Mr.コンティのRising JAPAN

マスコミの書かない&書きそうもない!スポーツ界の雑学・裏話を、サッカーを中心にコメントを掲載していきます。

New Zealand All Whites ここにあり 楽しみは4年後に....

2010-08-15 | 夏季五輪

イタリアベンチは後半に Gilardino に替えて Di Natale , Pepe に替って Camoranesi を投入したけど、 Pepe はどうして替えるのか?と思った。
それでもイタリアの総攻撃で後半の幕が開けた。48分47秒 Montolivo から右サイドの Di Natale に送られ Tommy Smith がマークに入る前にシュートを放つがPaston の正面に。55分には Criscito が左サイドからクロスを入れるが Vicelich がクリアー。 55分47秒には Lochhead が Camoranesi を倒してFKを与える。しかしここも長身揃いの All Whites DF, MF陣が跳ね返す。All Whites とは言え空中戦ではアズーリ相手でも大いに分があったがそれだけでない、肘をせり出す“イタリア的なタフ“ なプレーもこれは日本を含む今大会参加国全てにあるわけではない彼らの Advantage だった。
しかし Bertos のドリブル以外攻撃は列強のイタリアDF陣を破る事はほぼ不可能に見えた。60分9秒 De Rossi から Iaquinta にスルーパスが入りフリーでシュートを放つが痛恨のミス。
その直後に Lippi 監督は最後の交替選手 Pazzini を Marchiso に替えて投入する。すると Herbert 監督も FW Fallon を下げて FW Chris Wood を投入する。まだまだ守備の選手を増やさない。まだまだ戦うぞと云うサインだ。 62分40秒には Cannavaro のスローインから Criscito がシュートを放つが僅かに外れる。 69分52秒には Montolivo のミドルがさく裂するが Paston がまたも右手一本でセーブ。72分、久々に All Whites がイタリアゴール前にまで迫るがそこからイタリアはカウンターに転ずる。しかし最後は Nelsen が必死に戻ってクリアー。その前に Smith が倒されたけど笛は鳴らなかった。
79分、CKから Iaquinta がヘッドで Camoranesi に折り返そうとするがその直前に Reid が高さで制してヘッドでコーナーに。そのCKから Camoranesi がシュートに持ち込もうとするが今度は Vicelich がブロック。 
81分 Vicelich に替ってJeremy Christie が投入される。 Christie は中盤の選手。これで Elliot がDFラインに入った。だがまだまだ専守防衛に移りはしない。
そして82分ニュージーランド国民が一斉に身を乗り出すシーンが。PA付近で縦パスを受けた Chris Wood が Cannavaro を振り切り右ポストを目がけて放ったシュートはスロービデオを見ている様に右ポストをめがけて転がるがポストの左を通過してしまった。イタリア国民は心臓が凍る思いだっただろう。だがこのシュートがAll Whites の選手達を勇気付けたのは言うまでも無い。そしてイタリアDF陣も容易に後ろを開けられなくなって来た。
85分、 イタリアの猛攻に立ち向かい続けた Nelsen が倒れて動けない。脚がつったようだ。担架が持ち出されるが、これに乗せられると一時的に All Whites は1人少ない状態で戦わねばならない。なかなか動かない Nelsen に Batres 主審からイエローカードが出される。 時間稼ぎと取られたか?
87分55秒 Camoranesi のミドルが飛びCKに。そのCKから Iaquinta がヘッドを放つがゴールポスト左に外れる。89分57秒には右サイドから中に切れ込んだ Zambrotta が Smith を外して放ったシュートは Camoranesi の前で Nelsen が身を呈してブロック。 ロスタイムは4分と表示された、イタリアが逆転するには充分な時間だ。 90分55秒には Montolivo が放ったシュートは Paton がキャッチ。スタンドの白色の衣装をまとっていた All Whites サポーター達はその白いシャツ等を振りまわして声援を送る。その中に女性1人、彼女のブラは Black だったけど…

そして91分55秒、今大会私が日本戦以外で最もエキサイトをした瞬間が訪れる。  Herbert 監督が13番 Andy Barronを伴ってピッチサイドに出て来た。 昨年11月 Play Off のバーレーン戦にも途中出場をしたアマチュアの選手だ。 普段は Wellington の Westpac Bankに勤めるサラリーマン選手だ。 彼の年棒は知らないが対戦相手の選手達の給料は彼の何十倍、何百倍。 それでなくても選手の年棒が激増する中で彼の様な選手がワールドカップでプレーする事がたまらなく痛快だ。  94分27秒両者に異なる意味の勝点1ずつが与えられるホイッスルが鳴った。



