最近の気になるニュース(人事労務編)

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最低賃金16円上げ 今年度全国平均 厚労省審議会、景気を下支え (日経新聞)

2014年07月30日 | Weblog
30日の日経新聞によると、
『政府は29日、すべての企業が従業員に払う最低限の時給を定める2014年度の最低賃金を全国平均で780円と、前年度実績より16円上げると決めた。引き上げ幅は前年度を1円上回り4年ぶりの大きさ。過去20年でも2番目だ。非正規や中小企業で働く人の所得を押し上げ、景気を支える。

 厚生労働省の中央最低賃金審議会が同日、全国平均の目安をまとめ、田村憲久厚生労働相に答申した。これに基づいて、地方の審議会が都道府県ごとの最低賃金を決め、10月をめどに適用する。

 答申は物価や賃金の水準に応じて、都道府県をAからDの4地域に分け、引き上げ額を示した。物価が高い東京、大阪などA地域は19円で、東京の最低賃金は888円になる。B地域は15円、C地域は14円、D地域は13円の上乗せを求めた。

 「消費増税で働く人の生活費が膨らんでいる」。労働組合側は物価上昇を引き合いに出した。金融緩和に4月の消費増税が重なり、足元の物価上昇は3%以上上がっている。

 今回の16円上げも引き上げ率に直すと2.1%で、モノの値上がりを下回る。回復基調にある企業利益を労働者に還元するよう求めた。

 一方、経営者側は「(最低賃金で働く人が多い)中小企業は業績が戻らず、賃上げの余力が無い」と中小の経営が厳しいことを繰り返し訴えた。

 最後の議論に20時間超をかけ、決着が28日から29日夜にずれこんだのも中小企業の代表が強く反発したからだ。

 大企業や中堅企業は人手不足のなかで、早々と賃上げを進めて人材を囲い込んでいる。厚労省が29日まとめた大企業の春季生活闘争の調査によると、14年の平均の賃上げ率は2.19%と前年を0.39ポイント上回り、15年ぶりの大きさとなった。

 東海・関東地方で焼肉店を運営するあみやき亭の担当者は「人手不足のせいで、最低賃金で人を雇える環境ではない。(最低賃金が上がる)影響は限りなくゼロに近い」と冷静だ。

 最低賃金で働く人は中小のオフィスや工場で働く人の7%で、多くがパート・アルバイトなど非正規だ。政府は春闘の恩恵が及ばないこうした人の所得を増やすため、最低賃金の引き上げにこだわった。田村厚労相が「昨年並み、もしくはそれ以上の成果を」と15円以上の引き上げを求めたのはそのためだ。』


東京都内の飲食業店は900円では人が集まらないようです。




約社員、3年で「無期雇用」に…三菱UFJ銀(読売新聞)

2014年07月25日 | Weblog
7月25日(金)の読売新聞によると、
『三菱東京UFJ銀行は、現在は6か月~1年程度ごとに契約更新している契約社員を、期間を定めず定年まで働くことができる無期雇用の契約社員にする方針を固めた。
3年超、働いた人が対象になる。ほかの業界にも広まる可能性がある。
 同行では社員約4万5000人のうち、1万1400人が支店の窓口業務などを担う契約社員だ。そのすべてが無期雇用への切り替え対象となる。厚生労働省によると、企業が1万人規模の契約社員を無期雇用に切り替えるのは珍しい。2015年4月に導入する。
 契約社員の9割を占める女性が活躍する場を提供する。人手不足が懸念される中、人材確保につなげる狙いもある。
 無期雇用の契約社員になった人は、定年が60歳までとなる。再雇用制度を使えば最長65歳まで働ける。けがや病気で長期間休んでも、雇用が維持される。原則、仕事の内容は変わらないが、長く働いた契約社員は、部下を指導する役割を持たせ、その分、賃金を増額する。』


過労自殺で遺族が逆転敗訴=大阪高裁(時事通信)

2014年07月18日 | Weblog
7月17日(木)の時事通信ニュースによると、
『農林漁業金融公庫(現日本政策金融公庫)に勤務していた夫=当時(38)=が自殺したのは過重な業務でうつ病を発症したためとして、妻らが同公庫に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁(金子順一裁判長)は17日、約8800万円の賠償を命じた一審大阪地裁判決を取り消し、妻らの請求を棄却した。
 一審は自殺と業務の因果関係を認め、安全配慮義務に違反したと判断したが、金子裁判長は「長時間労働が恒常的で業務が過重とは言えない」と因果関係を否定。心身の不調を予測することも困難だったとした。』 

厚生年金の加入逃れ阻止 政府、納税情報で特定(日経新聞)

2014年07月04日 | Weblog
7月4日の日経新聞によると、
『政府は厚生年金に入っていない中小零細企業など約80万社(事業所)を来年度から特定し加入させる方針だ。国税庁が保有する企業情報をもとに厚生年金に加入していない企業を調べ、日本年金機構が加入を求める。応じない場合は法的措置で強制加入させる。加入逃れを放置すれば、きちんと保険料を払っている企業や働く人の不満が強まり、年金への信頼が揺らぎかねないと判断した。

 厚生年金は公的年金の一つで、会社員が加入する。労使折半で収入に応じた保険料を支払う仕組みになっているが、重い保険料負担を避けるために、加入を逃れている企業も少なくない。

 加入逃れをしている企業を特定するため、所得税を源泉徴収している事業所に関する国税庁のデータを使う。所得税を従業員に代わって納めている企業・事業所は全国に約250万カ所あり、名称と所在地、給与支給人員などを年金機構に提供することにした。

 年金機構は実際に厚生年金を納めている約170万の事業所のデータと照合する。税金は払っているが、年金保険料を払っていない約80万の事業所は大半が中小零細とみられる。これらに年金加入を強く求めていく。

 年金機構はこれまでも未加入の事業所の特定や加入要請を進めてきた。だが、ペーパーカンパニーや休業中の企業が多いこともあり、十分な効果を上げられなかった。納税情報を基にすれば、実際に従業員を抱え、保険料を支払えるのに加入を逃れている企業を効率的に調べられる。

 データの照合作業が終わり次第、年金機構は来年度にも、加入逃れが疑われる全事業所に文書や電話で厚生年金への加入を求める。応じなければ訪問指導などを実施。最終的には立ち入り検査で事業の実態や従業員数などを把握し、強制的に年金への加入手続きをとる。来年度から数年で全事業所が厚生年金に加入することを目指す。

 本来厚生年金に加入すべきなのに、加入できていない会社員は数百万人になるとされる。多くは国民年金に加入しているとみられるが、将来受け取れる年金額が低くなり、老後の生活が苦しくなる人も多いとみられる。企業の加入逃れを食い止めることで、将来の生活保護の増加などを抑える効果も期待できる。

 加入逃れの企業が厚生年金保険料を払えば、年金財政は改善する。国民年金の保険料納付率は60%強と低水準にとどまるが、厚生年金は加入企業の納付率が97%と高い。国民年金は個人が保険料を毎月振り込んだり、窓口で払ったりする必要があるが、厚生年金は企業が一括して払うからだ。未納や滞納が国民年金より少なく、収入が確実に入ってくるため、年金財政の安定に寄与する。』