最近の気になるニュース(人事労務編)

人事労務の情報を新聞報道等からチョイスしてお送りしています。さらに最近読んだ本やお気に入りの音楽を紹介しています。

パート待遇「正社員と均衡」明記 厚労省法改正案

2006年11月28日 | Weblog
11月24日の朝日新聞によると
 『非正規社員の待遇改善の柱となるパート労働法改正案の概要が23日、明らかになった。「正社員との均衡ある待遇の確保」を事業主の責務として初めて明記。正社員と仕事や責任が同じパートについては、賃金の決め方を正社員と合わせることを企業に求め、正社員への転換制度の導入や支援策も義務づける。
  厚労省案では、これまで努力義務にすぎなかった昇給や賞与の有無など労働条件の明示を、事業主の義務に強化。労働者から待遇の説明を求められたときの説明責任も義務づける。企業側に行政指導をする場合の根拠となる。
 また、正社員との「均衡待遇」の具体策としては、労働時間や就業実態が正社員と同じパートに対し、「待遇での差別的な取り扱いを禁止」する。それ以外のパートについても、本人の職務や意欲、成果などに応じて賃金を決定し、残業や転勤があるなど正社員に近い人には、基本給や賞与の決め方を正社員と同じにするよう努めることを求めている。
 「正社員への転換の促進」も柱。企業の義務として、「転換制度を導入し、転換の推進に向けた措置を講じなければならない」とした。』
 そもそも正社員がパートと同じ責任ということは、正社員である必要がないともいえます。いずれにしても企業は正社員とパートの位置づけを明確にする必要があると思います。

国民年金保険料、パート天引き検討 厚労省

2006年11月22日 | Weblog
11月22日の朝日新聞によると、
『パート労働者の年金制度見直しを進めている厚生労働省は、国民年金保険料の給料からの天引きなど、企業側に徴収への協力を求める方向で検討に入った。 
 会社員が入る厚生年金へのパートの加入については、労働時間が正社員の4分の3(30時間)以上の人に限られている規制を緩め、勤続年数や仕事内容などが正社員に近い働き方の人から加入対象を広げる方針だが、なお多くのパートが国民年金に残るとみられる。
 そこでフリーターなどの国民年金加入者について、企業に保険料徴収の協力を求める案が浮上。具体的には、給料から保険料を天引きして企業が社会保険庁に納付し、収入が低い人には保険料の免除や猶予の申請を勧めるよう義務づけることを検討している。
 だが、協力を求められる企業にとっては、パート一人ひとりについて他の所得の確認など煩雑な作業が必要になり、そのためのコストもかかる。実現には曲折が予想される。』
現在、1000万人を超すパート労働者のうち、国民年金加入者は550万人でその約3割の160万人は、過去2年間保険料を払っていない未納者だそうです。将来無年金になる可能性大です。国民年金保険料の納付率は60%台で低迷しています。そこで、厚生労働省は国民年金保険料徴収の問題を企業へ押し付けようとしているわけです。さらに昨年問題になった保険料免除申請を企業側に行わせるようとしています。企業の反発は必至でしょう。まったく姑息な手段です。

