僕と僕の母様 第43回
僕がアルバイト君を 初めてみたのが 高校一年の時に 母様のパート先のお店に行った時だ。
母様が僕の学校の 参観日や懇談会、体育祭などに 毎回欠かすことなく きちんと来てくれていたのを すごく感謝というか 親として一生懸命に役目を果たそうと 努力してくれているんだと思うと 僕も母様の勤めるお店に 参観じゃないけど 同じように行かなくちゃと思い 基本平日出勤の母様に合わせて 夏休みや春休みというような時には 少なくとも一日 他に僕が休みで母様が出勤という日に お店に行くようにしていた。
特別に母様だけが 参観に来ていたわけではないし 他のお母さんだって みんなそうしているではないか、何故そこまで思わなくちゃいけないの? と思われるかもしれない。
一番大きな理由は 僕が中学二年の二度目の参観の時だった
「陵也、明日の参観どうしよう、行っていい?」 と聞くのだ。
何度かそれまでも聞かれていたが それまでは「別に来ていいよ」 と返事をしていた。 でもこの時には
「う・・・ん、どっちでもいいけど・・・もう面倒くさいでしょ、来なくてもいいよ」 そう言ったのだ。
「ふーん・・・そうか、分かった。 もう十分に恥ずかしいもんね。 男の子のお母さんで来てるのは お母さん位だものね、もう 止めとこうか」
「いや、別にそう言う意味じゃなくて そんなに変わり映えのしない 授業を見てたって面白くないだろうし 大体、来るのが面倒くさいだろうと思って 言っただけだから どっちでもいいよ」
「うん、分かった分かった。 うーん・・・そうだな・・・もう止めとくわ」 そう言う会話で 参観に来ることは二度と無かったのだが、すごく母様に対して この時に申し訳なく思ったのだ。
本当は僕の心の中に ほんの少し母様の言う 恥ずかしい があったのだ。
だからと言って 面倒くさいでしょ と言ったのは嘘ではない。
母様は普段お化粧をしない お化粧が嫌いなのだ。
ファンデーションたるものを塗ると くしゃみが当分止まらないようで 目も充血したりしてくる。 それなのに参観の日には きちんとお化粧をしてくる。
多分早くから塗って 鼻や目を慣れさせておいているのだろう。
その上、中学は歩いて三十分以上かかる。
母様は原付で来るから そんなに距離感は無いのかもしれないが 来てもらう僕にしたら 何十分もかけて来てくれる という感じがある。 遠いのに悪いなと思ってしまうのだ。
そんな思いから出た 僕の言葉で終わらせてしまった 母様の努力を すごく申し訳なく思っているので 発想の転換で 今度は僕が母様の参観をしようと思ったのだ。
僕が母様の参観に行くのは 大抵母様の仕事が終わる 三十分位前からだ。
そして母様の仕事が終わるのを待って一緒に帰る。 と言ってもこの時には 必ずどこかに寄って帰ってくれる。 それがボーリングであったり、マクドナルドであったりと色々だ。
僕が高校一年の 終わり頃だったと思うが 母様のお店に行ったときに 僕の後ろに そのアルバイト君が居たのだ。
その時には 僕もアルバイト君も お互いを知らないので 背中合わせに普通に立っていた。
そこへ仕事が終わって 着替えてきた母様がやってきて
「陵也、このお兄さんがいつも言ってる バイトちゃん」 母様は家でアルバイト君のことを バイトちゃんと言っていた。
僕が振り返る、アルバイト君も振り返る 僕よりずっと背が高い。
確か僕の五歳位上だと聞いていたが 五年違いで埋め尽くされる身長差ではない。
「えっ、子供さん?」 アルバイト君がそう言った。
「うん。」 そうアルバイト君に返事をして 今度は 「陵也ご挨拶は?」 と僕に言ってきたのだ。
一瞬にしてムカムカが襲ってきた。
最後まで読んで頂きまして 有難う御座いました。
参加しております。 応援のクリックをお願いいたします。
![にほんブログ村 小説ブログ 現代小説へ](http://novel.blogmura.com/novel_contemporary/img/novel_contemporary88_31.gif)
にほんブログ村
