最近の気になるニュース(人事労務編)

人事労務の情報を新聞報道等からチョイスしてお送りしています。さらに最近読んだ本やお気に入りの音楽を紹介しています。

「年金記録もれ」の報道について

2007年05月29日 | Weblog
連日、年金記録もれに関する記事が報道されています。記録もれの原因を説明するとこのような事です。
国民年金や厚生年金はそもそも別の制度で、届出窓口も違い、それぞれに年金番号を管理していました。転職や結婚で加入先の年金が変わり、複数の番号を持つ人がいます。中には、同じ厚生年金でも、転職ごとに年金番号の交付を受けていた人がいました。
国は、1997年に一人に一つの基礎年金番号を導入する際、現在加入中の年金番号を基礎年金番号としました。国は複数の年金制度に入ったことがある人に氏名や住所など必要事項を記入したはがきの返送を求めました。そのはがきに基づいて基礎年金番号への一本化(統合)を進めました。しかし、返送がなかった分だけ、そのまま「宙に浮いた年金記録」となったわけです。昨年6月段階でも一本化されていない記録は5095万1103件あるようです。
また、返送のハガキの問題だけでなく、社保庁の入力ミスで一本化されなかったものもあるようです。当時の会社の事務担当者の記入ミス(フリガナ、生年月日等)の例もかなりあるようです。
ただ、個人的には「ちょっと騒ぎすぎかな」という気がします。この問題は10年以上前から言われていたことなのですから。
年金をもらう際は、過去の職歴を社保で必ず確認(社保のコンピューターと本人の申告でチェックします)します。その時、複数あった年金番号は一本化されます。かなりの数の転職している人で、かつ年金手帳をそれぞれ交付してもらっている人でない限りは統合されるはずです。
現実的な対応として、転職や結婚で複数の年金手帳をもっている人もしくは、複数の会社に就職して不安な方は、年金手帳を持って最寄りの社会保険事務所(住所地や会社の管轄に関係なくどこの社保でも調べてもらえます)で調べたほうが賢明でしょう。ただし、連日の報道で、社保の窓口は相当な混雑が予想されます。郵送でも受け付けていますので、そちらを利用するか、騒ぎが収まるのを待ってから動くのも手だと思います。
いずれにしても、国はあてにならないし、与野党の議員も国民のためとかいいながら、自分たちの政党が選挙で勝つこと考えていないように見えます。マスコミ報道に惑わされずに冷静に対応してもらいたいと思います。

(参考:朝日新聞5月23日の記事を参考にしました)

宙に浮いた年金記録問題

2007年05月24日 | Weblog
5月12日の産経新聞によると、
『公的年金を一元管理する「基礎年金番号」に統合されていない年金加入記録約5000万件のうち、生年月日が間違っていたり記載そのものがないケースが、厚生、国民両年金を合わせ約30万件にのぼることが11日、厚生労働省が衆院厚生労働委員会に提出した資料で明らかになった。これとは別に、年金記録をコンピューター化した際の入力ミスも判明。社会保険庁のずさんな管理の実態が改めて浮き彫りになった。
生年月日の間違いは、厚生年金30万675件、国民年金1166件の計30万1841件。基礎年金番号に統合されず過去の年金記録と結びついていない5095万1103件(18年6月現在)を詳細に調査した結果、分かった。』
5月24日の読売新聞によると、
 『社会保険庁が管理する年金保険料の納付記録のうち約5000万件が該当者不明となっている問題で、政府は23日、現在の年金受給者約3000万人を対象に、該当するものがあるかどうか調査する方針を固めた。
 約5000万件の記録は社保庁が管理するコンピューターに保存されている。調査は、受給者の「氏名」「生年月日」「性別」などの情報で記録を検索し、該当者かどうか特定する。記録が受給者と結びつけば、受け取る年金額が少なくなる「支給漏れ」の救済につながる。』