パートの厚生年金加入、段階的に拡大 厚労省検討

2006年11月21日 | Weblog
11月19日の朝日新聞によると、
 『会社員が加入する厚生年金の対象をパート労働者に拡大する問題で、厚生労働省は給与や勤務時間、勤続期間などの働き方が正社員に近い人から段階的に加入させる方向で検討に入った。負担が増える企業や加入を望まないパートに配慮したもので、最終的な加入対象も、一定程度の賃金を得ている人や正社員に近い仕事内容の人に限定し、学生や短期間のパートは対象から外す方針だ。
 04年の年金改革で2分の1、週20時間以上への拡大が検討された。実現すれば新たに300万人が厚生年金に入る見通しだった。
 しかし、パートの労働力に依存する外食・流通産業界が、保険料負担増を理由に強く反対し見送られた。仕切り直しの今回も負担の急増を抑える緩和措置などが不可欠。また「正社員の労働と非正規労働との均衡処遇」という目的からも、正社員に近い働き方の人から段階的に加入対象を広げるのが適当と判断した。
 具体的には、週20時間以上働く人を加入対象とすることを目標としつつも、当面は(1)正社員の3分の2、週26~27時間以上働く人(2)月収が現在の厚生年金の下限である9万8000円以上の人(3)2~3年以上継続して働いている人、などの条件をつけて対象者を限定。その後、段階的に範囲を広げる。』
 現在パート労働者は、週の労働時間で正社員の4分の3以上働く人だけが加入対象です。
この4分の3が曲者で、会社によって異なります。むしろ何時間以上で月収いくら以上と明記したほうがいいと思います。それと扶養基準(現在130万円)を所得税と一緒(103万)にして従業員に分かりやすい状況にしてほしいと思います。

114ハローワークで派遣法違反 他団体職員に窓口業務

2006年11月18日 | Weblog
11月17日の朝日新聞によると、
 『厚生労働省は17日、全国の公共職業安定所(ハローワーク)の4分の1にあたる114カ所で、他団体の職員に求人相談の受け付けやシステム入力などの業務をさせていたと発表した。無契約の職員を事実上、派遣労働者として扱っていたことになり、同省は労働者派遣法違反にあたると判断。業務をしないよう是正させた。組織的な指示がなかったかなどを調査し、関係者を処分する方針だ。
 同省によると、ハローワークが違法な業務をさせていたのは、独立行政法人「雇用・能力開発機構」や財団法人「高年齢者雇用開発協会」など4法人の職員計168人。本来の業務は求職者の職業訓練や長期失業者の相談などだが、114カ所ではハローワーク側の指示を受け、求人相談受け付けやフロア案内のほか、企業からの求人受理のシステム入力をさせられていた例もあった。
 同省は「業務面で日常的に連携が多く、繁忙期などに甘えて手を借りていた。労働関係法令を率先して順守すべき安定所でこのようなことが起こり、国民に対して申し訳ない」と陳謝した。』
 民間企業は労働局からの指摘で請負から派遣に泣く泣く切り替えさせられた企業も多いと思います。お役所がこの為体とは、何とも恥ずかしい限りです。


週休2日確保し導入 労働時間規制見直しで厚労省が新案

2006年11月12日 | Weblog
11月10日の朝日新聞によると、
 『労働法制改正の焦点となっている労働時間規制の見直しで、厚生労働省が新たな素案をまとめた。一定の年収以上の会社員を労働時間規制の対象から外す自律的労働時間制度(ホワイトカラー・エグゼンプション)について「自由度の高い働き方にふさわしい制度」と名称を変えて導入を明記。同制度には過労による健康被害を懸念する声が強いことから、対象者の休日を週2日以上とすることを企業に義務づけ、適正に運営しなかった企業には改善命令や罰則を科すなどの内容を盛り込んだ。
 ホワイトカラー・エグゼンプションは、時間ではなく成果に応じて賃金を支払う制度で、対象者は残業代の規制から外れる。素案では、対象者として(1)労働時間では成果を適切に評価できない業務に従事(2)業務上の重要な権限や責任を相当程度伴う地位にある(3)年収が相当程度高い――などの条件を列挙。具体的な年収水準は、素案段階での明示は見送り、今後の労使の協議に委ねた。
 一方で長時間労働を助長しないよう、「休日の確保、健康・福祉確保措置の実施を確実に担保」との表現を盛り込んだ。現在、労働者の法定休日は週1日だが、対象者については1年間で週休2日分(年104日)以上の休日確保を企業に義務づける。また、本人の申し出による医師面接を義務づけている労働安全衛生法の規定を、月100時間の残業から80時間程度に引き下げる。
 残業の割増賃金率については、同省は6月の当初案で「1カ月の残業が30時間を超えた場合は現行の25%増しを50%増しに引き上げ」としていたが、素案では、割増率引き上げの義務づけは健康にかかわるような「長時間労働者」に限るなどと後退した。』
 日本経団連は適用対象者の年収を「400万円以上」と提言しています。労働運動総合研究所(労働総研)の調査によると、「年収400万円以上の会社員が労働時間規制の対象から外されると、約1000万人の会社員が1人年間114万円の残業代を受け取れなくなる」と試算しました。
 年収400万円の標準的ケースは月額25~30万円、賞与1回20~50万円ぐらいでしょうか。年収400万円は成果による給与というより生活のための最低限の給与ということになります。一定の年収以上の会社員を労働時間規制の対象から外す自律的労働時間制度は大賛成です。ただ、成果による給与というなら、せめて年収800万以上の支払いは必要ではないかと思います。

