森の小径というヴィジョン 2017年12月8日
「夢を描く。ヴィジョンを持つ。そして、これらを言語化して、行動に出る。」
という心理学の理論は、カウンセリングだけでなく、ビジネススキルとしても良く知られている理論です。
先日、宮城県山元町のデイケア施設の最後の講座で、施設のスタッフの皆様から感慨深く印象的な言葉をたくさん聞かせていただきました。
その中で、強靭な行動力を持つ理事長が、「私は、ちゃんとヴィジョンをスタッフの皆さんに伝えていないわ~」と呟かれたのです。
そのNPO法人の理事長さんは、震災直後から、施設の再建、稼働するために動き出し、2011年7月には移転した場所で再開を果たしました。それだけでなく、仮設住宅の集会所で「パラソル喫茶」と称する「お茶っこ」の場を定期的に開催し、手作りの料理やお菓子を用意して、被災者の方々が集い、気持ちや近況を共有しあうきっかけの場を提供してこられました。
その活動のお陰で、私共も多くの人々と出会うことができました。
ヴィジョンを言語化して、着々と自己実現を果たされてこられた方が、そのようなことを仰るので、ご本人がそう思うのだから、そうなんだろうと思いつつも、私自身のヴィジョンの持ち方が比べ物にならないくらい希薄であることに気づかされました。
こうしたい。
こうありたい。
人は、理想と現実のギャップがあるからこそ、不安感が増大するのが、人の悩みや不安のメカニズムであり、その理想と現実を行ったり来たりしながら、現実の自分を受け容れていくことも人の統合のあり方でもあるのです。
いつも、天国のように幸せ感で満たされていたら、危険を察知する吟味力は、育ちません。
そのようなわけで、「ストレスは、幸福のための道しるべである」と、私自身も学んできました。
ヴィジョンを持たずに「なるようになれ」では、何も始まりませんが、ヴィジョンが見えた時に「なるようになる」ことを信じていれば、それが実現へ動く自分の「力」になるのです。
今回の講座の最後の質問は、
「あなたは、何処に向かっているのか?」という、問い掛けでした。
何をしたいか、
どうありたいか、
という事ばかりに、意識が向いていると、実現するまでのプロセスが見えてきにくくなります。
だからこそ、自分は何処に向かっているのか?という行程的な質問を投げかけてみました。
理事長さんの応えは、施設の前の森を整備して、車椅子でも歩くことの出来る小径を造る事だそうです。
その小径は、もうすでに着手されています。
言葉と行動が一致している人の言霊は、やはり力強さを感じます。
理事長さんが仰られた「ヴィジョンを言葉に出していない」という自己の解釈は、きっと、行動が先に立つので、周囲が理解についていけず、混乱気味になる、ということの気づきなのかもしれません。こればかりは、本人でないので分かりませんが、拙い私の推察です。
これから東北は厳しい冬の季節。
森の整備を進めながら、森の中で木漏れ日の光を浴びるのをたのしみに、私も次のステップを踏んでゆきたいと思うのでした。
森の小径の散策が今から楽しみです。
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公開講座のご案内
ユースフルライフ研究所
2017年12月19日 つつじが丘勉強会
1月はお休み 2018年2月から講座開始です。
2018年2月6日 鎌倉腰越講座
2018年2月20日 つつじが丘勉強会
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12月15日13:30~15:30雪谷校
12月22日10:30~12:30たまプラーザ校