セクハラ発言処分「妥当」 企業の“厳格化”加速へ 甘い対応、業績悪影響も
2月27日(金)の産経新聞ニュースによると
『大阪市港区の水族館「海遊館」での男性管理職のセクハラ発言をめぐり、最高裁は26日、「出勤停止などの処分は妥当」と判断、企業側に厳格な処罰を認めた。セクハラに対する社会的認識が厳しさを増す中、甘い対応は企業イメージを傷つけ、業績に悪影響を及ぼす恐れすらある。専門家は対応の「厳格化」がさらに加速するとみており、今後、企業内での対策の充実が課題となりそうだ。
「企業の『価値観』が問われる。セクハラへの厳しい姿勢と、処分の厳格化を迫られるのではないか」。危機管理コンサルタントで「リスク・ヘッジ」社長の田中辰巳氏は、判決の企業への影響をこう分析する。
田中氏は、女性や幼い子供を対象にした業種などで特に厳しい姿勢が求められることになると指摘。「セクハラに甘く、怖い企業と思われれば、お客さんは逃げる。いいかげんな対応は命取りになる」と強調する。
企業は一層の危機管理を求められる形だが、田中氏はセクハラやパワハラ、飲酒運転などが時代とともにより重い「罪」に変化したとも指摘。「社会の変化を認識し、企業の置かれている立場や、行為の重大さを繰り返し伝えるというコンプライアンス教育の充実がより重要となる」とみる。
労働問題に詳しい圷(あくつ)由美子弁護士は「セクハラをした加害者の認識などに関係なく、セクハラ行為そのものが違法であることが明確になった。職場での被害者救済にも、大きな意味がある」と語る。
圷氏によると、セクハラをめぐる訴訟や企業の対応はこれまで、行為に至った加害者の意向なども重視されてきた。だが、今後は客観的にセクハラと認められれば違法と判断される傾向が強まり、「企業の対応も積極的になる」とみる。
セクハラがある職場では、パワハラや、妊娠・出産を理由に退職を迫るなどするマタニティーハラスメントも同時に発生する傾向があるという。
圷氏は「個人の結婚や出産、性に関する話は原則、職場には必要ない。こうした基本を理解していない人は多く、ハラスメントが評価を下げ、懲罰につながるとはっきり示す必要があるのではないか」と話した。
最高裁判決を受け、海遊館は「判決文を確認していないためコメントは控える」としているが、「セクハラを許さないとの立場を社内に啓発してきた」と強調、「ハラスメントのない働きやすい職場作りを推進していく」とした。』