイヤだ~」 と言っていたが しっかりそれから一週間後くらいに またすごい雑音が出てきた。

仕方なく電話をしたようだがさすがに母様も

「あの、もう直らないようでしたら 何度も来ていただくのは申し訳ないので 新しいのを買いますが」 と言っていたが あちらもプロだ。 直します、行かせますと 電話の向こうで応対しているようだ。

次の日 僕はたまたまその日もどこにも寄らないで家に帰ってきた。

すると家の前に XYZの車がまた止まっていた。

玄関に入るとまた男の人の靴だ。 この間のムカムカが蘇ってきた。

キッチンに行くと 一回目に僕が見た人と違う人が修理をしていた。 

母様はこの間と同じように 立ったままでずっと作業を見ていた。

僕もこの間と一緒だ、母様の横に立った。 でも今度は黙っていない。

母様に「ちゃんと修理出来てないって言ったの?」 そう聞いた。

「うん、この前は、基盤も替えてくれたけど また駄目だったって言ったよ」 この位の少ない会話だけどしていた。

少しして作業が終わったようだったので

「これでまた駄目だったらどうするんですか。」 僕は言った。

「今、基盤を替えたのでこれで駄目だったら 新しい商品とお取替えします。」

「でも前も替えたのに駄目だったんだから 同じじゃないんですか」 僕はくいさがった。

「ご迷惑をかけて申し訳ありません、後一回様子を見て下さい。」 これ以上僕も何かを言う勇気も 情けないが 知恵もない。 

母様が僕の方を見て ニッと笑った。 そして修理の人に向かって

「分かりました。 これで様子を見て駄目だったら その時にまたお願いします」 と言って この前みたいに書類にハンコを押して 修理の人を玄関まで送りに行った。

今度は僕もついて行った。

修理の人が出て行き 玄関のドアが閉まったので 僕がリビングに帰ろうとすると 母様が僕の腕を持って制した。

車のエンジンがかかるのを 耳を澄まして確認するまで なぜか母様がその場を動かない。

腕をもたれている僕も動けない。 不愉快な僕は余計にムカムカした。

母様に話しかけもしたくない。

エンジンの音がして 車が出ていくのを確認できてからようやく 母様がまたニッと笑って腕を離し 回り込んで僕の前に立った。

「陵ちゃーん、何顔真っ赤にしてるの~?」 おちょくったように言う。

「何?」 ムカムカしているだけの僕は 意味が分からない。

「お顔がまっ赤だよ~」 

嘘だ、全然顔なんか赤くないし熱くない。「そんなことない!」

「さっき修理の人に思い切って言ったもんだから 顔が赤くなってるんだ。」

「そんなことない!」 今度は自分でも顔が熱くなってきたのが分かる。

「わーまたいっそう赤くなってきた。」

「今は自分でも分かるけど さっきまでは赤くなんかなかった!」 

顔が火事になったみたいに熱い。





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僕と僕の母様 第40回

2011年03月16日 13時41分39秒 | 小説
僕と僕の母様 第40回



今日 部活は休みだ。

順平はギターのレッスンだから 他の友達と一緒に電車で帰った。 僕は別にどこに寄る事もなく まっすぐ家に帰った。

家の前まで帰ると 車が家に横付けして止めてある。 

自転車を家のガレージに入れて その車をよく見てみると XYZ と書いてある。

XYZ・・・電話機のメーカーだ。 

あ、そう言えば電話の調子が悪いから 修理に来てもらうと言ってたな、と思い出し 玄関のドアを開けて 家の中に入った。

玄関に見覚えのない男物の靴がある。

「ただいま」 と言って リビングから電話の置いてあるキッチンを見てみた。

男の人がいる。 その後ろに母様が立っている。

当たり前の光景なのだが しっくりこない 僕は無言で母様の横に立った。 

「お帰り、やっぱり調子悪いみたいなんだけど 微妙。 今日は調子良い方みたい。 これじゃあ 悪い度合いが伝わらないわ。 いつもみたいに 雑音が出るには出るけど 音が小さいの、このくらいの音なら我慢できるけど・・・。」

電話の調子の悪い内容は すごい雑音で 紙をクシャクシャにした時に出るような シャッシャという音と キーンという金属音がするのだ。 どちらもすごい音量で 相手の声も聞き取れないし 金属音に関しては 受話器に耳を付ると 耳をツンザクくような痛みが走り すぐに電話を耳から離してしまう。

