最近の気になるニュース(人事労務編)

人事労務の情報を新聞報道等からチョイスしてお送りしています。さらに最近読んだ本やお気に入りの音楽を紹介しています。

③マクドナルド賃金訴訟:マック側が控訴(毎日新聞)

2008年01月30日 | Weblog
1月30日の毎日新聞によると、
 『日本マクドナルドの直営店店長が残業代の支払いを求めた訴訟で、同社は29日、店長を管理職扱いにして残業代を支払わないのは違法とした東京地裁の28日の判決を不服として東京高裁に控訴した。』
 
 外食業界を震撼させたこの判決ですが、日本マクドナルドは不服とし控訴しました。苦し紛れというか、時間稼ぎとしか思えないような対応です。しかし、控訴したおかげで、業界では、係争中で(まだ未解決な問題として)、性急な対応をせまられることはないでしょう。それにしても日本マクドナルドは、監督署の指摘により労働時間の把握を30分単位から1分単位に変更しました。昨年フランチャイズの不祥事がありました。そして今回の判決です。一難去ってまた一難といったところでしょうか。


②マクドナルド訴訟:店長は非管理職 東京地裁が残業代認定(毎日新聞)

2008年01月30日 | Weblog
1月28日の毎日新聞によると、
『ハンバーガーチェーン「日本マクドナルド」の店長が、管理職扱いされて時間外手当を支払われないのは違法として、同社に未払い残業代や慰謝料など計約1350万円の支払いを求めた訴訟で、東京地裁は28日、約755万円の支払いを命じた。斎藤巌裁判官は「職務の権限や待遇から見て、店長は管理監督者に当たらない」と述べた。
 同社では正社員約4500余人中、約1715人(07年9月現在)が店長。チェーン展開するファストフードや飲食店では同様のケースが多く存在するとされ、判決は業界に影響を与えそうだ。
 訴えていたのは、125熊谷店(埼玉県熊谷市)店長、高野広志さん(46)。99年に別店舗で店長に昇格して以降、残業代が支払われなくなり、時効にかからない03年12月~05年11月の2年分について約517万円の支払いなどを求めた。
 労働基準法は時間外勤務に対する割り増し賃金の支払いを規定しているが、「管理監督者」は適用外になる。訴訟では、同社の店長が管理監督者に当たるかが争点だった。
 判決は管理監督者を「経営者と一体的立場で労働時間の枠を超えてもやむを得ない重要な権限を持ち、賃金が優遇されている者」と判断。同社店長について、店舗責任者としてアルバイトの採用や会社のマニュアルに基づく運営など店舗内の権限を持つにとどまり、経営者と一体的立場とは言えないと認定。さらに、品質・売り上げ管理などに加え、調理や接客なども行うため、労働時間の自由裁量性は認められず、部下の年収を下回るケースもあるなど待遇が十分とは言い難いと指摘した。
 その上で未払い残業代約503万円を認め、労働基準法に基づきその半額について懲罰的な意味合いを持つ「付加金」の支払いを命じた。』

マクドナルド訴訟=外食業界に大きな波紋
1月28日の毎日新聞によれば、
『日本マクドナルドが店長を管理職扱いとして時間外手当を支払わないのは違法、とした東京地裁の28日の判決は、同じような人事制度を持つ他企業にも見直しを迫ることになりそうだ。外食業界などでは、すでに店長に残業代を支払う人事制度に変更した企業もあるが、「経営の根幹を揺るがしかねない問題」(首都圏のファミリーレストラン)という動揺も広がっている。
 外食業界では、日本ケンタッキー・フライド・チキンが06年に人事制度を変更し、店長を管理職から外す代わりに、残業代を支払う形にしている。吉野家ホールディングスも「店長でも、長時間労働に見合った残業代を支払うのは当然」と話している。
 しかし、同業界ではマクドナルドのほか、ロッテリアやモスフードサービス、すかいらーくなど、店長を残業代の支払い対象としていない企業が多い。各社とも「裁判の行方を見守りながら今後の対応を検討する」(ロッテリア)との姿勢だが、すかいらーくは「店長には職務に相応する手当を付けている」としており、「店長の給与水準が極めて低いマクドナルドの事例は極端」(大手ファストフード)との見方もある。
 ただ、今回の判決で、各社ともすべての店長に残業代を支払うよう迫られることになれば、人件費の大幅なアップは避けられない。人件費などのコストは企業の競争力に直結するだけに、各社は難しい対応を迫られそうだ。』


