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②マクドナルド訴訟:店長は非管理職 東京地裁が残業代認定(毎日新聞)

2008年01月30日 | Weblog
1月28日の毎日新聞によると、
『ハンバーガーチェーン「日本マクドナルド」の店長が、管理職扱いされて時間外手当を支払われないのは違法として、同社に未払い残業代や慰謝料など計約1350万円の支払いを求めた訴訟で、東京地裁は28日、約755万円の支払いを命じた。斎藤巌裁判官は「職務の権限や待遇から見て、店長は管理監督者に当たらない」と述べた。
 同社では正社員約4500余人中、約1715人(07年9月現在)が店長。チェーン展開するファストフードや飲食店では同様のケースが多く存在するとされ、判決は業界に影響を与えそうだ。
 訴えていたのは、125熊谷店(埼玉県熊谷市)店長、高野広志さん(46)。99年に別店舗で店長に昇格して以降、残業代が支払われなくなり、時効にかからない03年12月~05年11月の2年分について約517万円の支払いなどを求めた。
 労働基準法は時間外勤務に対する割り増し賃金の支払いを規定しているが、「管理監督者」は適用外になる。訴訟では、同社の店長が管理監督者に当たるかが争点だった。
 判決は管理監督者を「経営者と一体的立場で労働時間の枠を超えてもやむを得ない重要な権限を持ち、賃金が優遇されている者」と判断。同社店長について、店舗責任者としてアルバイトの採用や会社のマニュアルに基づく運営など店舗内の権限を持つにとどまり、経営者と一体的立場とは言えないと認定。さらに、品質・売り上げ管理などに加え、調理や接客なども行うため、労働時間の自由裁量性は認められず、部下の年収を下回るケースもあるなど待遇が十分とは言い難いと指摘した。
 その上で未払い残業代約503万円を認め、労働基準法に基づきその半額について懲罰的な意味合いを持つ「付加金」の支払いを命じた。』

マクドナルド訴訟=外食業界に大きな波紋
1月28日の毎日新聞によれば、
『日本マクドナルドが店長を管理職扱いとして時間外手当を支払わないのは違法、とした東京地裁の28日の判決は、同じような人事制度を持つ他企業にも見直しを迫ることになりそうだ。外食業界などでは、すでに店長に残業代を支払う人事制度に変更した企業もあるが、「経営の根幹を揺るがしかねない問題」(首都圏のファミリーレストラン)という動揺も広がっている。
 外食業界では、日本ケンタッキー・フライド・チキンが06年に人事制度を変更し、店長を管理職から外す代わりに、残業代を支払う形にしている。吉野家ホールディングスも「店長でも、長時間労働に見合った残業代を支払うのは当然」と話している。
 しかし、同業界ではマクドナルドのほか、ロッテリアやモスフードサービス、すかいらーくなど、店長を残業代の支払い対象としていない企業が多い。各社とも「裁判の行方を見守りながら今後の対応を検討する」(ロッテリア)との姿勢だが、すかいらーくは「店長には職務に相応する手当を付けている」としており、「店長の給与水準が極めて低いマクドナルドの事例は極端」(大手ファストフード)との見方もある。
 ただ、今回の判決で、各社ともすべての店長に残業代を支払うよう迫られることになれば、人件費の大幅なアップは避けられない。人件費などのコストは企業の競争力に直結するだけに、各社は難しい対応を迫られそうだ。』