「ふーん」と、僕は不愉快そうに答えた。

今日 誰かが電話の修理に来ることは分かっていたし その修理をする人が 普通男の人だということも 考えれば分かることだし 玄関で靴を見たときにも 十分分かっていたはずなのに イヤその時からか すごく心の中が不愉快という思いでいっぱいになったんだ。

何がどうしてかは分からない。 でもあの玄関で靴を見た時から 心の中がムカムカする。 キッチンで一緒に立っていても 余計にムカムカする。

でも作業が終わるまでは 絶対にこの場を動かない 動くもんか、そう思って立っていた。

少しして作業が終わった。 母様がいろんな書類の説明を受けながら 確認のハンコを押している。

僕はその時にも母様の隣に無言で立っていた。

全部が終わり 母様が玄関まで見送りに出た時に 僕は母様から離れ 制服を脱いで着替えを始めた。

リビングにあるクローゼットの中に制服を掛け そして着替えは 毎日洗濯するわけではないので 昨日着ていた物を 大抵ソファーの上に置きっぱなしにしている。

玄関で母様と修理をしていた人が少し話をしていたが すぐに終わって母様がリビングに入ってきた。

いつもの僕ならここで「どうだった?」 とか「ちゃんと直ったみたい?」 とかって何かしら話をするのに 僕は着替え終わるとすぐに 無言で二階に上がって行った。

そしてベッドに潜り込みそのまま寝てしまった。

部活をしてきたわけでもないし どこかに寄ってきたわけでもない 体育の授業で疲れて帰ってきたわけでもないのに さっきのムカムカのおかげで 凄く精神的に疲れてすぐに眠りに入れた。

しかし修理はこの一回では終わらなかった。

一週間位して 電話の調子の悪さがまた出てきたらしく もう一度来てもらうように母様が電話をしていた。

その時の修理は 僕が部活に行っていた時だったらしく その時のことを僕は見ていないが 当日その修理の人が来る前に 電話が完全に不通状態になったらしく 「プー」 という音もしなくなったらしい。

そんなもんだから 修理の人も気になったのだろう、通話できる状態にしてはくれたものの 例の雑音は確認する事が出来なかったし、大体一週間から二週間位して 症状がまた現れるみたいなので 一週間後にまた電話をして 様子を伺うと言っていたそうだ。

そしてそれから3,4日して 2回目に来た修理の人から夜電話があった。

調子の方はどうかという電話だった。





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小説について ご報告

2011年03月15日 16時07分49秒 | 日記
いつも 「僕と僕の母様」 を読んで頂きまして有難う御座います。



地震の事があり 当分小説のアップは控えよう と思っておりましたが 小説をアップしていないにも関わらず 来て下さる皆さんがいらっしゃることを この数日のアクセス数で知ることが出来ました。

皆様、有難う御座います。

皆様に暖かいものを頂いてばかりでは・・・そう 考え直しました。

まだまだ未熟な 素人小説ですが 今日か明日から再開していこうと思います。
宜しくお付き合い下さいませ。


最後にもう一度

来てくださって 本当に有難う御座います。

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素晴らしい日本人

2011年03月14日 23時19分20秒 | 日記
本日は 小説「僕と僕の母様」を アップ致しませんでした。


今日何気なくつけたテレビに 素晴らしい言葉を 沢山耳にしました。 素晴らしい姿を 沢山目にしました。


先日も載せましたように テレビを見ないように心がけては居りますが 原発のことなど やはり気になり 少し見てしまっております。


その中で 日本人は どれだけ素晴らしい心を持っているのだろうと 感謝の気持ちでいっぱいになりました。


私、被災者ではない人間が 被災者の方々に 感謝させていただくなんて・・・。


テレビの向こうで 被災者の方々が 食べ物を分かち合ったり、独り占めせずに物を分かち合ったり、感謝の言葉を心から言っておられたり もったいなく 見て聞かせていただきました。

