Mr.コンティのRising JAPAN

マスコミの書かない&書きそうもない!スポーツ界の雑学・裏話を、サッカーを中心にコメントを掲載していきます。

国立最蹴章 今年も劇的な… 富山第一 3-2 星陵 13th January 2014

2014-01-18 | 五輪 U-20, U-17
時計の針は78分。スコアーは星陵が 2-0 でリードしている。初優勝、改装に入る前の国立競技場で最後に優勝を果たすまであと10数分だった。 数分前に2点目を上げた2年生の森山君に替わって投入された3年生の長谷川君がドリブルで富山ゴール前に迫る。このままシュートに持ち込むかな、と思ったところにCBの村上君がマークに入る。そして両者は交錯したかのように転倒をした。山本主審が駆け寄る。ここでPKを与えられたら星陵の優勝は確実だ。 しかしイエローカードを取り出した山本主審は長谷川君のシュミレーションを取った。 この瞬間富山県民を始め富山第一関係者は背筋にどっと冷や汗をかいただろう。
早く1点を返したい富山だが星陵DF陣の戻りが早いのでなかなか崩してのシュートに持ち込めない。 後半も40分を回った。高校サッカー魔の5分に入った。 星陵ベンチは主将の寺村君をベンチに下げる。主将としては最後までピッチに居たかったかも知れないけど、替わって入ったのが3年生の稲垣君。 準決勝に続いて国立のピッチに立ててよかったなぁと思った。 
その直後、左SBの竹澤君からロングフィードが送られる。そこには交替出場の村井君が。そして中央に送りまたも交替出場選手、高浪君に渡ると寺田君のマークをかわして放ったショットがGK近藤君を破って星陵ゴールネットにこの試合初めて突き刺さった。




 
喜ぶ間も惜しむ富山イレブンはボールをセットしポジションに着く。 そして再開された試合は富山の波状攻撃が続く。
奇跡が起こるか?いや星陵も必死だ。大きく蹴りだせ。トップに繋いでドリブルで上がって貰え…と呟く。
90分を過ぎる。ロスタイムが3分と表示された。両チームにとっては微妙な長さだ。 
そして91分59秒、スローインを受けた大塚君が渡辺君に送る。DF3人に囲まれながら渡辺君は川縁君に戻す。そして左サイドを上がってきた竹澤君に送る。 竹澤君がドリブルでPA内に切れ込むところに森下君がマークに入る。そのタックルが竹澤君の足元に入ったか竹澤君が転倒すると山本主審はホイッスルを吹きペナルティースポットを指す。 森下君が天を仰いで立ち上がれない。そこに2年生の原田君が駆け寄り先輩の森下君に手を貸す。 そして倒された竹澤君が声を掛ける。この両君は小中学校時代は同じチームでボールを蹴った仲らしい。



主将の大塚君がボールをセットする。歓声が国立競技場に渦巻く。富山第一の大塚監督はライン際で膝を着いてこの状況を見守る。監督の息子でもある大塚君、大変な重圧だろうなぁと思うも落ち着いてゴール左隅に蹴りこみ土壇場で試合は振り出しに戻った。





僅か5分余りで連続失点を喫したGK近藤君の表情が印象的だった。 
そしてタイムアップのホイッスル。富一にとっては歓喜の、星陵にとっては悪夢の同点劇だった。
こうなったら追いついた者の有利と言われるが、富山は追いつく為に守備的選手を下げたので防御は手薄になるはずだ。
星陵にも充分にチャンスがと思った。それにあと20分も国立でプレー出来るんだから….と思った。





富山のキックオフで始まった後半。92分23秒、ロングフィードを受けた長谷川君に村上君と川縁君がマークに入る。そしてこぼれたところを山本君が飛び込んでヘッドを放つがポストの右に外れていく。原田君が詰めたのだが届かなかった。
痛恨のPKを献上した山本君の決死の表情に思わず胸が熱くなる。



