最近の気になるニュース(人事労務編)

人事労務の情報を新聞報道等からチョイスしてお送りしています。さらに最近読んだ本やお気に入りの音楽を紹介しています。

失業保険の不正受給額、10年間で180億円超す

2006年07月29日 | Weblog
7月22日の毎日新聞によると、
 『雇用の厳しさが続く中、失業手当の全国の不正受給額が、05年度までの10年間で約9万5000件、180億円以上に上ることが分かった。働いて得た収入を申告しないケースが多く、失業手当を中心とした失業給付金の未回収額は04年度だけで28億円を超える。財源の危機から保険料率が2倍に引き上げられた一方で、回収の難しい不正の実態が初めて明らかになった。
 不正受給は「全額回収が原則」(同省)だが、失業手当を柱に教育訓練給付などを含む失業給付金の未回収額は04年度、28億1100万円に達していた。
 元労働基準監督官の安西愈(まさる)弁護士は「失業手当は原則として、失業や再就職の意思という『自己申告』に基づき要件がそろえば給付され、集団・多額の不正を想定していない。職安は源泉徴収との照合など、厳密な不正チェックを全ケースで行う態勢にない。失業者の切実なニーズは高く、給付は適正にされるべきだ」と話している。』
 この数字も氷山の一角でしょう。本当に職を探して困っている人もいますが、一方で、もらえるものは多少うそをついても貰おうという人が多く、国のお金だからと、罪悪感はないと思います。自己申告による請求に無理があるのではないかと感じます。



確定拠出年金の運用、転職で放棄4万7000人超

2006年07月23日 | Weblog
7月17日の日経新聞によると
『確定拠出年金(日本版401k)の運用を、転職を機に放棄している人が2005年度末で4万7000人にのぼることが明らかになった。毎年2倍のペースで増えており、転職時に必要な手続きを済ませて運用を続けている人の1.3倍となった。継続手続きを知らずにいる人が多いためとみられる。運用を続けないと給付額が減り、将来問題化する恐れがある。
確定拠出年金は加入者本人が積立金を債券や投資信託などに投資して運用する制度で、昨年末時点で約175万人が加入。転職の際に、転職先の企業年金に積立金を持ち運べる「ポータビリティー」が特徴の一つだ。会社員が加入する「企業型」では転職先に同型の年金がない場合、自営業者らが加入する「個人型」に積立金を移して運用を続ける必要がある。』
転職後、半年以内に切り替え手続きをしないと、積立金は自動的に国民年金基金連合会に移され、運用が一時的にできなくなるそうです。また、毎月50円の手数料を取られるため、将来の受取額が減ります。企業は適格年金廃止ありきで、401kのデメリットを深く考えずに安易に切り替えたケースが目立ちました。自己責任が売りの401kですが、「手続きの説明を受けた覚えがない」というケースなど、従業員に対する教育というか教育以前の周知徹底がなかったからだと思います。

65歳以上の新規加入容認へ 雇用保険で厚労相(共同通信ニュースより)

2006年07月18日 | Weblog
7月18日の共同通信ニュースによると
 『川崎二郎厚生労働相は18日の閣議後記者会見で、65歳以上の雇用を促進するため、現在雇用保険への新規加入が認められていない65歳以上の高齢者について、新規加入を認める制度改正を目指す考えを明らかにした。
 現行制度では、65歳になるまでに雇用保険に加入していた人は65歳になった以降も継続して雇用保険に加入できるが、65歳以上の高齢者が新規に加入することはできないため、労働条件が不平等で、65歳以上の雇用を阻害する要因と指摘されていた。』
65歳以上で関連会社へ再雇用のケースもありますし、「年金だけでは食べていけない」と、65歳以上でまた働き始める人も結構いると思います。70歳までは新規に加入できるシステムのしたほうがいいと思います。厚生年金は70歳までかけるのですから。
 

「不払い残業」正社員の4割超 労働政策研機構調査

2006年07月15日 | Weblog
7月14日の朝日新聞によると、
 『正社員の4割超が「不払い残業」をしており、平均で月約35時間にのぼることが、労働政策研究・研修機構の調査でわかった。残業自体の多い30~40代に目立ち、20~30代の男性を中心に転職希望も強かった。
 調査は05年8、9月、20~50代の正社員2000人と配偶者約1300人を対象に同年6月1カ月の残業の状況などを聞き、約8割から回答を得た。
 もともと残業代がつかない管理職らを除いた人について、残業代が支払われていない「不払い残業」時間を算出したところ、平均は月34.5時間。「40時間以上」もいて、男性の30代は16.3%、40代は18.8%にのぼった。女性は20代が最多で15.7%、30代が11.4%だった。
 また労働時間が月240時間を超える人では、20代の3人に1人、30代の5人に1人が「いいところがあればすぐにでも転職したい」と答えた。
 小倉一哉・同機構副主任研究員は「働き盛りに過大な業務量が行き、そこに成果主義が加わると、不払いでも長時間残業をしてしまうのではないか」と分析している。』
 残業時間はそんなものでしょうか。実際は多いような印象があります。皆さんの労働時間は何時間ですか?


