最近の気になるニュース(人事労務編)

人事労務の情報を新聞報道等からチョイスしてお送りしています。さらに最近読んだ本やお気に入りの音楽を紹介しています。

派遣準大手シモムラの事業許可取り消しへ 労基法に違反

2006年12月30日 | Weblog
12月28日の朝日新聞によると、
 『厚生労働省は、準大手の人材派遣会社、「シモムラビジネスワークス」(東京)に対し、近く派遣事業の許可取り消し処分をする。18歳以下の少年を深夜に働かせた労働基準法違反で、罰金刑が確定したため。派遣事業の取り消し処分は3例目だが、準大手では初めて。同社は派遣事業を日本通運グループの派遣会社に譲渡し、約3000人の労働者の雇用を確保する。
 シモムラなどによると05年1月、同社は静岡県内で、16歳の少年を倉庫に派遣し、法律で禁止されている深夜(午後10時~午前5時)に働かせた。労基法違反で会社が起訴され、静岡家庭裁判所で今年3月、有罪判決を受けた。10月に最高裁で罰金20万円が確定した。
 労基法違反で刑事罰が確定した場合、労働者派遣事業の許可取り消し条件に該当し、5年間は事業を再開できない。過去に取り消し処分は、93年と97年に小規模業者が受けただけ。厚労省は準大手にも法令を厳格に適用することで、業界の適正化につなげたい考えだ。』
 労働基準法の罰金刑は20万とか50万とか小額なので、悠長に構えている企業が多いです。しかし、罰金が小額でも有罪になると、このように事業運営が出来なくなる場合もあるのです。くれぐれもご注意を!
 今年一年ブログをお読み頂きありがとうございました。
 良いお年をお迎えください。来年は素晴らしい年になりますように。

事務職に裁量労働制導入 トヨタ、4月から

2006年12月27日 | Weblog
12月26日の共同通信ニュースによると、
 『トヨタ自動車は26日、事務系企画職社員を対象に、実際に働いた時間と関係なく、仕事の成果に応じて賃金を支払う裁量労働制を来年4月から導入することを明らかにした。技術系に続く導入。松下電器産業、日立製作所なども導入しているが、国内有数の大企業であるトヨタの導入で、仕事を成果で評価する動きが加速しそうだ。
同社が導入する裁量労働制は非管理職向けで、事業運営にかかわる仕事をする従業員が対象。当初は東京本社で自動車業界の情報を収集する渉外業務を担当する10人程度の社員を対象にする。メンタルヘルスや長時間労働が恒常化していないかなど問題がないことを確認し、対象職場を広げる。社員の負担が強まるなどの問題が大きければ、通常の勤務形態に戻す。』
 まだ導入していなかったの?と、意外な記事でした。
 ホワイトカラー・エグゼンプション制度導入の可否が論議されているところですが、
 成果によって給与を支払う企業は、今後ますます増えていくことには間違いないと思います。

残業代ゼロ労働の適用年収 「管理職の平均」で調整

2006年12月25日 | Weblog
12月20日の朝日新聞によると、
 『一定の年収以上の会社員を1日8時間の労働時間規制から外し、残業代をなくす「ホワイトカラー・エグゼンプション」について、厚生労働省が対象者の条件を、部長や課長など「管理職の平均的な年収水準」とすることで最終調整していることが19日分かった。具体的な金額は来年の国会に提出予定の労働基準法改正案に明記せず、労使で協議のうえ、別途、政令で定める方針だ。
 8日に提示された最終報告案では、ホワイトカラー・エグゼンプションの条件として「年収が相当程度高い者」などとしていた。
 しかし、具体性に欠けるため、年末にまとめる最終報告書では、新たに「対象労働者は管理監督者の一歩手前に位置する者」と言及。年収要件を、「管理監督者一般の平均的な年収水準を勘案しつつ、労働者の保護に欠けないよう、適切な水準を定める」とする方向で調整している。 』
 大企業の課長クラスの年収は900万円~1000万円で、一方中小企業の課長クラスの年収は600万円~700万ぐらいで差があります。また規模だけでなく業種によっても差があります。どのあたりを落としどころにするのでしょうか。

ニートやフリーター「自分がなるかも」 東大生3割不安

2006年12月20日 | Weblog
12月18日の朝日新聞によると、
 『東大生の3割近くが「自分がニートやフリーターになるかも」と感じている――。東大が行った学生生活実態調査でこんな結果が出た。就職に不安を持つ人も7割近く。世間では就職戦線の「勝ち組」と見られているだけに、東大は「厳しい時期が長く続いたせいかもしれないが、ずいぶん高い」と戸惑っている。
 学部生を対象に05年11月にアンケートし、約1400人(回収率38.7%)が回答した。ニート・フリーターについて初めて尋ねたところ、28.3%が「自分がなるかも」と答えた。
 将来の進路や生き方に「よく」「ときに」悩むのは83.3%。不安を感じるのは「就職」が67%、「人生の意義・目標」が61.4%で、漠然と「強い不安に襲われたことがある」学生も51.5%にのぼった。』
優秀な人には優秀の人なりの悩みがあると思っていたら、一般学生の悩みとあまり変わらないのですね。少し安心しました。ただ、いままでの教育投資コストや自分のプライドを考えると、東大生がフリーターやニートになることは、一般の人より屈辱的なのでしょうか。多分それはそれで「大きな家には大きな風」の諺のように違った悩みあるのでしょうね。



