最近の気になるニュース(人事労務編)

人事労務の情報を新聞報道等からチョイスしてお送りしています。さらに最近読んだ本やお気に入りの音楽を紹介しています。

改正労働基準法(平成22年4月1日施行)

2009年02月26日 | Weblog
1.法律改正のねらい
①時間外労働の削除
②年次有給休暇の有効活用

2.割増賃金の割増率の引上げ
(1)1か月45時間を超える時間外労働を行う場合
「時間外労働の限度基準」により、1か月に45時間を超えて時間外労働を行う場合には、あらかじめ労使で特別条項付きの時間外労働協定を締結する必要がありますが、新たに、
① 特別条項付きの時間外労働協定では、月45時間を超える時間外労働に対する割増賃金率も定めること
② ①の率は法定割増賃金率(25%)を超える率とするように努めること
③ 月45時間を超える時間外労働をできる限り短くするように努めること
が必要となります。

(2)1か月に60時間を超える時間外労働を行う場合
1か月60時間を超える時間外労働については、法定割増賃金率が、現行の25%から50%に引き上げられます。 ただし、中小企業については、当分の間、法定割増賃金率の引上げは猶予されます。
*中小事業主の定義
業 種 資本金・出資総額 労働者数
製 造 業 3億円以下 300人以下
卸 売 業 1億円以下 100人以下
小売業・サービス業 5,000万円以下 50人以下

(3)引上げ分の割増賃金の支払を有給の休暇に変更する場合
○ 事業場で労使協定を締結すれば、1か月に60時間を超える時間外労働を行った労働者に対して、改正法による引上げ分(25%から50%に引き上げた差の25%分)の割増賃金の支払に代えて、有給の休暇を付与することができます。
○ 労働者がこの有給の休暇を取得した場合でも、現行の25%の割増賃金の支払は必要です。
〔具体的な休暇付与日数のイメージ(詳細未定)〕
・月60時間を超え76時間までは半日
・月76時間を超え92時間までは1日
・その後,16時間ごとに半日ずつ
特別割増加算分0.25×16時間=4時間で半日計算

3.年次有給休暇制度の見直し(時間単位)
現行では、年次有給休暇は日単位で取得することとされていますが、事業場で労使協定を締結すれば、1年に5日分を限度として時間単位で取得できるようになります。
〔実務上の留意点〕
・時間休を導入するためには,半休付与とは異なり,事業場の過半数代表者と上限日数や対象労働者の範囲につき労使協定(「時間休協定」ともいう)が必要です。
・労使協定等により,何時間休暇を取得したら1労働日分の休暇として取り扱うのか等について定めておく必要があります。


中小企業緊急雇用安定助成金

2009年02月16日 | Weblog
景気悪化の伴い、従業員の休業させた場合、国から助成金が支給されます。
従来からあった雇用調整助成金は大企業仕様だったので、使い勝手が悪か
ったのですが、今回は規制がかなり緩和されており、さらに今年の2月
にも改正があり、一斉の短時間休業でなくても支給されます。
事前の計画書を作成する必要があります。


中小企業緊急雇用安定助成金(平成20年12月から当面の間の措置となります。)
(1) 趣旨
雇用調整助成金制度を見直し、中小企業緊急雇用安定助成金制度を創設しました。
世界的な金融危機や景気の変動などの経済上の理由による企業収益の悪化から生産量が減少し、事業活動の縮小を余儀なくされた中小企業事業主が、その雇用する労働者を一時的に休業、教育訓練又は出向をさせた場合に、休業、教育訓練又は出向に係る手当若しくは賃金等の一部を助成します。

(2)主な受給の要件
①生産量状況
・最近3ヶ月の売上高又は生産量等がその直前3ヶ月又は前年同期比で減少していること。
・前期決算等の経常利益が赤字であること(生産量が5%以上減少している場合は不要。)
②従業員の全一日の休業または事業所全員一斉の短時間休業を行うこと
(平成21年2月6日から当面の期間にあっては、当該事業所における対象被保険者等 毎に1時間以上行われる休業(特例短時間休業)についても助成の対象となります。)
③3ヶ月以上1年以内の出向を行うこと

(3)受給額
○休業等
休業手当相当額の4/5(上限あり)
支給限度日数:3年間で300日(最初の1年間で200日分まで)
教育訓練を行う場合は上記の金額に1人1日6,000円を加算
○出向
出向元で負担した賃金の4/5(上限あり)

日本綜合地所破綻 内定取り消し学生、心中は複雑

2009年02月06日 | Weblog
2月6日朝日新聞によると、
『日本綜合地所から内定を取り消された男子学生(23)は5日、大学内で友人から破綻(はたん)のニュースを知らされた。「やっぱり。そうなってもおかしくないとは思っていた」
 昨年12月の会社側の説明会では社長が直接頭を下げて謝罪をしたが、「自分たちの言い訳ばかり」で誠意は感じられなかった。今でも同社が扱う物件は好きだし、魅力も感じている。だが、「正直、こういう体質の企業には生き残ってほしくないと思った」。
 会社側は内定を取り消した学生全員に補償金100万円を支払い終えたとしている。「内定を取り消されずにこの時期になって破綻して放り出されるよりは、補償金も払ってもらえてまだマシだったと思うしかない」』
 このブログでも2,3日前に「内定取消をした学生に補償金100万円を支払う」という記事をアップしましたが、補償金の支払が済んでいてよかったです。学生さんは、胸中複雑ではあると思いますが、前向きに就職活動を頑張ってもらいたいと思います。

全日空、賃金1割下げ 09年度、全社員3万人対象 (日経新聞)