ユニクロで上司が暴力 230万円の支払い命令

2008年01月30日 | Weblog
1月29日の朝日新聞によると、
『カジュアル衣料チェーン「ユニクロ」(本社・山口市)の千葉県内の支店で98年、上司の暴力やその後の会社の不当な対応で心的外傷後ストレス障害(PTSD)になったとして、愛知県内の男性(35)が、元上司や当時ユニクロを展開していたファーストリテイリング(本社・同市)側を相手取り、計約6000万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が29日、名古屋高裁であった。岡久幸治裁判長は、暴力などで男性がPTSDではなく、妄想性障害になったと認め、同社などに約230万円の支払いを命じた。
 一審・名古屋地裁は06年9月、男性が暴行などでPTSDになったとまではいえないが、妄想性障害になったとして、約1000万円の損害を認定。支給済みの休業補償給付金との差額の約224万円の支払いを同社などに命じていた。男性側が控訴し、同社などが付帯控訴していた。
 判決によると、男性は98年11月、ミスを指摘したため、当時の支店長から顔に頭突きをされるなどの暴行を受け、首に4週間のけがを負った。その後、応対した同社幹部から「ぶち殺そうか」などと言われ、男性は妄想性障害になった。』

パワハラ問題は、労働者の権利意識の高まりのせいでしょうか、話題になっております。このブログでも載せましたが、再度紹介します。

参考まで。
①上司の叱責、「パワハラ状態」=自殺過労死を労災認定-保険審査会
10月18日の時事通信社によると、
『盛岡市の自動車部品販売会社「日産部品岩手販売」に勤務していた男性=当時(31)=が自殺したのは、過重なノルマや上司の強い叱責(しっせき)などが原因として、労働保険審査会は18日までに、盛岡労働基準監督署長などが出した遺族補償給付の不支給処分を取り消した。審査会は「売り上げ目標も高く、叱責による心理的負担はパワーハラスメント(職権を背景とした嫌がらせ)を受けているような状況」と認定した。
 裁決書などによると、男性は1996年に入社。99年8月に盛岡営業所に配属されたが、営業経験がないにもかかわらず厳しいノルマが課され、休日出勤も強いられた。さらに上司の営業部長から、ノルマ不達成などを理由に、毎日のように「辞表を書け」「やる気があるのか」などと叱責され、重度のストレスが原因で、同年12月に自殺した。』 

②上司の暴言と自殺の因果関係認める 東京地裁判決
10月15日の朝日新聞
『上司から「お前は給料泥棒だ」「目障りだから消えてくれ」などと言われ続けた会社員が自殺した。暴言が自殺の引き金になったかどうかが争われた訴訟の判決で、東京地裁は15日、自殺と暴言との因果関係を認め、会社員の死を労災と認める判断を示した。渡辺弘裁判長は「心理的負荷は、人生でまれに経験する程度に強度だった」と指摘した。被告の国側は「自殺は業務によるものではない」と主張していた。
 原告側によると、パワーハラスメント(職権を利用した嫌がらせ)を原因とする自殺を労災と認めた司法判断は初めて。代理人弁護士は「これまで上司の暴言も『指導上の範囲だ』とされ、労災認定から放置されてきたことに一石を投じる判決だ」としている。
 03年3月に自殺した医薬品販売会社「日研化学」(現・興和創薬)の男性社員(当時35)の妻が、労災に対する給付金を不支給とした静岡労働基準監督署の処分を取り消すよう求めていた。
 判決などによると、男性は静岡県沼津市などで病院への営業などを担当。02年4月に営業成績の改善を図るために赴任した係長が、同年秋ごろから男性に暴言を浴びせたほか、相談に応じないなどのパワーハラスメントを繰り返した。
 渡辺裁判長は、係長が「お前は会社を食い物にしている。給料泥棒だ」「存在が目障りだ。お願いだから消えてくれ」「車のガソリン代がもったいない」「どこへ飛ばされようと、おれはお前が仕事をしないやつだと言いふらしたる」などと発言したと認定し、「言葉の内容自体が過度に厳しい」などと指摘。』