最近の気になるニュース(人事労務編)

人事労務の情報を新聞報道等からチョイスしてお送りしています。さらに最近読んだ本やお気に入りの音楽を紹介しています。

年金額、現役世代の47~51% 出生率1.26で試算

2007年01月27日 | Weblog
1月26日に朝日新聞によると、
『 新しい将来推計人口(人口推計)に基づき、厚生労働省が試算した厚生年金の給付水準の見通しが25日、明らかになった。最近の景気回復を反映させ年金積立金が高い利率で運用できれば、年金の給付水準は将来にわたって現役世代の収入の51%台を維持できる。だが、運用利回りなどを堅めに見積もれば約47%に低下するとの内容。政府は04年の年金改革時に「現役世代の5割以上の年金給付維持」を約束しており、5割をはさんだ異なる数字が論議を呼びそうだ。』
年金は現役世代から集める保険料と150兆円の積立金の運用益で賄われています。長期の利回りの前提が0.5ポイント高まれば給付水準は2ポイント向上します。
国が「現役世代の5割以上の年金給付維持」という数字を掲げる場合、楽観した数字でなく、ある程度経済情勢が苦しい場合に基づいて試算してほしいものです。年金は国民の老後の生活がかかっているのだから。

残業代割増率3段階に 厚労省要綱、提出は「政治判断」

2007年01月25日 | Weblog
1月23日の朝日新聞 によると、
 『厚生労働省が検討している労働基準法の改正案要綱が23日、明らかになった。残業代の割増率引き上げについて、月の残業時間に応じて割増賃金を3段階に分ける制度を導入し、長時間労働の抑制を図る。安倍首相が残業代の割増率引き上げなどに限った改正案を通常国会に提出するかどうかが、今後の焦点になる。
 要綱では、残業時間の上限とされる月45時間を超えて残業ができるよう特別の労使協定を結ぶ場合、割増率を「法定を超える率(25%超)とするように努める」とした。
 さらに、労働者の健康に悪影響を及ぼしかねない長時間の残業については別途、基準時間を設定し、それを超える残業についてはいっそう高い割増率を課す。具体的な基準時間や割増率は、労働者の健康確保や中小企業の経営環境などを踏まえて政令で定める。』
 この問題はいままで「ホワイトカラー・エグゼンプション」(WE)導入とセットで議論してきました。WEが見送りになったので、残業代割増率引き上げも先送りになったような錯覚がありましたが、また再浮上してきました。
この改定により、割増率は①月45時間以下、②月45時間超、③政令で定める時間を超える長時間、の3段階になります。
国会に提出できるでしょうか?経済会からは反発が必至でしょう。


パートも健康保険加入 厚労省、年金適用拡大で方針

2007年01月20日 | Weblog
1月19日の産経新聞によると、
『厚生労働省は18日、パート社員の厚生年金の適用を拡大した場合、健康保険組合や政府管掌健康保険にも同時に加入させる案を、社会保障審議会年金部会(厚労相の諮問機関)に示した。
 サラリーマンの夫をもつパート主婦などには被扶養者として保険料を支払っていない人も多く、同時加入による新たな負担に対する拒否感が強いとみられる。
 企業側も厚生年金、健康保険料の5割をそれぞれ負担しており、新たな負担増に経済界も強く反発しそうだ。』
 この案は外食産業やサービス業のようにパートに頼っている企業側が強く反対するでしょう。「パート社員自ら厚生年金に加入しない働き方を選択しており、適用を拡大すれば辞める人も出て、人材不足に拍車がかかる」、との声もあります。
 現在の加入要件は正社員の労働時間の4分の3以上の場合です。中小企業ではこの基準を守れていない企業が多いのが実情だと思います。適用を拡大して空洞化しないか不安です。

残業代ゼロ法案 政府、通常国会提出を断念

2007年01月17日 | Weblog
1月16日の朝日新聞によると、
 『政府・与党は16日、一定条件の社員を労働時間規制から外し、残業代をなくす「ホワイトカラー・エグゼンプション」(WE)を導入する法案について、25日からの通常国会への提出を見送る方針を決めた。安倍首相は16日夜、首相官邸で記者団に「現段階で国民の理解が得られていると思えない」と述べ、提出する環境にないとの認識を示した。7月の参院選を控え与党内からも「サラリーマンを敵に回す」との批判が強まり、提出断念に追い込まれた形だ。』
このブログで何度も取り上げた「ホワイトカラー・エグゼンプション」導入は先送りになりました。国会提出を見送ったのは、選挙対策なのでしょう。経済会では、法案提出を見送ったのは名前が悪かった、といっているようです。旗振り役だった日本経団連からも「残業代ゼロ法案なんて名前を付けられた時点でダメだった」との声が漏れているようです。 「高度専門職年俸制」の名前に変更し、機を改めて法案提出を探る動きもあるようです。 名前だけ変えてもねー。

パート待遇改善、無期契約者に限定 法改正案要綱

2007年01月15日 | Weblog
パート待遇改善、無期契約者に限定 法改正案要綱
1月13日の朝日新聞によると、
『パート労働者の待遇改善を目的に、厚生労働省が通常国会に提出する予定のパート労働法の改正案要綱が12日、明らかになった。正社員との賃金などでの差別待遇を禁止するのは、雇用契約期間に定めがないパートと明記。仕事内容のほか、採用や転勤など人事管理も正社員と全く同じとの条件もつけている。
 要綱では、差別的取り扱い禁止の対象は「正社員と同視すべき短時間労働者」、つまり正社員的パートとし、具体的には、職務内容が同じで「期間の定めのない労働契約を締結している者」と定義する。有期契約を反復更新し、社会通念上、無期の契約とみなすことが相当と認められる人も対象に含める。
さらに、こうした無期契約の人のうち、待遇差別禁止の対象は「雇用の全期間を通じ、正社員と同様の態様および頻度での職務変更が見込まれる者」とした。働いている間ずっと、仕事の内容や責任、配転などが正社員と等しいとの条件だ。』
パートの中でも、雇用期間の定めがない人でかつ、仕事の内容や責任、配転などが正社員と等しい人とすると、対象者はかなり少数になります。
そのほか要綱では
①正社員への転換促進策として、正社員の募集情報を伝えて応募機会を与えることや、試験制度の導入、教育訓練への援助のいずれかの措置を義務づける
②パートを雇う際、昇給やボーナス、退職金の有無を明示した文書の交付を義務づけ、違反企業には10万円以下の過料を科す。
なお、改正法の施行は来年4月です。


残業代ゼロ法案、提出へ 厚労相「対象は20万人」

2007年01月12日 | Weblog
1月11日の朝日新聞よると、
 『政府は10日、一定の条件を満たした会社員を労働時間規制から外し、残業代をなくす「ホワイトカラー・エグゼンプション」を導入する法案を通常国会に提出する方針を固めた。ただ、参院選を控え与党内の反発は強く、法案提出が今春の予算成立後にずれ込む可能性もある。これに関連して柳沢厚生労働相は同日、自民党の中川昭一政調会長ら与党幹部と会談し、年収900万円以上の会社員に限定することで対象者は20万人にとどまるとの推計を示した。』
「ホワイトカラー・エグゼンプション」制度は時期尚早とのことで国会提出は見送られるとの見方から一転、国会提出になりました。年収基準も明確になりました。対象者が2万人だけど、中小企業で管理監督者以外で年収900万以上というのはどれだけいるの?
 900万円という数字は将来下げるのを見越して設定したのがみえみえか。国会審議を見守りたい。