2009年02月06日 | Weblog
2月6日の日経ネットによると、
『全日本空輸は4月から社員の賃金を平均で10%引き下げる方針を決め、5日、労働組合に提案した。グループ企業を含む全社員約3万人が対象になる。2009年度だけの限定措置で、年間100億―200億円の人件費削減効果を見込む。世界的な景気後退で旅客需要が急減、回復のメドが立たないため、5年ぶりに本格的な人件費削減に踏み切る。
 基本給に各種手当を含めた年収の総額を削減対象とする。労働組合は反発するとみられ、減額幅が縮小する可能性もあるが、経営側は雇用を維持する手段として理解を求める考え。3月中旬までの妥結を目指す。』
 管理職の給与カットはあることですが、一般社員の賃金を平均10%も引き下げるのは、異例なことです。通常、労働組合は賃下げなんてとんでもない!と反発したいところでしょう。しかし解雇回避努力としての賃下げなので、労働組合としては、これを拒むと話がややっこしくなります。会社は希望退職を募り、整理解雇に踏み切る可能性があります。労働組合としても苦渋の選択を迫られると思います。動向を注意深く見守っていきたいと思います。


日清紡希望退職に300人応募 本体社員の1割相当

2009年02月06日 | Weblog
2月6日の朝日新聞によると、
『日清紡は5日、40歳以上60歳未満の社員に早期退職を募った結果、約300人が応募したと発表した。本体社員の1割にあたる。退職金の上乗せでかかる34億円を09年3月期決算で特別損失に計上する。
 4月に繊維や自動車用ブレーキ、製紙などの事業を分社化し、持ち株会社の傘下に入れるのに合わせて人員削減を進めている。昨秋から早期退職を募集。通常の退職金の2倍か、退職金に賃金2年分の多い方を払い、再就職も支援する。社宅に住んでいる社員は退職後も6カ月間住み続けられるようにした。』

内定取り消し、補償金+労組通じ解決金 日本綜合地所

2009年02月03日 | Weblog
2月2日の朝日新聞ニュースによると、
『マンション分譲大手の日本綜合地所(東京都港区)に内定を取り消された大学生3人が加入した全国一般東京東部労組と同社は、学生らに1人100万円の補償金のほか、同労組に対して「解決金」を支払う内容の協定書を締結した。協定書には「多大な迷惑をかけ、あらためて遺憾の意を表する」とする会社側の謝罪も明記された。
 同社は昨年11月、業績悪化を理由に、学生53人の内定を取り消した。学生3人は労組に入り、12月に会社側と団体交渉をした。補償金は当初の42万円から100万円に増額されたが交渉は決裂。その後も交渉が続いていた。
 協定書は1月26日に結ばれ、同労組に支払われた解決金については組合費を除き、3人に分配したという。解決金の額は非公表としている。3人以外の学生らにも昨年12月、100万円の補償金の支払いが提示されており、同社によると全学生が受け入れを決めている。』
 このニュースは先日のブログでも紹介しましたが、ここまでこじれるのは、会社側の対応に問題があったからなのでしょう。内定取消が1000人を超えました。学生さんが団体交渉するには、勇気や忍耐が必要です。今後、国は企業が内定取消する際のルール(金銭保証も含めて)を決めたほうがいいのではないかと思います。

「100万円払うので内定辞退を」1月7日、届いた手紙(アサヒコム)

2009年02月02日 | Weblog
2月2日のアサヒコムニュースによると
『100万円を払うので内定を辞退してください――。中日本に住む女子大生(22)のもとに1月7日、こんな手紙が届いた。表題は「希望内定解約の募集について」。就職が内定していた人材紹介会社からの、事実上の内定取り消し通知だった。
 A4判の紙には「これまでの経費削減施策のみで継続した場合、09年度半ばまでに経営困難な事態に陥ると推定されます」と書かれていた。
 新聞やテレビで報道されていた内定取り消し。まさか自分の身に降りかかってくるとは思っていなかった。「働く意欲満々だったのに」と落ち込んだ。ただ、昨年12月にかかってきた電話で、予兆はあった。
 この会社からは昨年4月に内定を受けた。同業のもう1社も内定したが、悩んだ末に選んで就職活動を終えた。5月から9月にかけて、会社から出された課題をこなしてきた。10月の内定式の時点では、ここまでの景気悪化は予想もしなかった。
 11月下旬、会社から「厳しいから覚悟して入社してください」と連絡があった。でも、仕事の厳しさなのか、経営の厳しさなのか分からなかった。会社は理由も言わなかったし、こちらから質問もしなかった。
 ところが、12月中旬の電話では「他の道も考えておいてください」。ぼんやりと輪郭が見えてきた。年明けの卒業論文の締め切りが迫っていた。
 1月14日、会社の人事担当者から経営状況について他の内定者と一緒に1時間ほど説明を受けた。「このまま就職しても会社が倒産する可能性もある」。話を聞いていてそう思った。この会社への就職はやめてもいいかな、と初めて思った。
 翌15日、4月に内定を断った会社に連絡した。事情を説明し、「選考していただけませんか」と売り込んだ。19日に採用見込みと言われ、23日には履歴書を改めて持ってくるように連絡があった。でも、結局断られた。

 9カ月ぶりの就職活動。「新卒・正社員だけが世界じゃない。最大のピンチを最大のチャンスに生かす。逆境こそ楽しめ、ですかね」。精神的に強く、ポジティブになった。無難な人生ではなく、自分らしく楽しい人生が選択できたら、と思う。100万円は2月末に支給される。』