最近の気になるニュース(人事労務編)

人事労務の情報を新聞報道等からチョイスしてお送りしています。さらに最近読んだ本やお気に入りの音楽を紹介しています。

労災に新基準 時間外労働、月160時間超(産経新聞)

2011年11月18日 | Weblog
11月9日の産経しんぶんによると
『長時間労働など仕事が原因で精神疾患になった場合の労災認定について、厚生労働省の専門検討会は8日、認定につながる心理的負荷(ストレス)の具体的事例を示した評価表などを記載した報告書を公表した。報告書を基に認定基準を見直し、年内にも全国の労働局に通知、新たな基準による労災審査を始める。

 精神疾患が原因の労災請求件数は、平成10年度に42件だったが、22年度には1181件にのぼり、近年大幅に増加。審査に平均約8・6カ月かかっており、審査期間を早める必要が出てきたことが基準見直しの背景にある。厚労省は見直しで審査を約6カ月に短縮できるとしている。

 報告書では、精神疾患につながる具体的なストレス強度を「強」「中」「弱」の3段階に分類。それぞれ具体的事例を示し、「強」と判断された事例は、その事実だけで基本的に労災が認められることになった。「中」の事例についても、複数の事例が重なった場合などは総合的に判断し、労災認定される。

 長時間労働は、これまで具体的な時間が示されていなかったが、今回は時間外労働時間で明示。1カ月で160時間以上▽3週間で120時間以上▽連続2カ月間で1カ月当たり120時間以上▽連続3カ月間で1カ月当たり100時間以上-などを「強」とした。

 このほか、急に仕事量が変化して労働時間が増加、1カ月に100時間以上の時間外労働となり、その後も業務に多大な労力を費やしたケースも「強」。1カ月で80時間以上の時間外労働や、2週間以上の連続勤務などは「中」とした。

 業務上のストレスは「悲惨な事故や災害を体験、目撃した」「重大な仕事上のミスをし責任を感じた」「達成困難なノルマを課せられた」「転勤した」「業務に関連し違法行為を強要された」など具体的な事例を示し、ストレス強度を設定した。これまで「対人関係トラブル」の一つだったセクハラは独立し、強姦(ごうかん)やわいせつ行為に加え、胸や腰などへの継続的な身体接触などもストレスは「強」とされた』


今回は長時間労働の時間が明示されたのが、大きいと思います。
1か月所定労働時間170時間で時間外160時間で計330時間労働になります。
1か月22日勤務×15時間≒330時間になります。





<過労死>労災認定企業名の開示を命令 大阪地裁(毎日新聞)

2011年11月11日 | Weblog

毎日新聞 11月11日の毎日新聞によると、
『従業員が過労死などで労災認定された企業名を不開示とした大阪労働局の決定は違法として、「全国過労死を考える家族の会」代表の寺西笑子さん(62)が決定の取り消しを求めた訴訟で、大阪地裁(田中健治裁判長)は10日、不開示の取り消しを命じる判決を言い渡した。弁護団によると、労災認定を巡って企業名の開示を命じた判決は初めて。

 原告側は09年、大阪労働局に02~08年度の労災補償給付の支給決定年月日と企業名の開示を求めた。労働局は決定年月日を開示したほか、職種や疾患名などの一部の情報を任意開示したが、企業名は個人情報の特定につながるとして、不開示としていた。

 判決は企業名を公表したとしても「一般人が他の情報と照合しても、企業名から特定の個人を識別するのは不可能」として、情報公開法の不開示情報に当たらないと指摘。不開示は違法と判断した。

 国側は「企業名が開示されれば社会的評価が低下する」と主張したが、判決は「取引先の信用を失ったり、就職を敬遠されたりする恐れは可能性に過ぎない」と退けた。

 判決は、労働局の資料に企業名の記載欄がなかった04年度以外を開示対象とした。

 大阪労働局は「今後の対応については、判決内容を検討し、関係機関とも協議して判断したい」としている。

 ◇49歳で自殺…飲食店店長、ノルマに追われ

 寺西さんの夫は96年、49歳で自殺した。夫は飲食店店長で、人手不足の中で厳しいノルマに追われた末の過労死だった。寺西さんは夫の死後に労災申請し、01年に認定を受けた。夫の勤務先に損害賠償を求めた1審で勝訴し、控訴審で和解。社長が寺西さんに謝罪した。』
 企業名が公表された企業は、今後採用が困難になる可能性があります。特に新卒採用は難しいでしょう。そうならないように日頃労務管理をきっちり行っていくことが大切です。



<工事業国保>無保険1万人超 無資格者移行滞り(毎日新聞より)

