最近の気になるニュース(人事労務編)

人事労務の情報を新聞報道等からチョイスしてお送りしています。さらに最近読んだ本やお気に入りの音楽を紹介しています。

松下電器子会社の偽装請負、直接雇用成立を認定

2008年04月27日 | Weblog
4月25日の朝日新聞によると、
『違法な偽装請負の状態で働かされていた男性について、大阪高裁が25日、当初から両者間に雇用契約が成立しているとして、解雇時点にさかのぼって賃金を支払うよう就労先の会社に命じる判決を言い渡した。就労先で直接、指揮命令を受け、実質的にそこから賃金支払いを受けていた実態を重視。「請負契約」が違法で無効なのに働き続けていた事実を法的に根拠づけるには、黙示の労働契約が成立したと考えるほかないと述べた。事実上、期間を区切ることなく雇い続けるよう命じる判断だ。
 原告側の弁護団によると、偽装請負をめぐって就労先の雇用責任を認めた司法判断は高裁レベルで初めて。
 
判決によると、吉岡さんは04年1月から、松下PDPの茨木工場で「請負会社の社員」という形で働いていたが、翌05年5月、「実際は松下側社員の指揮命令のもとで働いており、実態は直接雇用だ」と大阪労働局に偽装請負を内部告発した。同8月、松下PDPに期間工として直接雇用されたものの、06年1月末、期間満了を理由に職を失った。期間工だった間、吉岡さんは他の社員と接触できない単純作業に従事させられた。

昨年4月の大阪地裁判決は「偽装請負の疑いが極めて強い」として、就労先には労働者を直接雇用する義務が生じるとの判断を示す一方、雇用契約の成立は否定していた。
キヤノンなど大手メーカーの偽装請負は社会問題となったが、違法行為を指摘された企業が短期間の直接雇用のみで「是正した」と主張する事態が続発。行政もこれを追認していた。今回の判決はこうした法解釈を覆す可能性がある。』

 判決ポイント
① 請負会社の社員(吉岡さん)の労働実態について
吉岡さんを雇っていた請負会社と松下側が結んだ業務委託契約は「脱法的な労働者供給契約」であり、「松下側の従業員の指揮命令を受けていた」などと認定。職業安定法や労働基準法に違反して無効とした。
② 松下と直接雇用契約は成立するのか。
  労働契約は当事者間の「黙示の合意」でも成立する。吉岡さんはこの工場で働き始めた当初から直接雇用の関係にあった。
③契約更新を拒否したことについて
実質的に期間を区切ることなく雇い続けるよう命じる判断で、松下側が06年2月以降の契約更新を拒否したことについても「解雇権の乱用」で無効と判断した。
④配置転換
内部告発後、配置転換で単独の作業部屋に隔離されたことについて、「松下側が内部告発などへの報復という不当な動機や目的から命じた」と認定した。
⑤未払賃金及び慰謝料 
06年の解雇後の未払い賃金(月約24万円)の支払いを命じ、内部告発に対する報復があったと認定して、慰謝料の額も一審の45万円から90万円に増額した。

 

高齢者医療の保険料負担、給与明細に明記・現役世代に一目で

2008年04月24日 | Weblog
 4月24日の日経ネットによると、
『厚生労働省は会社員や公務員の給与明細に、65歳以上の医療保険のために負担した金額を明示するように企業などに求める。早ければ5月の給与明細には65歳以上の医療保険に回る金額が「特定保険料」として表示される。若い世代が高齢者のためにどれだけ負担しているか一目でわかるようにする狙いだ。
 すでに全国に1500以上ある健康保険組合を通じて企業に協力を求めた。中小企業の従業員が加入する政府管掌健康保険や公務員共済にも協力を求めていく。要請に強制力はないが、多くの企業が従うとみられる。』


