最近の気になるニュース(人事労務編)

人事労務の情報を新聞報道等からチョイスしてお送りしています。さらに最近読んだ本やお気に入りの音楽を紹介しています。

退職時の年次有給休暇を考える

2008年10月31日 | Weblog
最近、複数のお客様から年次有給休暇の相談がありました。
退職時の年次有給休暇の付与問題です。
退職時に残った有給休暇を全て請求してやめる労働者が増えてきているのです。
通常ですと、事業主には「時期変更権」という権利がありますが、退職日が確定
して変更すべき日がありませんので、行使できないわけです。

よくある防御策は、
就業規則に「引継ぎが完了せず、業務に支障が出た場合は、退職金を減額することがある」という牽制をいれる程度でした。
ただし、退職金がない会社や、退職金がでない勤務年数の短い人には対応できませ
ん。
対応策は二つに分かれます。
①後向きな対応
計画的年休を最大限に利用して、個人都合の使用を最低限にすることができます。
その場合、労使に話し合いが必要ですが。
ただ、従業員のモチベーションを考えると、マイナスでしょう。
②前向きな対応
完全取得を前提にして、日頃、最低月1日程度使うようにしてもらい、退職時にため
ないようにすること。
実際は、正社員が少数精鋭で代替が難しい企業が多いと思います。
有給休暇が取得しやすいように半日分割や場合によっては時間割にする。

いずれにしても退職時に有給休暇を残さないようすることですね。

ここからは完全な私見ですが、
そもそも、年次有給休暇の本質的な考え方として、
「リフレッシュしてまたがっばって働こうね」という種類のものです。
何で退職するのにリフレッシュが必要なのか、釈然としないものがあります。
再就職のための求職活動があるから、ある程度の日数取得はしょうがないと思います。1日たりとも残さないよう(損をしないように)、ガツガツした取り方は関心しません。権利としては理解できますが、何でも権利を主張するのがいいことなのか疑問に思います。生きていくうえで根本的な問題があるような気がします。

本来、会社というのは、経営者と労働者が力を合わせて大きくしていくものだと思います。
もっとお互い大らかに行きたいものです。
「働かせてもらった」「働いてもらった」という感謝の気持ちが大切だと思います。
そういう関係であれば、少なくても退職時に残った有給休暇を全部を請求するような自体は起きないと思います。

小児科医死亡「過労と自殺、関係」 高裁、賠償は認めず

2008年10月23日 | Weblog
10月22日の朝日新聞によると、
『過労で自殺し、労災と認められた小児科医中原利郎さん(当時44)の遺族が、勤務先の立正佼成会付属佼成病院(東京都中野区)に1億2千万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁(鈴木健太裁判長)は22日、遺族側の控訴を棄却した。
 判決は、一審・東京地裁判決の認定を改め、中原医師がうつ病を発症して99年8月に死亡したことと、当時の業務が過重だったこととの間に因果関係があったと認めた。一方で、健康状態に対する配慮などの注意義務を怠ったとはいえないと結論づけた。
 訴訟では、当直勤務などが過重な業務だったか、病院が適切な対策をとるべきだったか、などが争点となった。
 判決は、99年3月の月8回の当直が「際だって多い」と指摘。当時の病院小児科の当直勤務が「十分な睡眠を取ることは困難で、相当負担が大きかったといえる」と述べ、「少なくとも横になって体を休めることはできた」などとして過重だとは認めなかった一審判決を改めた。
 また、病院に5人いた常勤医のうち2人が年度末に突然退職することになり、中原医師は後任の確保にも追われた。判決は「小児科医が全国的に不足している状況で、心理的負担は相当大きかった」と述べた。
 その上で、病院に損害賠償責任があったかどうかについては「疲労や心労が蓄積して健康を損ない、何らかの精神障害を起こすおそれを、病院が具体的客観的に予見できることが必要だ」と判断。一方、中原医師が病院側に相談しなかったから、病院は異変を認識できなかったなどとして、遺族側の主張を退けた。
 中原医師の死亡と業務との因果関係をめぐっては、別の訴訟で東京地裁が07年3月に労災を認め、判決が確定している。』
 これは業務上災害を認めたが、損害賠償責任はないという不可解な判決です。

エルメスジャポンを提訴 40代男性社員が地位確認求め

2008年10月17日 | Weblog
10月16日の共同通信ニュースによると、
『フランスの高級ブランド「エルメス」の日本法人エルメスジャポン(東京)に勤める情報技術(IT)技術者の40代男性が16日、社内で嫌がらせを受け、不当に配置転換させられたとして、就労義務のない地位確認と計300万円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こした。男性は差別用語を落書きされるなど嫌がらせを受け続けた、としている。同社は「コメントは控えたい」としている。』

