五感で観る

「生き甲斐の心理学」教育普及活動中。五感を通して観えてくるものを書き綴っています。

不戦の意志

2017年08月16日 | 第2章 五感と体感


不戦の意志 2017年8月16日

8月15日終戦の日は、被昇天マリアの日でもあります。何故この日であるかは、諸々の学びを重ねるにつれ、偶然ではないことが頭に巡ります。
戦没者に菊を手向け、暫くの沈黙の時間を持たれた天皇陛下の眼差しと姿が、昨日のニュースの映像で私の心に刻まれました。
祈っておられる姿をどう見るか、政をなさる方々に確と見ていただき、その所感を聞いてみたいものだという思いに駆られました。

ここ最近、数年前、ある修道会の日本人のシスターに会ったことを思い出しており、たぶん、その方は未だにインパールの修道院にいらっしゃるはずです。
ミャンマーの山岳地帯は危険であるので入ることができず、インパールに行くにはインドに入り、紅茶の産地であるダージリンを抜けて鉄道を使う以外術は無いそうです。
シスター方の働きを聞くまでもなく、その役割を無言で知った私達でしたが、それ以来、インパール作戦の話題になると、彼女を思い出すようになりました。

日本人にしても、イギリス人にしても、その地で戦い命を落とした兵士の人数の多さは信じられないくらいの人数です。
ビルマ(現ミャンマー)の村も戦いに巻き込まれて亡くなる人だけでなく、食料になる牛やヤギまでも日本軍に持っていかれ、大きな傷跡を残しているのです。
昨日、NHKでインパール作戦の特集を拝見しました。
中国からシンガポールに移動し生きて帰還した義父は、終戦後の行程での経験は一言も話したことがありません。話を振っても、にこやかに笑顔を返して、無言でした。
語ることなく亡くなった義父も然りですが、語りたくない事実を墓の中まで持っていった人の方が多かったのではないでしょうか?
語り部として、戦後活動されていらっしゃる方々の存在は大変貴重なのです。
そして、今になり、番組が編成され、事実を証明するような日誌や報告書が解析され、重い口を開かなくてはならなくなった96歳の男性の歯を食いしばって言葉を飲み込んだあの姿が、昨日の天皇陛下の姿と重なったのです。
深い沈黙を双方から感じ取りました。

その沈黙の意味を感じ取ることの出来る感性を持てた自分であって、良かったと思いました。

20数年前にイギリスの湖水地方の町にある詩人「ワ―ズワース」の住んでいた家を見学し終えて、住宅地の角を曲がったところで、いきなりおばあさんに怒鳴られたことは、忘れられない出来事です
おばあちゃんは第二次世界大戦を始めた日本人に恨みを抱いており、夫を亡くした悔しさや悲しみの感情を観光地であるワースワースの館で、日本人を見つけては怒鳴り散らして、怒りをぶつけていたのでしょう。

「不戦の意志」というアイデンティティが定まっているはずで、定まっていないように見受けられる曖昧さに、一石を投じたはずの昨日の天皇陛下の揺ぎ無い姿は、私達への沈黙のメッセージであると受け止めました。
言葉と姿に籠められた言霊が揺るぎない日本のアイデンティティであることを信じたいものです。

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