離婚時の年金分割、1カ月で相談6千件 女性に高い関心

2006年11月10日 | Weblog
離婚時の年金分割、1カ月で相談6千件 女性に高い関心
11月9日の朝日新聞によると、
 『サラリーマンが加入する厚生年金を離婚時に夫婦で分割できる制度について、今年10月から相談を受け付け始めた社会保険庁は9日、1カ月間に寄せられた相談は6283件と発表した。そのうち社会保険事務所の窓口を訪れたのは3285人で、8割を女性が占めた。社保庁は「新制度で恩恵を受ける専業主婦の関心が高い」とみている。』
 離婚による年金の分割は、来年4月以降に離婚した夫婦から可能になります。年金加入期間で結婚していた時期を最大で半分ずつ分けられ、割合は協議して決めます。新制度により、女性が恩恵を受けるケースがほとんどです。妻は来年4月まで離婚を言い出さずに先延ばしにしているケースも多く、その時を楽しみ?(失礼!)に待っている人も多いのではないでしょうか。夫は妻のひそかな決意を感じとっているのでしょうか。

「日雇い派遣」急増 携帯で連絡、低賃金・補償なし(朝日新聞)

2006年11月08日 | Weblog
11月7日の朝日新聞によると、
 『「日雇い派遣」という働き方が急増中だ。人材派遣会社から仕事の紹介を受け、日替わりで派遣先で働く。連絡は携帯電話やメールだから「ワンコールワーカー」とも。規制緩和で派遣できる職種が大幅に広がったのを機に、若者やリストラされた人たちがすぐに現金を手にできるこの仕事に流入している。だが、低賃金で、仕事がないときの補償もない不安定な立場だ。
 ①横浜市の男性(42)は携帯が命綱だ。派遣会社に電話して働きたい日を予約する。仕事が決まれば勤務時間、集合場所を携帯で告げられる。当日は駅などに直接集合して現場に向かう。解体作業の手伝い、イベント会場設営……。収入は多くても月13万円ほど。生活保護基準並みだ。月に10日前後しか仕事を回してもらえない時は月収8万円を割る。自分名義の携帯も料金が払えず解約。だが仕事を受けるための生命線だから、今は基本料金のないプリペイド式の携帯と通話カードを持ち歩く。
  別な仕事も探すが「線が細くて仕事が続かないと思われるからか、年齢のせいか」面接のたびに落とされる。倉庫作業のアルバイトもだめだった。
 ②京都に住む男性(30)は大学院に進学できず、派遣の道へ。工場で午後7時から翌朝7時まで、立ちっぱなしで検品、箱詰め作業をしている。日当は9900円。残業も多く、片道2時間近くかかるため、疲れ切って連日働くのは無理だ。月収は約12万円。貯金は10万円だ。
  早く抜け出したいが、最近受けた面接では「正社員の経験がない」と落とされた。ただ月給制の仕事に就けたとしても最初の給料までの1カ月をしのげない。「1カ月後の10万円より明日の5000円を取らざるをえない」』
  日雇労働者の悲痛の叫びが聞こえてくるようです。時代のせいか、個人の問題か、それとも運?明日はわが身かも、と考えさせられてしまうニュースです。


