五感で観る

「生き甲斐の心理学」教育普及活動中。五感を通して観えてくるものを書き綴っています。

旅する本

2016年05月17日 | 第2章 五感と体感
旅する本2016年5月17日

先日、夜中のテレビをぼんやり見ていたら、面白い番組だったため、見入ってしまいました。

内容は、
タイ・バンコクの古本屋で、「旅する本」という背表紙の本を手にした人のドキュメンタリーのようなもの。

手にした人がボロボロの本の一頁目を開くと、「この本に旅をさせてください」と手書きで書かれてあります。
本の題名をよく見ると、ほんとうは「旅する木」。星野道夫が北極の旅を綴った日記のようなものです。「木」に「一」を加え、「本」にしたことが判明。

こんな粋なことをするなんて!と、ワクワクし、この本を買い、日本に帰り、今度は南極を研究している友人にその本を託します。
その友人は星野道夫が大好きだったため、意味を深く捉え、この本を携え、南極を二往復しました。
今も、その本は旅を続けているようです。
・・・・
そんな内容の番組でした。

ところが、その三日後に会った友人が、バックの中から「この本読みました?」と、取りだしたのが、なんと「旅する木。」

思わず「なんで、それを持っているの?」と、聞いてしまう始末。

優しい言葉、そして、解りやすい言葉で書いた星野道夫の文章に、まるで星野道夫さんの魂から語り掛けられているような文章です。

私も買って読め、と言う事のようです。

「旅する木」をエトランゼが持つに相応しく、核心に満ちた熱い核がフルフルと何かを伝えようとしているに違いないと、思ったり。
つまり、普遍的な魂が共時生を与えているに違いない、と思ったり。

その日は、不思議な日で、もう一冊の繋がりがありました。
それは、井上靖の「星と祭」。再版した本の表紙絵を訪ねた個展の作家さんが描かれていることが解ったのです。
第一巻は、琵琶湖の竹生島の下あたりに小さなボートがポツンと浮かんでいる絵です。本の帯を解くとこのボートが表れる仕組みだそうです。この小説のキーポイントと云える手漕ぎの小さなボートを描いた作家さんの思いがひしひしと伝わり、有り難いと思いました。そう云えば、その方もペンギンを描いています。

自分の意識に強い本が2冊、一日の内で留めを指すように表れる、という不思議な一日でした。
これだから人生、面白いんだな。。。と。

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