過酷な勤務でうつ病、解雇無効 東芝の元社員が勝訴

2008年04月23日 | Weblog
4月22日の共同通信ニュースによると、
『過酷な勤務が原因でうつ病となったのに休職期間終了を理由に解雇したのは不当として、東芝の技術職の元社員重光由美さん(41)が解雇無効の確認などを求めた訴訟の判決で、東京地裁は22日、解雇は無効と認め、慰謝料など約835万円と未払い賃金を支払うよう命じた。東芝は控訴した。』
関連記事で同日の朝日新聞によると
『 重光さんは、埼玉県にある工場内の液晶生産ラインの技術者だった。01年10月にうつ病の診断書を東芝に提出して休職。04年9月に休職期間が満了したとして解雇されたという。
 判決は、重光さんがうつ病になった01年4月までの時間外労働は月平均90時間に上ったと指摘して、うつ病と業務との因果関係を認めた。さらに会社側が重光さんの業務を増やしたことが症状を悪化させたとし、「心身の健康を損なわないような配慮をしなかった」と述べた。
 代理人の川人博弁護士は「業務が原因で精神疾患にかかった従業員の解雇が、判決で無効だと認められたケースは初めて。過労でうつ病を発症する人は多いが、裁判で戦い続けることが難しい現状もある。経営者に警告を発する画期的な判決だ」と話す。 』

店長らにも残業代 青山商事、過去2年分12億円

2008年04月12日 | Weblog
2008年4月8日の朝日新聞によると、
『紳士服の全国チェーン「洋服の青山」を展開する青山商事は8日、管理職としている店長やマネジャー、本社勤務の課長に対し、21日から残業代を支払うと発表した。該当者には過去2年間にさかのぼって払う。東京地裁が1月、日本マクドナルドに対し店長の残業代支払いを命じたことなどを踏まえた判断という。
 青山商事の直営店に勤務する約750人と本社勤務の約60人が対象。これまでの役職手当を減額する一方で、残業代を全額支払う。管理職としての位置づけや権限は変えない。過去にさかのぼる場合の該当者は、退職者や昇格者も合わせ936人。社会保険料を含む支払総額は12億円程度という。今年3月末日までの支払い対象分は、08年3月期決算に計上する。』
関連記事で、4月2日の朝日新聞によると、
 『十分な職務権限を持たないのに管理職とみなされ、残業代が支給されない「名ばかり管理職」の問題で、厚生労働省は1日、全国の労働局に、企業に対して適切な監督指導を行うよう一斉通達した。
 管理職といえるかどうかは労働基準法に基づき、職務権限や出退勤の自由度、処遇などに応じて判断する。通達は「近年、十分な権限や相応の待遇を与えていないにもかかわらず、管理職として扱っている例もあり、なかには著しく不適切な事案もみられる」として監督の徹底を求めた。』

東芝社員の自殺「過労でうつ病」労災認定 埼玉

2008年04月02日 | Weblog
4月1日の朝日新聞によると、
 『東芝深谷工場(埼玉県深谷市)で働いていた男性(当時37)が自殺したのは過労によるうつ病が原因だとして、熊谷労働基準監督署が労災認定していたことが1日分かった。会見した代理人は「同じ職場で同時期に別の社員が精神疾患になり、労災認定を求めて裁判中で、関連会社員も1人自殺している。東芝には労働環境の改善を強く求めたい」と話した。
 代理人の川人博弁護士によると、男性は90年に技術職として入社し、00年10月に深谷工場に異動。01年1月ごろに液晶ライン立ち上げの業務に携わり始めてから、残業が月100時間を超え、多い月では約150時間に及んだ。同年10~11月にうつ病になり、12月6日(推定)に自殺。遺族が06年10月に労災申請し、今年3月14日に認定された。』
関連記事で同日の共同通信ニュースによると、
 『代理人弁護士によると、東芝側は残業時間の資料を提出しなかったが、妻が出勤や帰宅の時間を日記に詳細に記録。労基署は「うつ病を発症する半年以上前から、恒常的に月に100時間前後の時間外労働をしていた」と認めた。』