人事担当者の66%が「フリーター、NO!」…調査から

2006年11月07日 | Weblog
10月27日の読売新聞によると、
 『フリーターの採用には企業の66・7%が消極的――。9月に行われた調査で、そんな厳しい現状が明らかになった。人事戦略、雇用状況について調査研究を行う「パソナHR研究所」(東京)が、人事担当者243人を対象(有効回答138件)にしたアンケートでは、37・6%が「日本経済にとっても課題だが、実際の採用は難しい」と回答。次いで、「実務や経験のない人材の採用は難しい」が27・4%だった。「できれば採用したくない」の声も、1・7%あった。「今後の採用を検討」は22・2%、「積極的に正社員として採用している」は11・1%と少数派で、フリーターの就職が依然苦しい現実が、浮き彫りとなった。』
 10年前のバブル崩壊後に就職を迎えた若者の一部は、就職難で正社員になれず、非正社員を選択せざるを得ない状況でした。マスコミは「フリーター」謳歌でこぞって持ち上げました。その結果、安易にフリーターの道を選択した人もいました。企業は経費削減で正社員の代わりにアルバイトや派遣社員を採用し始めました。その企業がいざ正社員を採用する時に、フリーター(アルバイト・派遣社員)経験者はマイナス要因として考えているのです。結局アルバイト・派遣社員は使い捨てでしかないのでしょうか。時代の変化といえばそれまでですが、残酷なものです。

35・45歳で年金加入歴通知、早期点検狙い

2006年11月06日 | Weblog
11月6日の読売新聞によると、 
『社会保険庁は、35歳と45歳の国民・厚生両年金加入者に対し、過去の詳細な年金加入履歴を2007年から郵送で通知する方針を固めた。
 従来、年金を受け取る直前の58歳の加入者に通知していたが、履歴の記録ミスなどを早期に発見しやすくすることで、年金の信頼性を高めることを目指す。
 通知は、「学生2年(未加入)」「A社8年勤務(厚生年金)」「B社へ転職4年勤務(同)」など、加入者の職歴などを明記する形式となる。このため、「未加入期間はないはず」「転職の時期が違う」など、加入者本人が、履歴の間違いを点検しやすくなるという。履歴の記載に間違いや問題がある場合、社会保険事務所などに、履歴の訂正を求めることができる。』
 年金の裁定請求の際に一番苦労するのが、本人に昔加入していた会社名を書いてもらうことです。10年前ならなんとかなりますが、40年前となると記憶もあいまいで、加入していたかどうかも定かではありません。加入履歴は早い段階で把握する必要はあると思います。年金手帳に加入期間を記入する欄があります。そこに書いておくのがベストのようです。国民年金保険の領収証も貼り付けておくと尚いいと思います。

スズキに約5900万円賠償命令 過労自殺訴訟で判決

2006年11月01日 | Weblog
10月30日の朝日新聞によると、
 『自動車メーカー・スズキの元社員小松弘人さん(当時41)=静岡県浜松市=が自殺したのは長時間労働とストレスが原因だとして、両親が同社に約9125万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が30日、静岡地裁浜松支部であった。酒井正史裁判長は「月平均約100時間もの時間外労働をさせ、負担を軽減させる措置を取らず、うつ病を発症させて自殺に至らせた」として、同社に約5867万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
 判決などによると、小松さんは02年2月にそれまでとは全く異なる部門の課長代理となった。精神的な重圧を感じたり長時間労働が続いたことなどが原因でうつ病と診断され、同年4月15日、本社5階の屋上から飛び降り自殺した。』
 会社は、うつ病発症の事実を認識しながら何ら措置を取らなかったようです。これは安全配慮義務の違反にあたります。社員の健康管理を行うのは、会社の義務だということですね。特に時間労働の管理はポイントになります。残業時間が月80時間以上は注意が必要です。