2011年11月04日 | Weblog
11月4日の毎日新聞ニュースによると
 『建設職人でつくる全国建設工事業国民健康保険組合(工事業国保)で、1万人を超す元加入者らが無保険となっている可能性が高いことが分かった。同国保では昨春、約1万2000人の無資格者が発覚し、同9月に厚生労働省が中小企業向けの全国健康保険協会(協会けんぽ)などへの移行を求める是正改善命令を出した。だが、無資格者の保険証は今年6月末で失効したにもかかわらず、6500人が移行手続きをしておらず、家族を含めると1万人を超すとみられる。

 法人や、5人以上を雇う者は社会保険に加入し、医療と厚生年金の保険料を労使で払う必要がある。だが、工事業国保には事業主負担がない。多くの事業主が「法人でも可」というウソの勧誘に応じたり、従業員を個人事業主と偽って同国保に加入させ、保険料の事業主負担を逃れた。

 昨年6月の厚労省調査では、加入者1万2252人と家族1万5646人の計2万7898人が無資格と分かり、同省は昨年9月、同国保に、4725事業所の加入者9272人とその家族1万2346人の計2万1618人を協会けんぽに移すよう命じた。

 その際、(1)工事業国保は過去2年分の保険料(約40億円)を元加入者に返す(2)元加入者は労使で本来の加入先である協会けんぽに、医療・厚生年金の保険料過去2年分を納める(3)協会けんぽは過去2年分の元工事業国保加入者の医療費(約50億円)を同国保に支払う(4)同国保は過去5年分の国庫補助(約95億円)を国に返す--などの清算案を示した。

 だが、元加入者は同国保より高い協会けんぽの保険料に加え、新たに厚生年金分の負担もする必要があるため、移行には1人平均65万円(労使折半、医療20万円、年金45万円)の追加負担が生じる。事業主には、6000万円を超す人もいる。

 この清算案は長妻昭厚労相(当時)が「公平性」を重視する観点から主導した。だが、多額の追加負担に応じられない人も多く、移行手続きを終えたのは3970人。1800人は市町村国保に移るものの、残る約6500人は手続きをしていない。工事業国保の保険証は6月で失効しており、家族も含め1万人超が無保険状態の可能性が高い。

 また、協会けんぽが払う、元加入者の医療費約50億円も、協会けんぽ側の同国保に対する不信感から全額が支払われるメドは立っていない。【鈴木直】

 ◇工事業国保

 同業種ごとに作る「国民健康保険組合(国保組合、165団体、343万人)」の一つ。日本鳶工業連合会など4団体が母体となり、70年6月に設立された。加入者(7月現在)は14万1847人(うち家族8万173人)。国保組合は戦前に普通国保(現在の市町村国保)への加入が認められていなかった建築・土木業や芸能人らで設立された。国民皆保険導入後は新設を認めていないが、日雇健康保険が疑似適用されていた建設業に限り、70年に特例で認められた。』

通常の同業種健康保険組合があり、そのほかに国保の同業種組合があるという一般に人に分かりずらい構図になっています。
国保組合の人は、法人であったり、個人でも5人以上の場合は、厚生年金加入が義務づけられています。それが、国保組合だけ加入して年金は加入していない会社が多く、国が実態を調査して今回の改善になったわけです。


クレーン横転事故 下請け責任者に有罪判決 東京地裁(朝日新聞)

2011年11月04日 | Weblog
11月3日の朝日新聞ニュースによると、
『東京都千代田区麹町のマンション建設現場で2009年4月、クレーンが横転して1人が死亡、4人がけがをした事故で、東京地裁は2日、業務上過失致死傷などの罪に問われた下請け会社「大洋基礎」(中央区)の現場責任者・山手良一被告(36)に対し、禁錮2年執行猶予3年(求刑・禁錮2年6カ月)の判決を言い渡した。

 労働安全衛生法違反罪に問われた法人としての同社は、求刑通り罰金50万円とした。島田一裁判長は、クレーン運転手と元請け会社、下請け会社の責任者による「過失の競合」を認め、「安全管理態勢の不備があった」と指摘した。

 運転手は既に有罪判決が確定したが、元請けの「東亜建設工業」(新宿区)側は無罪を主張している。』

 事故当時、クレーン製造の欠陥云々という話もあったかと思います。労働安全衛生法では、労働者に責任があれば、事業主も当然責任が発生します。建設業の場合は、元請会社にもその責任が及びます。労働者の有罪確定している以上、元請会社に非がないというはおかしい話ではないでしょうか。


15時間労働「仕事つらい」メール残し、23歳自殺を労災認定(キリンビバレッジ子会社)