Herbert 監督がすぐに Lippi 監督の元に寄り握手を求める。2人は何語でどんな話をしたのだろう…… ピッチ上、観客席では明暗が分かれる。 
CK 数はイタリア15に対してニュージーランド 0 。シュート数はイタリア23に対してニュージーランドは3 が示す通りイタリアが圧倒的に試合を支配していた。イタリアは1次リーグ敗退の可能性が出て来た。
そして All Whites は決勝トーナメント進出も夢では無くなって来た…だとしたら次から Moss が出場出来るのだけど次のパラグアイ戦もGKは Paston だろうあぁ…

後日ある新聞には両チームスタメンの年棒は16倍も差があったらしい… さらにイタリアの footballer ( 恐らく登録者だともうけど ) 登録はプロ選手 3,541 人を含めて490万人でニュージーランドの人口を上回るそうだ。
試合後、 Herbet 監督は Andy Barron の起用はアマチュア選手が億万長者に対抗できる証明をする為だと認めたらしい。大会前の最終メンバー決定の過程でかつての代表選手、 Wynton Rufer や Danny Hay らはアマチュア選手はワールドカップに連れて行くべきではないと語っていたらしいが。
“まさにそれが我々の全てだ。 確かに Ryan Nelsen の様なプロのスター選手がいるが、これまでの2試合の様にハードワークの元に好結果を捻りだすのが私達のやり方だ。それがニュージーランドで、我々のスピリットの全てだ。それはニュージーランドスポーツの特別な瞬間だった。 我々がここでやり遂げた事全ての瞬間が歴史を作っている。” 
Barron は“我々は昨年ここでイタリアと試合をしているその時に破っておくべきであった。” それは FIFA Confederations Cup 前の調整試合で 3-4 で敗れた試合の事であった。イタリアから3度リード奪っていたのだけど… “ 以上の様に語った。

我々はワールドカップには不充分でプレーすべきでないと言われていたアマチュア選手を含むチームにOKが出されようとしている。我々はただ4度世界王者となったチームと戦い引き分けただけだ。多くの人達は我々はワールドカップに出場に値しない、我々は簡単に予選を突破したと..ならば自分のストーリーを書きつづれば良いだろう。しかし掲示板の示されたのは最も信じられない結果だ。“  Nelsen のコメントだが同時にPKの判定に怒りを隠さない。

“ペナルティーはあんまりだ。 Di Rossi でさえ私に向かって笑っていた。彼もPKを信じられなかったのだろう。明らかに主審は我々を助けなかった。 もし彼がFIFAが勧めた最高の主審であったとしたらそれが最悪と見なければならないだろう。 それは残念なことだろうが試合を台無しにしてしまった。 我々は空中戦が得意だ。イタリア人達はそれを知っている。だから競り合った後に地面に倒れてひじ打ちを受けた様に振舞う必要があった。主審は最初からそうだった。もし我々に不利なミスジャッジをしても世界は誰も指示しないがそれがイタリアに不利になるジャッジであれば世界中が指摘する。 彼はそれを解っていたのだ。 “



そして続くパラグアイ戦に臨むにあたり、“我々は引き分けても次のラウンドに進出する可能性が出て来た。それは素晴らしいチャンスだ。 誰が考えただろう?最終戦に我々がまだ真剣勝負が出来るだなんて?パラグアイ戦は難しくなるだろう。 前にチームメイト( Blackburn Rovers ) であった Roque ( Santa Cruz ) と話を既にした。次に彼と対戦するのが楽しみだ。”….. そしてこう付け加えた。

“我々は数合わせの為にやって来たのではない事が証明された。”

最終戦のパラグアイ戦は引き分けたがスロヴァキアがイタリアを破った為に All Whites の挑戦はそこで幕を閉じた。だが世界にニュージーランド人は楕円形以外のボールを扱える事を証明しただろう。日本のジャーナリストにはそれが難しい事なのだろう。