そして 電気の供給のための節電では これ位しか協力できないと 停電も苦ではないと言っておられたり・・・。



まだまだ 私は未熟者です。

ただ、ただ あまりの素晴らしい、美しい 言葉や姿勢などに心が揺さぶられ 今 思いのまま文字にしてしまいました。




どうか、どうか 皆さんの素晴らしい心が これ以上辛くなることのないようお祈りいたします。


一日も早い 復興を願って止みません。


亡くなった方々のご冥福をお祈りいたします。 残された方々は素晴らしい心をお持ちです。 どうぞ 安心して 天に召されますように。 

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東北地方太平洋沖地震

2011年03月13日 02時06分37秒 | 日記
3月11日 14時ごろに 「僕と僕の母様 第39回」 を アップ致しました。

お気になられましたら お暇な時に一度お読み頂けたら・・・ と思っております。

以前にお読みいただいた方、お気に召されましたら どうぞ続きをお読み下さい。





皆さんももう既にご存知でしょうが 11日に大変な地震がおきました。

また、その後の津波そして火災と 目を覆うようなテレビ報道がなされています。

被災された方々のご健康をお祈りし 今だ行方不明の方々の少しでも早い発見を願っております。

そして 亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたします。





精神世界のお話になりますが こちらの方では 被災されていない方々には 出来るだけ テレビや報道を見たり聞いたりすることを勧めていません。

その情報を見聞きすることによって 負のエネルギーが生まれるからです。

確かに私たちは人間です。 人間であるが故に 大変な目にあわれていると 「大丈夫かしら」「何て痛々しいの」「どうしてこんな悲しい出来事が」 等という事を思ってしまいます。 それは人間として持ち合わせた 感情というものがある故です。 人間として当たり前の思いなのです。 

決してそれが悪いということではありません。 

ただ その思いの持っているエネルギーが 負のエネルギーなのです。

不安、怖れ、悲しみ・・・現地の方々は この思いでいっぱいです。 

その負の想いと同調しないように 被災されていない方は 素晴らしい清いエネルギーを 感じ、想い そしてその愛のエネルギーを 大地に流すように、地球に放つように、そして 現地の方々の負のエネルギーを包み込むように 送ってほしい。

そうすれば もし、まだこれから悪くなっていくことがあれば 大難を小難に変えることが出来 また 少しでも 回復していくことが出来る と言われています。




全ての精神世界の方々が そう言っておられるとは限りませんが 少なくとも 私の知っている限りでは そういう風に言われております。


如何でしょうか?

少しその話を信じて 実行してみては いかがでしょうか?

『祈る』 は「いのる」 です。 そして 『意乗る』 です。 心を込めて ご自分の『意』 を 『乗』 せて 送ってみませんか?
 


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僕と僕の母様 第39回

2011年03月11日 14時25分05秒 | 小説
僕と僕の母様 第39回



「コンクール予選どうするの?何かやりたい曲ないの?」 先輩から話しかけてきた。

「全然分からない」

「ま、そんな事はいいか。 一緒に駅まで歩くの久しぶりだね。」 そう言って 何ヶ月か振りに一緒に帰った。



この旧三年フルート先輩とは 学校の休みの日に 何度か遊びに出掛けた事がある。

最初は チケットが手に入ったから 一緒に展覧会を見に 連いてきて欲しいと言うものだった。

電車に乗ってどこかへ出掛ける事の出来ない僕は 僕の乗る駅で先輩と待ち合わせて そのまま先輩に連れて行ってもらったようなものだった。

先輩からしてみると 先輩の乗った駅から 僕の駅を通過して まだその先の駅に向かうのだが 考えて見ると目的地までは僕の方が近いことになる。

それに その間に乗換えがあったりしたのだが 先輩の住んでいる所からは かなり遠い所にあるのに どうして先輩は知っているのだろうか? それとも知らない僕が オカシイのだろうか。

何の展覧会かは 教えてもらっていなかった。 

いざ、その展覧会とやらに行くと テディーベアが 所狭しとイッパイ並んでいた。

電車の行き方は知らないが テディーベアは知っている。

そういえば先輩の 鞄や携帯、フルートのケースに付けてあるストラップは 色々付けてはいるが テディーベアが必ず付いていた。

「テディーベアが好きなの?」

「あ、何? 陵也クン テディーベア知ってるの?」
  
「誰でも知ってるんじゃない?」

「そんなこと無いわよ、女の子じゃないんだから。 あ、もしかして陵也クンも テディーベア好きなの?」 どうして嬉しそうな顔で聞くんですか?

「え!?」 突拍子も無い質問をしてくれて 驚いてしまった。 いくらなんでもそんな趣味はありません。

「ビンゴ?」 僕の驚いた顔を見て そんなことを言ってきた。

「ハズレ。 思いもしない質問をするから ビックリしただけです。 クマさんのお人形の趣味はありません。」 笑いながら言った。

「なんだー、 一瞬お揃いで持とうかと思ったのに。 でも良かった、もし最初にテディーベアの展覧会って言って そんなもの知らないとか、興味が無いって言われたら嫌だから 何を見に行くのか教えなかったのね。 でも そんな風でも無さそうだし、ずっと見て回るの付き合ってくれる?」

