最近の気になるニュース(人事労務編)

人事労務の情報を新聞報道等からチョイスしてお送りしています。さらに最近読んだ本やお気に入りの音楽を紹介しています。

運転手「2月の休みは1回だけ」 大阪・吹田のバス事故

2007年02月25日 | Weblog
2月21日の朝日新聞によると、
『大阪府吹田市でスキー客ら27人が死傷したバス事故で、「あずみ野観光バス」(長野県松川村)の小池勇輝運転手(21)が大阪府警の調べに対し、「2月の休みは1日だけだった」と供述していることが分かった。今月初めの休み以外は10日以上連続で、長野―大阪などを乗務していたという。府警は、連日の長距離乗務の結果、小池運転手が居眠り運転をして事故を起こしたとみており、押収した配車表や運行指示書などを分析し、道路交通法違反(過労運転の命令)の疑いで同社の運行管理状況などを調べている。』
また、翌日(2月22日)の朝日新聞によると、
『大阪府吹田市でスキー客ら27人が死傷したバス事故で、事故前日の17日、事故車両を含むバス4台を長野から大阪方面に出した後、同社社長の妻の専務(44)が途中で乗降しながら、バス3台の運転を掛け持ちしていた疑いがあることが大阪府警などの調べで分かった。バス4台に交代要員を含め通常計8人の運転手を配置するが、同社は6人しか置かずに専務が3人分の役割をこなして人員をやりくりしていたとみられる。』
 なんと無謀な話なんでしょうか。「格安ツアー」で利益を出すため人件費を削り、その結果このような悲劇になりました。運転手は人の命を運んでいるのです。これは事故を起こした従業員の責任ではありません。経営者の重大な責任です。業界全体への不信感も出てくるでしょう。近年の耐震強度問題にしても無理な価格設定はどこかに歪みがくるものです。ふと、昔の人がよく言っていた「安かろう悪かろう」という言葉を思い出しました。

腰痛女性に「甘えるな」と暴言 成田労基署課長、後で謝罪(共同通信)

2007年02月19日 | Weblog
2月14日の共同通信によると、
 『成田労基署課長が、腰痛で労災認定され休業補償を受けていた日本航空客室乗務員の40代女性に「こんなにもらって甘えるな」と暴言を吐き、後で謝罪していた。女性の所属する労組が14日、記者会見で明らかにした。課長は女性を事情聴取した際「完全に痛みが取れるまで休もうと思ったら大間違いだ」とも言ったという。成田労基署を管轄する千葉労働局は昨年10月「不適切な発言があった」と謝罪している。』
 役所の対応としては、社会保険事務所が最悪でした。社会保険庁の一連の不祥事以来良くはなってきました。一方、労働基準監督署の対応は、都内より地方の監督官の態度が横柄という印象をもっていました。今回の記事も「十分ありえるよな」という気がします。

岩手県庁「有給休息」廃止で昼休み短縮で、ランチ売れない商店街「つらい」

2007年02月16日 | Weblog
2月15日の河北新報によると、
 『盛岡市の岩手県庁周辺の商店街が、ランチタイムの売り上げ減に悲鳴を上げている。公務員優遇批判を受けて全国的に始まった有給休息時間の廃止を機に、1月から昼休みが45分間に短縮され、県職員が外食を控えるようになったことが響いた。「地域への配慮がない」として商店街が14日、休息時間復活を県に陳情する異例の事態に発展した。
 岩手県は、先行して廃止した国にならい、昼に15分、午後3時に15分あった有給休息時間を1月に全廃。昼休みは正規の休憩時間(正午―午後零時45分)だけになり、「外で昼食を取る時間がなくなった」と、庁内で販売される弁当などで済ませる職員が急増している。』
有給休息時間の廃止:公務員には1日30分の有給の休息時間が認められてきました。無給の休憩時間とは異なり、仕事をしなくても給与支払いの対象です。地方公務員は、終業直前に休息時間を設け早く帰れるようにしている不適切なケースもあるようです。公務員優遇批判の中で国が昨年7月に全廃しました。地方自治体でも廃止が進んでいるようです。
有給の休憩時間?ノーワーク・ノーペイ原則の民間企業には理解できない制度です。


「成果型」「年功型」選べます サイボウズが新賃金制度

2007年02月02日 | Weblog
2月1日の朝日新聞によると、
 『ソフト開発会社サイボウズは1日から、社員が現行の「成果重視型」だけでなく「年功序列型」も選べる新賃金制度を導入する。1年単位の成績には左右されずに昇給する制度も選択できるようにすることで、有能な人材の定着率を高める狙い。「年功型」の効用を見直す試みとして注目されそうだ。
 毎年2月に社員が選択し、何回でも変更が可能だ。大卒の新社員が年功型を選んだ場合、最初の年俸360万円が約40年後には上限の650万円まで昇給する。賞与は別計算。年功型を選択しても、1年目の年俸は、前年の給与水準を維持する方針だ。
 年功型は、育児や介護で定時の出退社が必要な社員や、長期雇用を望む社員の利用を想定している。青野慶久社長は「働き方に選択肢がある方が、社員の意欲を引き出す」と話す。同社の現在の社員約140人の賞与込みの平均年収は約600万円という。』
今まで社員の給与体系を総合職、一般職で分けることはありました。このケースは年功給を復活させて、自分で制度を選べて、なおかつ変更が自由だという点が新しい発想です。


労働条件、就業規則で 労働契約法案、厚労省が要綱

2007年02月01日 | Weblog
1月24日の朝日新聞によると、
 『採用から解雇まで、企業と従業員の雇用ルールを定める新法、労働契約法の法案要綱が24日、明らかになった。賃金制度や勤務時間などの就業規則を労働者に不利に変更する場合は、「労働者との合意」を前提にすることを明記し、労働側に一定の配慮を示した。一方で、「不利益の程度」などに合理性が認められれば、合意なしに就業規則を変更できるとしており、労働者に不利な変更をめぐる紛争が、これまで同様、起き続ける可能性がある。厚生労働省は25日の労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の分科会に示し、通常国会に法案を提出する予定。』
 
現行の労働基準法では、労働者の合意がなくても、意見を聴けば会社は就業規則を変更できます。ただ、賃下げなど労働者に不利な変更に制限をかける規定がありませんでした。
要綱では「使用者は、労働者と合意することなく、就業規則の変更で、労働者の不利益に労働条件を変更することはできない」としています。ただし、この場合でもさらに例外規定があり、合意がなくても、労働者に変更を知らせ、変更内容が合理的であれば、不利な変更もできるようです。ではその合理的かどうかの判断基準としては、①労働者の受ける不利益の程度②労働条件の変更の必要性③変更後の内容の相当性④労働組合などとの交渉状況です。変更が合理的かどうかの実際の判断は今までどおり個別の裁判に委ねられる形です。
これって結局、今までと同じではないか思いますが。