8月6日、West Ham はスロヴァキア戦で同点ゴールを決めた Winston Reid の所属するデンマークのFC Midtjylland から獲得をしたとの報道があった。移籍金は £400万 ( 約 5億2千万円 ) だったらしい。この金額は新シーズンに向けて West Ham が獲得した Thomas Hitzlsperger ( Lazio £248万 ) Pablo Barrera ( Pumas Mexico £389万 ) らよりも高額だ。 

     

そして Rickie Herbert 監督以下多くの All Whites メンバーを含む Wellington Phoenix のタイトルを狙う A-League が開幕した。 
10月9日にパラグアイ代表がオーストラリア・シドニーで親善試合を行った3日後の12日には Wellington で All Whites との試合が組まれる事となった。

しかし今大会の All Whites で残念なことが一つあった。それはそこで Haka が演じられなかった事。ラグビー以外の球技で何度か見た事があったのだけれど…

しかしそれは4年後ブラジルでの楽しみとって置く事にしよう?


New Zealand All Whites ここにあり 

2010-08-15 | 夏季五輪

ロスタイム4分は過ぎていた。いつ終了のホイッスルが鳴ってもいいはずだった。
そしてついにグアテマラ人の Carlos Batres 主審の長いホイッスルが吹かれた。
その瞬間私はテレビに向かって思わずこう言った。

ざまぁ見ろ、 本当にざまぁ見ろだ。

イタリア選手に対してでは当然ない。スポーツを実際やった事がある人は、例え五輪に出場した事がある人でも高校までしか出来なかった人でも対戦相手に敬意を払う事は、例え世界選手権でも地区大会の初戦でも現役中でも引退してからでもそれが一番大切な事と理解しているはずだ。
イタリアサポーター達にでもない。対戦相手のサポーターや応援団も対戦相手同様と私は考えている。 

イタリア代表の事なら恐らくイタリア人を除くと世界で最も詳しく述べる事が出来るであろう日本の“スポーツジャーナリスト”と名がついて彼らの書いた行で金銭を受領する輩達に対してだ。
New Zealand All Whites に就いてはどうだろう?昨年11月バーレーンとの大陸間プレーオフを現場で観戦したジャーナリストはいたのだろうか? Wellington でその瞬間を見た私はそれらしき人は確認出来なかった。もしいたとしても All Whites の事を詳しく知る“専門家”は皆無に近い事は容易に想像できる。
本大会に入る前もオセアニアから唯一やって来たこの“島国”の事を正確に述べられる“ジャーナリスト”は皆無だった。

イタリア、パラグアイ、スロヴァキアそしてニュージーランドが並ぶGroup F は本命イタリア、対抗がパラグアイ、ニュージーランドは番外、これが一般的な予想だ。 
ニュージーランド国民でさえ1勝点、1得点が上げられるかどうかが関の山だったと思われていただろう。
私は日本人だがそうは思わなかった。初戦は対戦相手で最も力の劣るスロヴァキア戦。本大会の緊張がほぐれないうちにイタリアや南米の強豪パラグアイを相手にするよりはここで勝点を挙げれば…と思った。しかし反対にスロヴァキアとて決勝トーナメントに進む為には初戦のニュージーランド戦は絶対に勝ちたい相手。ここで“取りこぼす”事は出来ない、やっぱり3連敗の可能性も低くはないなぁ…とも思った。(どっちや?)
しかしこんな結果になるとは、大会前だれも予想なんて、いや想像なんて出来ない事だった。(当たり前か?)

おそらくイタリア人サポーター達は第二戦の相手ニュージーランド戦は当然勝つ、負けるわけがない、問題は何得点を奪えるか?そう期待していただろう。 日本の“イタリア通”もそうだったに違いない。初戦のスロヴァキア戦、九分九厘負けていた試合を Winston Reid の起死回生のヘッドで悲願の1勝点、1得点を挙げた All Whites はもう何も失うものは無い、このイタリア戦は大量失点さえ喫しなければ….とおもった。