「いいよ。 そんなこと気にしなくて良かったのに。」

そんな話で始まって ずっとテディーベアを見て歩いていた。

テディベアを見て回るのはいいんだけど それより僕はお金をそんなに持ってないから 電車代だけで大変で こっちの方に困ってしまっていた。

結局、おごることもなく、おごられることも無く 自分の分のジュースだけを 自販機で買って飲んでいた。

その後も 数える程だけど お金のかからない所へ出掛けたことがあった。



この日は 大学の話しや友達の話しをしているうちに駅に着き 先輩が在学中の時のように 改札を入った所で 長話をしてから別れた。



帰って母様に「お帰り、遅かったわね」 と言われた。

「うん、部活が長引いて」 と、申告しておいた。 そう言うといつもの如く

「今日、学校どうだった?」 とか「部活どうだった?」 とかって聞いてきたので

「何か コンクールの予選があるみたい」・・・そんな会話に導いて行った。

心の中でほんの少し引っかかりがある。



数日後、例の教室の前をウロウロしていた 一年生の女の子が 廊下で僕のクラスの奴に 手紙を渡しているのを見た。

その相手というのは ラグビー部で結構体格のいい奴だ。

この場面を僕一人が見たというのではなくて みんなの面前で渡していたのだ。

みんなからヒューヒューと 冷やかされながら そいつは手紙を受け取っていたが あまりいい顔はしていないようだった。

女の子がいなくなってから クラスの奴らが「手紙早く見ろよ」 と、はやし立てていて その中に順平もしっかりと混じっていたから 僕は後で順平に聞こうと思い その時は知らぬ顔をしていた。

そしてその後 順平に聞くと 熱烈なラブレターだったらしく「鳥肌ものよ」 と言っていた。

最後に自分のメルアドを書いてあって 尚且つ、こちら側のアドレスも教えてほしいと 書いてあったそうだ。

そして渡されたヤツは 速攻断るといってメールを打ちかけたが これでメールを打ってしまうと 自分のアドレスがバレてしまうという事に気づき 次の休み時間に何人か引き連れて教室を出ていった。

可哀相に速攻振られたようだ。



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僕と僕の母様 第38回

2011年03月10日 14時46分39秒 | 小説
僕と僕の母様 第38回



いったい誰だ? 何だ? と思って順平に聞いてみた。

「最近あの子よく見かけるけど 何処のクラスなんだろう 何してると思う?」

「一年だよ」

「ああ、そうなんだ。 あんまり見かけないと思った。 えっ、でも何で一年が この校舎にいるの?」 僕達二年生と一年生とでは 校舎が違うのだ。

「このクラスの誰かに 興味があるみたい」 初耳だ。

「えっ、誰?誰?」 興味津々になってしまう。

「分かんない。 でも一人で来るっていうのは いい根性してんじゃん」 いつも一人なのだ。

「ああ、そう言われれば。 普通 誰か友達と来るもんね」 本当にいい根性してるなと思った。

「まぁ、あの顔じゃあ 誰も相手にしないだろうけど」 憎たらしい盛りの 高校生の言葉が出た。

「そんなこと言って 順平だったらどうすんのさ」 三日月の目で聞いてみた。

「気持ち悪いこと言わないでよ」 真剣に嫌がってる。 順平は相当顔で判断するようだ。

それからも その女の子の出没は続いていた。



ある日 旧部長と旧三年フルート先輩が来てくれている時に 新部長が

「今度コンクールの予選会があるから 曲をそろそろ決めなくちゃならないんだけど どう、今やりたい曲ある?」 と皆に聞いてきた。

「いつですか」 この春に入部してきた 僕と同級生の男子が五人いたが その内の一人が聞いた。

「夏休みに入ってすぐ」

こんな少ない人数で 何を演奏するの? と考えてしまった。

ブラバンと呼ぶには 十分ではない筈だ。

僕のそんな思いは誰に伝わることもなく 話が進んでいく。

本当に出来るの? という感じで 同級生フルートの方を見ると 向こうもそう思っていたようで お互い目をあわせていたが そんな二人の思いとはウラハラに 先輩たちや入部して来た同級生の男子二年生達はノリノリだ。

ちなみに この同級生男子達は 僕より酷い、全くの素人だ。 楽譜も読めないようである。 

「取りあえず みんなそれぞれやってみたい曲を言ってみて。 出来る出来ないはその時に考えよう」 部長がそう言った。 

どんな曲がやれるって言うのだろう。 僕と同級生フルートはずっと黙っていた。 先輩たちで盛り上がっている。

「そこの二人、何かやりたい曲とかないの」 先輩フルートが僕のほうを見ながら そう聞いてきた。

フルート同士 女同士で同級生フルートの方を 見てくれれば良いのに どうして僕のほうを見るの。

どうしよう どう返事をしよう 「はあー」 と言って考える振りをしていると 同級生フルートが助けてくれた。

「急に言われても何も思いつきませんし どんな曲があるのかもまだ良く分かりません。 ね、陵也君そうだよね」 ・・・なんてしっかりしたお子様なんだ。 同級生とは思えない。 

