五感で観る

「生き甲斐の心理学」教育普及活動中。五感を通して観えてくるものを書き綴っています。

その人を想いしつらえる

2008年07月29日 | 悔いのない人生とは?
その昔、日本料理の基本を徹底的に習ったことがあります。
月に一度、土曜日の午後から先生のお宅に伺い、昭和の香りを残す木造の家。
動きやすいキッチンに改築し、そこで、お喋りを楽しみながら、右往左往。
できあがった料理を頂き、夜中まで話し込む。
先生は、器を壊されるのを恐れ、私たちに器を絶対に洗わせませんでした。

タイ料理も二人の先生につきました。お一人は、亡くなられましたが、タイ人の方。ご主人がアメリカ人で、お二人とも日本の骨董が趣味。某女性雑誌や、インテリアの本などに、よく登場するくらいの、素晴らしい邸宅でした。
そこでは、タイの宮廷料理を教えて頂きました。
もう一人の先生は、タイ料理の研究家で、そのタイ人の先生のお弟子さん。とはいっても、個性豊かな実力派です。

タイ料理に関しては、頂きたい一心での習い事でしたので、身にはついていません。

どの料理も、先生も、共通していたものがあります。
食を通して文化を知り、よい器と調度品のしつらえを学び、いづれも会話の内容はとても豊かなものでした。

自己表現。

料理は、何気ない自己表現にもってこいのツールでもあります。

料理は、胃の中に入ってしまえは、形に残りません。
残るのは、美味しい記憶と楽しい会話です。

食材に触れ、見てたのしみ、香りと味に舌鼓を打ち、会話がはずむ。
これらは、すべて五感の体感。

これで、充分です。

話は、長くなってしまいましたが、このことも源氏物語の一節で思い出したことです。
正月に、光源氏が、各々の女性に、それぞれの好みに合わせ、着物をプレゼントします。
その中で、明石の君が、一番、彼のしつらえに答えてくれた女性でした。
彼女も、自分の好みを合わせ、光源氏の来訪を待ち望み、いつ訪れても良いように部屋の中を好みの香で満たし、墨をすり、文を書く。
彼女の普段の生活が、いかにも光源氏の好みで満たされているかのように、しつらえるのです。
それが、鼻につく人もいるかもしれませんが、私は、偶然を装いながら、しつらえを怠らない明石の君が好きです。

茶道も同じく。

自分の喜びは、まず人を喜ばせることから、と改めて思うのでした。

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