エルメス関連の記事です。
「 正社員採用求めてエルメス日本法人を提訴」
7月14日の朝日新聞によると、
『仏高級ブランドの日本法人「エルメスジャポン」(東京都中央区)の正社員採用試験に合格したはずなのに、有期契約を繰り返した末に契約を打ち切られたのは不当だとして、東京都内の同社店舗に勤める女性(35)が14日、正社員としての地位確認などを求めて東京地裁に提訴した。
 同日会見した原告側によると、女性は04年、同社の正社員(時計の販売職)募集の広告を見て応募。受験後、会社から電話で「合格だが(女性は)時計販売の経験がないので、最初は嘱託職員で」と言われ、6カ月の契約期間が記された契約書に署名した。
 女性はいずれは正社員になれると思って働き始めたが、6カ月契約が繰り返されることに疑問を感じ、06~07年に4回、人事担当者らに「正社員になりたい」と訴えた。会社側は「もう少し(適性を)見させてほしい」と留保していたが、今年3月、業績悪化を理由に9月以降は契約しないと通告してきたという。
 同社は「(原告側と)協議中なので詳細はコメントできない。法律の範囲内で誠実に対応したい」としている。』
 正社員に募集したが、実際は契約社員としての契約だったという話はよく聞きます。今後の動きに注目したいと思います。


中小企業の健保運営・全国健保協会、1025人分二重請求

2008年10月10日 | Weblog
10月9日の読売新聞によると、
『全国の中小企業の従業員らが加入する健康保険の運営を社会保険庁から引き継いだ公法人「全国健康保険協会」は9日、10月分の保険料を、5県の計1025人に二重請求していたと発表した。
 同協会は全員に電話で謝罪し、二重納付した人には返還手続きを行う。
 二重請求が発生したのは、岩手(49人)、宮城(626人)、長野(211人)、愛知(9人)、兵庫(130人)の5県。
 保険料を請求する際、9月までにあらかじめ10月分の保険料を納めていた人を除いていなかった。
 同協会は10月1日に設立され、社保庁の政府管掌健康保険(政管健保)を引き継いだ。保険料徴収業務は従来通り社保庁が行っているが、企業を退職後も加入を継続している一部加入者に限って、同協会が徴収を担当している。』


政管健保、10月から「けんぽ協会」 保険料率は都道府県別に

2008年10月02日 | Weblog
9月29日の産経新聞によると、
『中小企業のサラリーマンらが加入する政府管掌健康保険(政管健保)は10月1日、運営主体が社会保険庁から、新設される民間型公法人「全国健康保険協会」(通称・協会けんぽ)に移行する。現在の加入者約3600万人はそのまま全員移ることになり、保険証も順次切り替わる。
 協会の発足に伴い、全国一律だった保険料率は、地域の医療費に応じて都道府県ごとに設定されるように変更される。
 当面は、政管健保と同じ労使折半で8・2%の保険料率が維持されるが、1年以内に都道府県ごとに決められ、医療費が高いところほど保険料率も高くなることになる。
 厚労省の試算によると、最高は北海道(8・7%)で、最低は長野県(7・6%)で、1・1ポイントの差が生じる見込み。ただ、保険料が大幅に上昇しないよう、激変緩和措置が設けられ調整される。
 一方、高齢化による医療費の伸びや後期高齢者医療制度への拠出金の増加などで政管健保の財政状況は厳しくなっており、運営を引き継ぐ「協会けんぽ」の保険料率も、全体としては今後上昇することは避けられないとの見方が強い。』



健保組合:45%が赤字 解散も13団体 高齢者医療響く

2008年10月01日 | Weblog
9月10日の毎日新聞によると、
『大企業の従業員らが加入する健康保険組合(1518組合、今年3月末現在)全体の07年度決算見込みは、599億円の黒字ながら、黒字幅は06年度より1773億円減少したことが10日、健康保険組合連合会のまとめで分かった。
 高齢者医療費の拠出金が2252億円増え、2兆3216億円に膨らんだことが主因。赤字組合も178団体増えて全体の44.8%、680組合となり、赤字総額は1570億円に達した。
 健保連は後期高齢者医療制度の発足に伴い、08年度はさらに拠出が増え、各組合の赤字総額は6322億円になるとみている。4月以降、解散した組合は13団体にのぼる。』