最近の労災認定の記事3件をピックアップ

2007年05月22日 | Weblog
①5月18日の産経新聞によると、
 『ファミリーレストラン「デニーズ」の元アルバイト店員で神奈川県小田原市の女性(34)が、職場でセクハラやいじめにより鬱病(うつびょう)になったとして、小田原労働基準監督署が労災認定していたことが17日、分かった。
 代理人によると、女性は、調理アルバイトとして県内の大井松田店(大井町)に採用された平成17年4月以降、当時の同僚男性3人から「おっぱいもませろ」「死ね」などと、たびたび言われたことによる精神的ストレスで不眠といった体調不調を訴え、同年11月、病院で重度の鬱病と診断され入院。現在も入院中で、退院のめどがたたない状況という。』
②5月17日の朝日新聞によると
『別々の出版社で編集アルバイトをかけ持ちしていた東京都杉並区の女性(当時26)が自殺したのは過重な労働が原因だったとして、遺族が出した労災の認定請求について、東京労働者災害補償保険審査官は15日付で、女性の死を「過労自殺」と認めた。決定書などによると、女性は04年10月、以前から働いていた都内の出版社で午前と夜間に勤務。午後は別の出版社で働くようになり、月末に自殺した。同月の労働時間は両社で計307時間に達していた。
 女性は当初からの会社を辞めようとしたが社長に慰留され、かけ持ちすることになったという。決定は、かけ持ちが当初の会社の社長に分かり、自殺の前日、社長との話し合いが4時間に及んで問い詰められるなどしたことを重視。長時間の時間外労働による疲労とともに複合的に精神的な影響を与え、自殺に至ったと認定した。』
③5月16日の朝日新聞によると、
 『仕事上のストレスによるうつ病などで精神障害になり、06年度に労災認定を受けた人が、前年度の1.6倍の205人に急増し、過去最多になったことが16日、厚生労働省のまとめで分かった。そのうち「過労自殺」は同1.6倍の66人(うち1人は未遂)で、やはり過去最多。 精神障害で労災が認められた人は、うつ病関連が106人、神経症やストレス関連障害などが99人。職種別ではシステムエンジニアや医療従事者などの専門技術職が60人で最も多い。年齢別では、働き盛りで負担の集中しやすい30歳代が前年度の39人から2倍以上の83人に急増、全体の4割を占める突出ぶりだ。
 認定された人の内訳はくも膜下出血など脳の疾患が225人、狭心症などの心臓の疾患が130人。全体の9割にあたる323人が「長期間の過重業務」を理由に認定された。』


<派遣労働者>労災急増 「日雇い」増え仕事不慣れ(毎日新聞より)

2007年05月13日 | Weblog
5月12日の毎日新聞によると、
 『東京労働局は、労働者派遣法の改正で製造業などへ派遣の範囲が拡大されたことを受けて、05年から派遣労働者の労災状況(死亡、けが)の調査を始めた。全国に労働者を派遣している都内に本社を置く派遣事業者の報告件数などをまとめた。
 それによると、06年の同局管轄の死亡災害は99人(前年比15人増)で、けがは1万78人(同169人増)。このうち派遣労働者の死亡災害は2人(前年ゼロ)、けがは401人(同268人)となり、49.6%増となった。
 死亡した労災は、造園事業に派遣され、マンションの樹木の剪定(せんてい)作業中にはしごからコンクリートの路上に落下したケースと、事務職の派遣で外階段を移動中に突風を受けて転落したケースだった。けがでは機械に挟まれたり転落などが多く、1カ月以上の休業が必要な人は142人いた。荷物を持ち上げる際に腰を痛める、プレス作業中に左手を挟まれるなど経験と安全教育が不足しているのが目立った。
 同局では「正社員に比べ安全教育がおろそかになりがちで、注意を呼びかけたい」と話している。』
 東京労働局の数字ですが、実際は公表人数よりもかなり多いと思います。
日雇派遣労働はほとんど安全教育がなされないまま、業務に従事するため事故が起こりやすいのは当然だと思います。企業側も「派遣だから」と安易な気持ちで仕事に就かせるので事故も増えます。実際事故が起きれば、派遣会社側は労災申請に及び腰で、医療費は健保を使う(個人負担)ケースもかなりあるのではないかと思います。労災申請せずに、事故で働くことが出来なければ、結局労働者本人が困ることになります。結構泣き寝入りしている労働者も多いのではないかと思います。

【中国】それってあり?給料袋の中身は「偽札」、怒る作業員を工場が解雇(サーチナ・中国情報局)

2007年05月11日 | Weblog
5月10日の サーチナ・中国情報局によると、
『広東省仏山市の順徳区にある染物工場で9日、作業員約20人に支給された4月分の給料が偽札だったことが判明した。作業員が会社側に抗議したところ、逆に解雇処分となった。10日付で広州日報が伝えた
 事件が発覚したのは作業員2人が紙幣が偽物ではないかと気づいたため。近くのスーパーマーケットにある検査機でチェックしたところ、偽札と判明した。
 2人が仲間に伝えたところ約20人が偽札を支給されていたことが分かった。作業員らの抗議に会社側は「銀行のミスだ。本当の紙幣と交換するかどうかは銀行と交渉して決める」と回答、作業員に現場に戻るよう命じた。怒った作業員は就業を拒否したが、会社側は「職務放棄」を口実に解雇を言い渡した。
 近所で工場を営む男性が騒ぎの一部始終を目撃し、警察に通報した。この男性によると、同工場で偽札が作業員に支給されたのは今回が初めてではないという。同工場は広州日報の取材に対して「我々も被害者だ」と釈明した。(編集担当・菅原大輔)』
 日本では偽札はあまり出回っていませんが、中国では蔓延しているようです。しかし、偽札で給与を支給した会社が従業員を解雇し、「我々も被害者だ」いう主張は唖然としてしまいます。日本ではこの手の主張は受け入れられませんが、中国では日常茶飯事なんでしょうか。