有難う御座いました。
僕がアルバイト君を 初めてみたのが 高校一年の時に 母様のパート先のお店に行った時だ。
母様が僕の学校の 参観日や懇談会、体育祭などに 毎回欠かすことなく きちんと来てくれていたのを すごく感謝というか 親として一生懸命に役目を果たそうと 努力してくれているんだと思うと 僕も母様の勤めるお店に 参観じゃないけど 同じように行かなくちゃと思い 基本平日出勤の母様に合わせて 夏休みや春休みというような時には 少なくとも一日 他に僕が休みで母様が出勤という日に お店に行くようにしていた。
特別に母様だけが 参観に来ていたわけではないし 他のお母さんだって みんなそうしているではないか、何故そこまで思わなくちゃいけないの? と思われるかもしれない。
一番大きな理由は 僕が中学二年の二度目の参観の時だった
「陵也、明日の参観どうしよう、行っていい?」 と聞くのだ。
何度かそれまでも聞かれていたが それまでは「別に来ていいよ」 と返事をしていた。 でもこの時には
「う・・・ん、どっちでもいいけど・・・もう面倒くさいでしょ、来なくてもいいよ」 そう言ったのだ。
「ふーん・・・そうか、分かった。 もう十分に恥ずかしいもんね。 男の子のお母さんで来てるのは お母さん位だものね、もう 止めとこうか」
「いや、別にそう言う意味じゃなくて そんなに変わり映えのしない 授業を見てたって面白くないだろうし 大体、来るのが面倒くさいだろうと思って 言っただけだから どっちでもいいよ」
「うん、分かった分かった。 うーん・・・そうだな・・・もう止めとくわ」 そう言う会話で 参観に来ることは二度と無かったのだが、すごく母様に対して この時に申し訳なく思ったのだ。
本当は僕の心の中に ほんの少し母様の言う 恥ずかしい があったのだ。
だからと言って 面倒くさいでしょ と言ったのは嘘ではない。
母様は普段お化粧をしない お化粧が嫌いなのだ。
ファンデーションたるものを塗ると くしゃみが当分止まらないようで 目も充血したりしてくる。 それなのに参観の日には きちんとお化粧をしてくる。
多分早くから塗って 鼻や目を慣れさせておいているのだろう。
その上、中学は歩いて三十分以上かかる。
母様は原付で来るから そんなに距離感は無いのかもしれないが 来てもらう僕にしたら 何十分もかけて来てくれる という感じがある。 遠いのに悪いなと思ってしまうのだ。
そんな思いから出た 僕の言葉で終わらせてしまった 母様の努力を すごく申し訳なく思っているので 発想の転換で 今度は僕が母様の参観をしようと思ったのだ。
僕が母様の参観に行くのは 大抵母様の仕事が終わる 三十分位前からだ。
そして母様の仕事が終わるのを待って一緒に帰る。 と言ってもこの時には 必ずどこかに寄って帰ってくれる。 それがボーリングであったり、マクドナルドであったりと色々だ。
僕が高校一年の 終わり頃だったと思うが 母様のお店に行ったときに 僕の後ろに そのアルバイト君が居たのだ。
その時には 僕もアルバイト君も お互いを知らないので 背中合わせに普通に立っていた。
そこへ仕事が終わって 着替えてきた母様がやってきて
「陵也、このお兄さんがいつも言ってる バイトちゃん」 母様は家でアルバイト君のことを バイトちゃんと言っていた。
僕が振り返る、アルバイト君も振り返る 僕よりずっと背が高い。
確か僕の五歳位上だと聞いていたが 五年違いで埋め尽くされる身長差ではない。
「えっ、子供さん?」 アルバイト君がそう言った。
「うん。」 そうアルバイト君に返事をして 今度は 「陵也ご挨拶は?」 と僕に言ってきたのだ。
一瞬にしてムカムカが襲ってきた。
最後まで読んで頂きまして 有難う御座いました。
参加しております。 応援のクリックをお願いいたします。
![にほんブログ村 小説ブログ 現代小説へ](http://novel.blogmura.com/novel_contemporary/img/novel_contemporary88_31.gif)
にほんブログ村
有難う御座いました。