国が一転、過労自殺認定…富士通社員遺族が訴訟中に

2006年07月13日 | Weblog
7月12日の読売新聞によると、
『富士通でシステムエンジニアとして働いていた男性(当時28歳)が自殺したことについて、労災と認めなかった国が、一転して過労死と認定していたことが分かった。 遺族側によると、亡くなった男性は2000年4月、富士通に入社後、コンピューターソフトの開発を担当していたが、02年3月、神奈川県厚木市内の社員寮の自室で自殺。直前の1か月間で160時間近い残業をしていたという。』
遺族が過労による自殺であると02年9月に労災申請しました。労基署は業務による強いストレスがあったとは認められないとして不支給を決定しました。そこで遺族が行政訴訟を起こしました。監督署が再調査の結果①直前1カ月の残業時間が当初118時間とされたが、実は159時間だった、②過労により、直前に精神疾患を発症したとみなすべきだった、一転して労災申請を認めました。あまりにずさんな対応です。
同日の朝日新聞では以下のように報じています。『過労による労災認定は脳・心疾患の場合、「発症直前の1カ月に残業が100時間を超える」などの基準が示されているが、うつ病などの精神障害の場合、仕事の変化や人間関係などを総合的に判断するとして明確な基準がない。認定率(05年度)も脳・心疾患の44.1%に対し、28.3%と低い。川人弁護士は「明らかな長時間労働でも、精神疾患では認定されないという現象が起きており、厚労省は基準を見直すべきだ」としている。』
20年前なら「うつ病」というは特異な病気で、本人の性格や体質によるものという認識がありました。しかし、いまでは誰でも罹る国民病といってもいいぐらい一般化しています。
うつ病を発症した場合、かなりの確率で業務起因性があるのではないかと思います。リストラで正社員が減らされ、残った社員にしわ寄せがいき、その結果加重労働が増え、ストレスもたまり、うつ病になってしまいます。企業はもっとこの問題を真剣に考える時期ではないでしょうか。

全日空が時間外手当未払い 一般職、労基署が是正勧告

2006年07月10日 | Weblog
共同通信ニュースによると 
『全日空は6日、自己申告で勤務時間を管理している一般職の社員に時間外や深夜の割増賃金を支払わずにサービス残業をさせ、労使協定で定めた残業時間も守らなかったとして、天満労働基準監督署(大阪市)から是正勧告を受けたと発表した。本社や全国の支店などに勤務する一般職約1100人の勤務状況を9月末まで調べ、過去2年分の未払い賃金を11月に支払う予定。
全日空によると、5月22日に大阪支店が同労基署の立ち入り調査を受け、一般職の社員3人について調べた結果、業務メールの送信履歴などから、残業を申告していない日も残業していることが判明した。
また協定で1日の残業時間が4時間までと定められているのに、4時間半の残業をしていたケースも見つかった。』
この不払残業ニュースはこのブログで「氷山の一角」といい続けています。かなりの企業が不払残業にあたるのではないかと思います。労働時間によって給与を支払うというシステムが決まっている以上、企業は残業代を支払わざるを得ないでしょう。残業を自己申告にしている場合、労働時間が把握できません。そこで、監督署はメール送信履歴や入館記録を使って労働時間を推測しているようです。場合によって夜、監督署の職員の見回りもあるようです。そうならないように企業は対策を講じたいものです。

違法免除・猶予19万人に 年金不正で社保庁調査結果(朝日新聞より)