97分には星陵藤田君が放ったロングシュートがクロスバーを叩く。追いつかれた星陵がその悪夢を振り払っていると思った。
その直後に星陵上田君が川縁君を倒してファールを取られるがすぐに上田君は手を差し出して川縁君を起こす。そして富山の大塚君も上田君に声を掛ける。激戦の中にも“高校生らしい”シーンが見られて微笑ましく思う。
延長前半終了間際にも星陵長谷川君が左サイドを上がり原田君を経由して中に入れ、長谷川君と藤井君が競りながら飛び込むもここはGK高橋君がキャッチ。追い付かれた星陵が前半はやや攻勢だった。
延長後半に入ると注目の富山第一控えGK田子君がアップを始める。PK戦を見据えるとなれば交替枠は田子君の為に残しておかねばならない。だから延長前半の富山は体力を温存したのかな?と勘ぐった。
105分星陵ベンチは最後の交替選手川森君を投入する。 下がったのは75分に入った長谷川君。 30分足らずでのベンチ後退となった。だけど30分間プレーした国立は良い思い出になるはずだ。川森君は2列目に入ったのかな….
107分57秒。大塚君から細木君に送られるがその前にクリアー。そのこぼれ球を拾った城山君が撃つが前川君に当たりコースが変わる。そして細木君が拾う前に鈴木君がサイドに出してクリアーした。
大塚監督はベンチ前で田子君に声を掛けている。このプレーが終わったら投入かな….
そして城山君が助走を取りロングスローを入れるとボールは高浪君と藤田君の間を抜けて村井君の脚元に。左足から放った村井君の渾身のシュートは星稜ゴールに決まり遂に富山第一がリードを奪った。
狂喜乱舞の富山ベンチ。対照的な星稜ベンチ。河崎監督そして主将の寺村君の表情が。

それでもロスタイムは1分ある。 もう1度ドラマは…. 富山ベンチは最後の交代選手、GK田子君ではなく平君が投入される。3年生の平君、国立のピッチに立てて良かったなぁ…  星稜はCB寺田君が前線に上がるが、111分16秒。主審の試合終了を告げるホイッスルが鳴り響いた。 

あぁ~今年も終わったなぁ~。

 

現行の国立競技場では最後となる全国高校サッカー選手権大会の決勝戦は初の北陸勢同士の対戦となった。というよりも北陸の代表校が決勝戦に決勝戦に進出するのも初めて。最近ではどこの代表校が決勝進出しても昨年の様に雪で順延されたり雨が降ったりといった天候でなくいいコンディションでやらせてあげたいと思うようになってきた。
今年、気温は8.6度であったが快晴の下でキックオフとなった。 

富山第一は1回戦小峯総監督率いる長崎総科大付属を相手に西村君のゴールで先制するも26分には村上君が退場となり残り54分を10人で戦うことに。だが2点を追加し 3-0 とし安全圏と思われたが連続失点を喫し1人少ないながらも何とか逃げ切った。
2回戦では4人の選手が警告を受けながら熊本国府を大塚君のゴールで 1-0 で降し、3回戦の市立浦和戦ではCBに村上君が戻り25分までで3ゴールを挙げ主導権を握るも長崎総科大付属戦同様に連続失点を許す。更に地元の大声援を受けた市立浦和が攻勢に出るも試合も1点差で逃げ切った。
準々決勝戦では川縁君が累積警告で出場できず2回戦で村上君の代わりにCBに入った斎君がボランチに入った。
この試合も攻撃陣は好調で前半を 1-0 で折り返すも後半は3ゴールを日章学園ゴールに叩きこみ今度は守備陣も失点を許さず 4-0 で今大会初めて快勝を納めた。 そして準決勝の四日市中央工戦は2度のリードもその度に追い付かれる展開。PK戦ではスペシャリストのGK田子君の活躍で勝利をものにし2002年、2006年ワールドカップで5試合FWとしてスタメン出場をした柳沢を擁した第73回大会でもベスト16止まりだった富山第一が決勝に駒を進めた。



一方、2回戦から登場の星稜は初戦奈良の一条高校に 5-0 と圧勝。しかし3回戦玉野光南、準々決勝、修徳戦共に 80分間で0-0 後のPK戦を制し国立に駒を進めた。 修徳戦ではGK近藤君が3連続PKをストップし勝利の立役者に。
そして準決勝、連続決勝進出を目指す小屋松君を擁する京都橘を下馬評とは異なり 4-0 で圧勝。本田圭祐時代にも果たせなかった決勝進出を決めた。