2011年11月01日 | Weblog
<労災認定>15時間労働「仕事つらい」メール残し、23歳自殺を労災認定
2011年11月1日の毎日jpによると、
『飲料大手キリンビバレッジの子会社「東京キリンビバレッジサービス」(東京都千代田区)の男性社員(当時23歳)が昨年4月に自殺し、品川労働基準監督署が過労によるとして労災認定していたことが分かった。男性は清涼飲料の自動販売機の管理で長時間労働を強いられ、亡くなる5分前、姉(26)の携帯電話にメールで「仕事がつらい。父ちゃん母ちゃんをよろしく」などと書き送っていた。認定は10月5日付。
 会見した遺族や弁護士によると、男性は高校を出て05年4月に入社し、10年3月に品川区の営業所に移って担当エリアが拡大。自販機約80台を1人で担当し業務用車両で巡回して商品の補充や交換、売上金の回収などを行っていた。同年4月13日夕、勤務中に会社の屋上から飛び降りた。
 品川労基署は、09年10月~10年3月の半年間で男性の毎月の時間外労働は平均81時間、最長で92時間だったと認定。亡くなった4月は季節の変わり目で商品を入れ替える繁忙期に当たり、時間外労働は13日間で63時間と、月120時間を超えるペースだった。1日15時間労働、3時間睡眠が続き、男性は精神疾患にかかった。中略
 代理人の増田崇弁護士らは「同社は男性の職種を『セールスマン』と呼び、残業代をほとんど払わず、売り上げに応じた販売コミッション(手数料)を与えている。男性の月給は手取り20万円を切ることもあった。若者を使い捨てにする異様な勤務、給与実態だ」と批判。同社総務部は「現時点でコメントできない」としている。』
 詳細は分かりませんが、会社側の時間管理の大切さを痛感した記事でした。




「伊藤園」女性社員、営業車で3人死傷事故(読売新聞)

2011年11月01日 | Weblog
10月31日の読売新聞ニュースによると
『31日午後3時30分頃、東京都大田区西糀谷の環状8号で、走行中の営業車が中央分離帯に突っ込み、植え込みの剪定をしていた作業員2人と、交通整理をしていた警備員1人の計3人をはねた。
 この事故で、北区赤羽西、作業員足立久和さん(70)が全身を強く打って搬送先の病院で死亡したほか、警備員の男性(71)が意識不明の重体、作業員男性(62)も足を骨折し、重傷を負った。
 警視庁蒲田署は、営業車を運転していた飲料メーカー「伊藤園」(本社・東京)社員・大野菜々容疑者(22)(埼玉県八潮市)を自動車運転過失致傷の疑いで現行犯逮捕し、容疑を同致死傷に切り替えて調べている。
 同署幹部などによると、現場は片側2車線の緩い左カーブ。大野容疑者は営業車で小売店を訪問する途中だったという。同署は、現場の状況などから、大野容疑者が居眠り運転していた可能性もあるとみて調べている。』              会社に目立った過失はなくても、従業員の居眠り運転の事故で社名まで公表されます。くれぐれも業務上の交通事故は気を付けないといけませんね(私用中も当然ですが)。

日航に慰謝料支払い命令 元客室乗務員雇い止め訴訟

2011年11月01日 | Weblog
11月1日の朝日新聞によると、
『日本航空の元客室乗務員の女性(27)が契約を更新されなかったのは不当だとして、雇用契約上の地位確認や慰謝料を求めた訴訟で、東京地裁(古久保正人裁判官)は31日、当時の上司が女性に退職を勧めた言動の一部を違法と認め、上司と日航に20万円を支払うよう命じる判決を言い渡した。だが、客室乗務員としての地位確認は認めなかった。
 日航の客室乗務員は1年間の契約で雇用され、2回の更新をへて計3年働くと正社員として採用される。2008年に契約社員になった女性は、2年目の契約途中で更新しないと通告された。女性は訴訟で、「主観的で不合理な評価がされた」と主張していた。
 判決は「いつまでしがみつくつもりなのかな」「辞めていただくのが筋です」といった上司の発言について「社会通念上、相当な範囲を逸脱している」と指摘。女性に精神的苦痛を与えたとして、20万円の慰謝料支払いを命じた。
 一方で「複数の上司が原告は適性に欠けると判断しており、評価が不公正とはいえない」と述べ契約を更新しなかった判断は有効とした。日航は「判決内容を確認し、今後の対応を検討する」との談話を出した。』
 この紙面を見る限りでは、労働者側には不利だろうなという気がします。当然他に理由があると思いますが、世間ではもっと理不尽な雇止めが横行しているように思います。