2006年07月07日 | Weblog
7月6日の朝日新聞によると
 『国民年金保険料の不正免除・猶予問題で、社会保険庁は6日、05年4月以降に受理したすべての申請書類を対象にした調査結果を発表した。本人の意思確認がないまま手続きを進めた事例が新たに4県で見つかり、違法な免除・猶予は計24都道府県で延べ18万9492人分になった。社保庁は「不正処理の全数は確定できたと考えている」としている。 新たに違法な事例が見つかったのは茨城、群馬、神奈川、山梨の各県。これまで判明していた20都道府県でさらに見つかったところもあり、違法な事例は6月13日発表の前回調査より計2万7333人分増えた。
 電話で本人の意思確認はしたが職員が申請書を代筆するなどした不適切な事例も、前回より2118人分増えて3万3095人分に。これらをすべて合わせると、不正な事例は計22万2587人分になった。
今回見つかった不正事例でもっとも多いのが、本人に無断で免除・猶予の処理をしたが後で処理を取り消したため、問題ないと考えていたというもので、1万3684人分。また、職員個人がずっと隠していたなどの理由から報告されなかった事例が5806人分にのぼった。 』
 国民年金の不正免除の問題は5月22日の報道で明らかになり、その際は4万件、5月29日には8万件、今回は18万件とどんどん増えてきています。問題はその中身です。「本人に無断で免除・猶予の処理をしたが後で処理を取り消したため、問題ないと考えていた」や「職員個人がずっと隠していたなどの理由から報告されなかった」など悪質なもので社会保険事務所のモラルが問われます。制度改革とは名ばかりで、たとえ器が代わったても職員の体質が変わらなければ何も変わらないのです。

国保滞納で保険証取り上げ、受診抑制の21人死亡(朝日新聞より)

2006年07月06日 | Weblog
7月4日の朝日新聞によると  
『国民健康保険(国保)の保険料の長期滞納を理由に、正規の保険証を市町村に返還させられ、代わりに「被保険者資格証明書」を交付される加入者が急増している。05年度は全国で約32万世帯に上り、00年度の3.3倍だ。滞納対策の一環だが、証明書で受診した場合、医療機関の窓口でいったん医療費を全額自己負担しなければならず、受診を手控えるケースが後を絶たない。朝日新聞社の取材では、00年以降に少なくとも21人が受診抑制の末、死亡していたことが分かった。
  昨年9月末、松江市内の病院に担ぎ込まれた建設業の男性(当時62)は腸が破れ、腹膜炎で腹が腫れ上がっていた。緊急手術の同意を求める医師に声を絞り出した。「手術はあかん。保険証がない。高くなると払えん」
バブル崩壊後の不況で仕事が激減。01年ごろから滞納額が膨らみ、資格証明書に切り替わった。手術後、医療ソーシャルワーカーに話した。「督促状が何度も届いたが、払えんかった。払わんで保険証だけもらうわけにもいかん。自分が悪い。我慢しとった」
自力で起き上がれないまま、1カ月後に多臓器不全で死亡した。
 国保の収納率は95年度の93%以来、下がり続けている。00年度91%、そして最新の04年度は90%だ。
 医療費が10割負担になることで受診抑制が起きるとの批判は交付開始当初からある。そのため、資格証明書を交付する前には、度重なる督促、払えない特別の事情があるかの確認、弁明の機会を与える――などの手続きを市町村は踏むことになっている。
唐沢課長は「いきなり、機械的に交付しているのではない。あくまで支払う能力がありながら、滞納している人に限っている」と強調する。』
 この問題は国にあるわけではないと思います。滞納するのは事情があるとはいえ、冷たい言い方をあえてするならば、受診できないのも「自己責任」ではないかと思います。問題なのは支払い能力有がありながら支払わない人たちです。


パート社員と正社員との賃金格差などを是正(朝日新聞)

2006年07月02日 | Weblog
6月30日の朝日新聞によると
『厚生労働省は30日、パート社員と正社員との賃金格差などを是正するためパート労働法を改正して処遇改善に取り組むことを決めた。正社員と同じような仕事をしているパート社員には同じだけの賃金を払うことなどを法律に明記し、企業へ指導を強める方針だ。来年の通常国会への改正案提出を目指す。
正社員との賃金格差は、女性で正社員の71%、男性で63%(05年)と開いたままで、昨年、同省の外郭団体が実施した調査でも「正社員的パート」なのに、賃金は正社員の7割以下しか払っていないという企業が、全体の28%に上っていた。』
現在、パートタイム労働法と法律の中に「パート労働指針」があり、①仕事の内容や責任が実質的に正社員と同じなら、同じ賃金表や査定方法を使用する、②正社員と異なる場合も、能力や経験に応じて評価する「均衡処遇」をとる、などの項目がありました。しかし、強制力がなく行政指導ができませんでした。厚生労働省では法律に明記して、企業への指導を強めたい考えのようです。
法律でそんなことまで決めて指導する必要があるか、甚だ疑問です。
「正社員的パート」もありますが、パートでもできる仕事を正社員にやらせていた「パート的正社員」も存在します。正社員の仕事というのは何なのか、これを契機に企業は考える必要があると思います。