富山第一は準決勝戦と同じスタメン。星陵は橘戦で警告を受けて累積警告の為に出場停止となった平田君に替わって鈴木君がボランチに入った以外は同じメンバー。その鈴木君も橘戦は74分から途中出場だった。

佐藤主審のホイッスル後に富山第一のキックオフで始まった決勝戦、序盤は富山が主導権を握る。3分、5分にはFKのチャンスを得る。5試合で13得点中6得点を挙げた富山のセットプレーは脅威だ。9分には星稜仲谷君がスピードに乗ったドリブルで上がって来るが最後はCB村上君がマークに入りシュートは撃たせなかった。それから再び富山が攻勢を続ける。
スタンドからは“星稜ここでかっ飛ばせよ!!”との声援が良く聞こえてくる。観戦した準決勝戦では気付かなかったけどチアーガールに混じり男子選手がセンターに入り共に振付をしてスタンドを盛り上げていたらしいが彼は背番号68番2年生ボランチの奥田聖也君。今年4月に前十字靭帯が断裂し半年間プレー出来ず、今大会は応援団長に回ったらしい。なかなか出来る事ではない。 来年は怪我を完治させて今度はさいたまスタジアムのピッチに立って欲しいものだ。
大会後は彼の雄姿が YOU TUBE にアップされ“チア兄貴”と称され人気者になっているらしい。




だがピッチ上は富山が押す展開が続く。19分には竹澤君のスルーパスを受けた野沢君がシュートを放つがGK近藤君がストップ。 20分31秒には野沢君が今度は中央に送り渡辺君がヘッドを撃つがここはポストの右に外れる。 21分には渡辺君が星稜ゴール前にドリブルで持ち込むが次から次へと星稜DF陣が粘り強くマークに入りシュートは許さない。22分には野沢君がシュートに持ち込むが森下君がブロック。25分、FK のチャンスから波状攻撃を見せ、29分には上田君が西村君へのチャージがファール、イエローとなり得たFKから野沢君が上田君のマークの前に放ったショットは僅かにクロスバーを越える。
主導権は握られても今大会4試合無失点の星稜DF陣の守備の固さが勝っていた。

そして32分久々富山ゴール前に迫った星稜は大きくバウンドしたボールをコントロールしようとした原田君の脇腹にマークに入った村上君の脚が入ってしまい原田君が倒れて起き上がれない。 佐藤主審はホイッスルを吹きすぐにスポットを指し村上君にイエローカードを出す。 ただスタンドは倒れた原田君の方に関心が行った様で星稜応援団もこのPK獲得を喜ぶと言う空気では無かった様だった。
だけどこのPKを主将の寺村君が左隅に決めやや劣勢だった星稜が先制ゴールを挙げた。 寺村君は今大会3ゴール目だったけどすべてがPKだった。 なんだかレンセンブリンクみたいだなぁ…と思った。(関係ないか?)
この試合最初のシュートが先制ゴールになるとは準決勝の良い流れを星稜が引き継いでいると思った。
40分を過ぎた時間に前半はどんなドラマがあるかと思っていたら先制された富山の野沢君が42分に惜しいミドルを放ち、続いて星稜の仲谷君と寺村君が連続してシュートを放ったが得点には至らず星稜リードのまま前半が終わった。



ハーフタイムの間、テレビでは1976年度大会から首都圏開催になり国立競技場が夢の舞台となった過去の大会の名場面を流していた。 当初は関東勢が強く、対抗できたのは静岡県勢と島原商や国見といった小峯先生の指導のかかった高校と四日市中央工くらいだった。 最近は選手権が高校生世代の最高の大会ではなくなってきているらしい。 実際に大会期間中はウクライナでU-18の大会が行われてクラブチームの選手で構成された日本 U-18 が優勝したらしい。
それでも選手権は私を含めて多くの人を惹きつける大会には変わらない。