いすゞが派遣の1361人を直接雇用 契約期間は3カ月

2006年12月14日 | Weblog
12月14日の朝日新聞によると、
『トラック大手のいすゞ自動車が、派遣労働者のほぼ全員、1361人を期間従業員として直接雇用したことが13日わかった。製造業では、1年以上働いた派遣労働者に直接雇用を申し込む義務があり、10月からほぼ全員を期間従業員に切り替えた。ただ契約期間が3カ月と短く、労働者側からは「また派遣に戻されるのではないか」といった不安の声が出ている。
 いすゞによると、昨年10月、それまで請負を利用していたが「完全な請負体制をとるのは難しい」としてやめて、派遣労働者を受け入れた。今年10月で派遣期間が1年となり、ほぼ全員を期間従業員として採用した。内訳は、藤沢工場(神奈川県藤沢市)が954人、栃木工場(栃木県大平町)が407人。
 期間従業員の契約が切れるのは来年1月の予定で、労働者側は「契約を更新してもらえない可能性が高い」と訴えていた。いすゞは「契約延長をお願いしていく方針」としている。』
 このブログでも何度も取り上げましたが、偽装派遣の問題です。メーカーは労働者を直接雇用に切り替えました。その結果、従業員はいつ契約を打ち切られるか不安な状態に置かれます。この問題で結局、労働者側が泣きをみる結果になったわけです。労働者保護の観点で労働者派遣法があります。それに違反し是正したら、その結果労働者が被害を被っています。それって変ですよね。

②残業代ゼロ労働制導入、年収水準は盛らず 厚労省最終案

2006年12月09日 | Weblog
12月8日の朝日新聞によると、
 『厚生労働省は8日、来年の労働法制見直しについての最終報告案を、労働政策審議会(厚労相の諮問機関)に提出した。
 今回の見直しは、パートや派遣など非正社員が増え、正社員にも成果主義が普及するなど働き方が多様化した実態をふまえ、働き手と企業との雇用ルールを整備するのが狙い。労働契約法の新設など幅広い内容を含む。
 ホワイトカラー・エグゼンプションでは、対象者の満たすべき条件として(1)労働時間では成果を適切に評価できない(2)重要な権限・責任を伴う(3)仕事のやり方などを使用者に指示されない(4)年収が相当程度高い――の四つを挙げた。過労死など健康被害が懸念されるため、法定の週休1日(年間52日)を対象者は2日(同104日)にし、違反企業に改善命令や罰則を科す。』
 この改定自体は賛成です。「年収が相当程度高い」などというあいまいな表現は分かりにくいので、基準を明確にしてほしいものです。

派遣労働者の直接雇用、政府の義務撤廃を検討(朝日新聞)

2006年12月05日 | Weblog
12月1日の朝日新聞によると、
 『政府の経済財政諮問会議が30日開かれ、労働市場改革「労働ビッグバン」として、一定期間後に正社員化することを前提としている現在の派遣労働者のあり方を見直す方向で検討に入った。この日は、派遣契約の期間制限の廃止や延長を民間議員が提案。期間が無期限になれば、派遣期間を超える労働者に対し、企業が直接雇用を申し込む義務も撤廃されることになる。諮問会議では専門調査会を設置して議論を深め、労働者派遣法の抜本的な改正などに取り組むことにした。ただ、今回の見直しは、派遣の固定化をもたらしかねず、大きな論議を呼びそうだ。
 なかでも注目されるのが、派遣労働者に関する規制だ。現在は派遣期間に最長3年といった制限があり、長期間働いた労働者への直接雇用の申し込み義務も企業側に課せられている。民間議員らはこの規制があるため、企業が正社員化を避けようと、派遣労働者に対して短期間で契約を打ち切るなど、雇用の不安定化をもたらしていると指摘。規制緩和で派遣期間の制限をなくすことで、「派遣労働者の真の保護につながる」と主張している。
 しかし、「企業が労働者を直接雇用するのが原則」という労働法制の基本原則に深くかかわる。戦後60年近く守られてきたこの原則に関する議論になりそうだ。』
 派遣期間の制限があるのでそれを回避する方法として、請負契約にしている企業があります。労働者派遣はあくまでも臨時的雇用が原則です。これが決まれば労働法の根底から覆すことになり、労働者派遣って何?ということになると思います。パートに対して直接雇用の促進と言っておきながら、派遣は直接雇用の申込義務が撤廃になるのはあまりに不自然な感じがします。