「はい」 あまりの感心に ついウッカリ同級生相手に 敬語で答えてしまった。

「そうか、無理かなあ。 でも何でも良いから もしやりたい曲が見つかったら いつでも言ってよ。 今日中に決めなくちゃいけないわけじゃないし、私たちもまだまだ考えたいしね」 その言葉に 僕に代わって同級生フルートが

「はい、分かりました。 考えておこうね陵也君」 頷くだけの僕は情けない。

「はーい、じゃあ今度の練習 ・・・無理かな、来週位までに考えといて」 そう言って新部長はその日は帰って行った。

その後は誰も練習することなく どの曲がいいだのと みんなで話していたので この盛り上がりの中一人で音を出すのもな、と思い 少しの間だけ 話に加わるようなそぶりを見せて「あの僕今日はもう帰ります」 と言って帰ることを伝えると

「ちゃんと曲、考えてきてよ」 とトランペット先輩とフルート先輩に言われて「へへ」 っていう感じで 何となく返事をして部室を出てきた。

校舎を出ようとしたときに 旧三年フルート先輩に出くわした。

途中まで部室で例の話しを聞いていたのだが 部室を出て職員室に寄ってから 今帰ろうとしていたところらしい。 

「久し振り」

「うん」



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僕と僕の母様 第37回

2011年03月09日 14時53分59秒 | 小説
僕と僕の母様 第37回



一年サックスは毎回練習を休まず とても真面目にやってきた。

それに練習熱心だ。 いつも渡り廊下に出て 当時の僕と同じように 音階、ロングトーンと地道に練習をしている。

この練習は 僕が一年サックスに言ったものだ。

「音階とロングトーンは 必ず毎回するほうがいいと思うよ。 特にロングトーンは とても大切な練習だから 長めの時間の練習をお勧めするよ。」

「はい。 ありがとうございます。」 そう言って 毎回練習をしているのだが 少し気になって その日、一年サックスが部室を出て 渡り廊下に行こうとした時に 一言添えた。

「いつも練習をしているのを 聞いてるけど ロングトーンしすぎると 頬っぺたが痛くなっちゃうから 気をつけてね。」

「はい、もうずっと痛かったです。」 笑顔で答えた。

「え、そうだったの? 無理しちゃ駄目だよ。」 あまりの正直さに呆れた。 正直と言っても 今の返事に対してではない。 練習に対する正直さだ。

「痛いのが嬉しいんです。」 ニッコリ笑って とても満足気ですけど それってMとかSとかって いうのじゃないよね。 この正直な人間を目の前に そう考えた自分が 情けない。

「ほどほどにね。」 情けない自分を感じながら 頭に浮かんだ言葉が これ一つだった。

僕も負けてはいられない。

一年サックスが 二階の渡り廊下で 練習している時、僕は三階の渡り廊下で 練習をしようとした。 少しでも上から目線で・・・馬鹿な自分がここにもいた。

多分こういうところの考え方も 母様似なのだろう。 でもこの事を 母様に言うと どんな答えが返ってくるか 充分想像できる。 言わないでおこう。



それから数日経った頃。 

ふと気付くと 一年サックスが持っているサックスの サビやくすみが なくなってきたような気がしたので

「あれ、気のせいかなきれいになってない?」

「あ、分かりますか 練習日にも磨いてたんですけど この間の土日に家に持って帰って リキ入れて磨いたんです。」・・・なんてお利口さんなんだろう。 僕はまたまた 自分が情けなくなった。

僕も何度か家に持ち帰って 練習をしたことがあったが 特別に磨いたりはしなかった。

あれだけ僕のヘタッピな練習に 付き合ってくれたサックス君だったのに、情けない僕にまたまた自己嫌悪だ。



そんな毎日を繰り返しながら 僕も少しづつ上達して来た。

旧部長も時々様子を見に来てくれて 僕や一年サックスに教えてくれたり 僕が最初なかなか慣れなかった あのグランドピアノの上におやつを並べての おしゃべりタイムで 大学のいろんな話しを 聞かせてくれたりした。

新部長は旧部長とは全然違うタイプだし あまり好きではない。 だから旧部長が来てくれた日は とても充実する。



この頃に僕達の教室の前で あまり見たことのない女の子が 時々ウロウロしているのを 何度か見かけた。
 



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