両チーム選手交替無で始まった後半は46分スローインから繋いだボールを受けた富山ボランチ川縁君のシュートで始まった。川縁君は中学2年の時に母親を火事で亡くしたらしい。 お母さんはその雄姿を見たかったと思う。
後半の最初のシュートを許した星稜だったけど以降は星稜が優勢に試合を進めた。 48分には原田君が竹澤君と村上君のマークをかわしてシュートに持ち込み、49分には寺村君がドリブルで富山ゴール前に迫り城山君に倒されるがノーホイッスル。星稜は鈴木君と前川君の両ボランチが前半から前後の動きが早く攻守に、特に守備にからんでいた。そのせいか後半は立ち上がりから星稜はパスをよく繋いでいた。
1点ビハインドの富山は縦に中にと繋ぐシーンが多くなる。もっと両サイドを広く使えば、と思った。 52分に竹澤君が左サイドをオーバーラップで上がり野沢君からのパスを受け入れたクロスが西村君のヘッドを導いた様に。
60分この試合の最初の交替選手、富山の高浪君が西村君に替わって投入される。準決勝戦に続いて今大会4試合目の途中出場だ。高速ドリブルが持ち味らしい。 65分には右サイドをドリブルで上がり逆サイドの野沢君に振り竹澤君に送るとヒールで野沢君に戻し中の川縁君に。川縁君は相手DFに囲まれながらもドリブルシュートに持ち込むが惜しくもゴールには至らなかった。サイドをワイドに使うとこういうチャンスも生まれるのかと思われた展開だった。
その直後にもCKのクリアーを拾った竹澤君がボランチ細木君に送りクロスが入る。大塚君と渡辺君が飛び込むがここは誰にも当たらなかった。 67分には渡辺君がドリブルで上がるがここはフォローが無かった。 
ピッチをワイドに使い出した富山が次のゴールに近いかなと思いだした70分大塚君からのパスをインターセプトした上田君が富山PAの左側に流れた仲谷君に送る。そして仲谷君が折り返すと中央から走り込んだ森山君がぴたりとヘッドで合わせて星稜の2点目を決めた。 ちょっと川縁君のマークが後手に回ったみたいで充分に競り合えなかったみたいだった。
それにしても2年生FW森山君は京都橘戦に続いての国立連続ゴール。 来年以降も楽しみな選手だ。
そして75分、森山君がベンチに下がり3年生の179㎝長谷川君が投入される。 守りに移るにはまだ早いかなと思ったけど、下がったのが2年生なので妥当かもしれないなぁと思った。そして投入されたのが3年生だし….
あと15分で2点リード。 1997年9月28日のワールドカップ予選の日韓戦で呂比須が下がり逆転負けを喫したけど、あれは73分だったけどあの時は1点差。 この試合は2点差。多分国立初登場の長身の長谷川君をトップに残してロングボールを入れるのかなと思った。そしてこの時点ではあんなドラマがあるとは想像できなかった。

 

大会が終わり3年生達はどうしているだろう。富山第一の優勝は高円宮杯プレミアリーグ勢の初戴冠という事で高体連関係者達の間で話題になっているらしい。 “格上”のJリーグU-18を相手にする時は守備を固めてカウンター狙いになる傾向があり、またリーグ戦とトーナメント戦では戦い方も異なるらしい。
しかしワールドカップは出場国が拡大され世界の戦いはベスト16が出そろってからと言われている。そしてベスト16からはトーナメントで行われる。まぁ日本はまだまだそこに出られるかどうかの線上だけど。 世界の列強は1次リーグとトーナメント戦以降の戦い方が使い分けられるのだろうなぁ…..

同級生は夏休み前に引退するか2学期も続けて選手権都道府県大会に臨むか悩んでいた。
最近の大学受験は推薦制度が多様化しているのでその門は確実に拡がっている。 だから思い切り“部活”に打ち込める今の高校生が羨ましくもある。 

まぁ俺も随分と歳をとったという事か….. 来年はさいたまスタジアム2002 まで出て行こうかな。家から近いし。寒すぎない事を今から祈っておこう。