The day New Zealand finally fell in love with that round-ball game
Guardian

ブブゼラ?いやイタリア人にとってはこれで充分だ。 Nuova Zealand ,この発音はこの試合の翌朝イタリア人達にとっては充分に醜く響いただろう。 
試合は引分けに終わっただろう。しかしニュージーランドにとっては偉大な勝利だった。ラグビーとクリケットが世界に誇れる小さな島国のスポーツ史上1987年のラグビーワールドカップで優勝した時以来の快挙である。スロヴァキア戦では試合終了間際に同点に追いつ頭を上げる事が出来た。 例え憎きオースオトラリアと言えども 0-4 で大敗したのに Sydney Morning Herald 紙は Australia 1 Slovakia 1 の見出しが躍る謙虚さを見せた。
しかしイタリア人にとってはそれは被害を最小限に抑える為の対策でしかなかった。 確かにロンドン東部のパブでイタリア人達は 3-0, 4-0 そして 5-0 を予測していた。 ニュージーランド人達はとにかく 0-3 までなら良い事だと言った。 1823年 William Webb Ellis 少年はサッカーボールを拾い上げ走り出した。 ニュージーランドのラグ
ビーファンの今の心配はニュージーランド選手がボールを置いて走りだしたりしないかだ。


両チームとも初戦と同じスタメン。All Whites は最終予選のバーレーン戦から3バックを敷いていた。CBには重鎮 Premiership Blackburn Rovers の Ryan Nelsen そして左SBはプレーオフ前に代表復帰のベテラン Ivan Vicelich 。そして右SB は Wellington Phoenix の Ben Sigmund ではなく長身187cmの Tommy Smith ボランチには 190cm のWinston Reid と36歳ベテランの Simon Elliot を起用。Reid がパラグアイ戦でゴールを挙げ、この試合の Elliot の深い読みの守備をみれば Herbert 監督の抜擢がよく理解できる。 
2列目と云うよりも今大会守備的MFの役割時間が長かったのは右の Leo Bertos と左の Tony Lochhead 。そしてFWは A-League Gold Coast United の得点王 185cm のShane Smletz が1トップ。右に 188cm Ray Fallon , 左に 183cm Chirs Killen と長身が並ぶ。 
砦を文字通り守り続けたのは Wellington Phoenix の Mark Paston 。ワールドカップ予選途中までと FIFA Confederations Cup でレギュラーだった Melbourne Victory の Glen Moss はまだワールドカップ予選のフィジー戦で退場処分をくらいこの試合まで出場停止中だった。

イタリア国歌に続いてニュージーランド国歌が。世界的に知られており“一般”サポーターを取り込んでいるにアズーリ対する All Whites のサポーター達もスロヴァキア戦の引分けでようやくワールドカップでの“市民権”を手に入れられたか? だが列強相手に大敗して競技場を後にだけはしたくなかっただろうなぁ….
しかし試合は思わぬ、そして第三者にも最高の立ち上がりを見せる。5分45秒、 Paston からのGKを Tommy Smith と競った Zambrotta がファールに取られ All Whites にFKが与えられる。直接狙うには距離があるが、ゴール前には Nelsen , Reid ら長身選手が入る。そして Elliot がゴール前に上げたボールは Cannavaro に当たりこぼれたところを Smelz が押し込み見事に All Whites が先制ゴールを挙げた。




Cannavaro が前の選手のブラインドになりボールが出てくるところを見失いコントロール出来なかったのだろうが、彼の前で飛びあがったのは Zambrotta , しかしその後ろにいた Reid が Zambrotta の背中を押していいた。 その分 Cannavaro はボールが入って来るコースが見えなかったのだろう。 



先制を許してからのイタリアは目を醒まされた様に一気に攻勢にでる。
18分11秒 CK から Chiellini が惜しいシュートを放ち、21分34秒Montolivo からボールを受けた Zambrotta がLcohhead, Elliot, Smith に囲まれながらシュートを放つ。 Pepe が右サイドに開いたのを Lochhead が気に取られマークが甘くなった瞬間だった。26分10秒に Montolivo が De Rossi の縦パスを受けて放ったミドルがポストの内側を叩くがゴールネットには至らない。ここも Lochhead の位置が中途半端だった。 
そして27分21秒、 Chiellini の左からのクロスがゴール前に上がる。そこに走り込んだ De Rossi が倒れる。Batres 主審がすかさずペナルティースポットを指してイエローカードを出す。出された相手は Tommy Smith 。リプレーを見ると、確かに De Rossi に振り切られた Smith はユニフォームを掴んだが、ボールが足元に来た時は既に“振り切った”後。 足元にボールが入る瞬間に前に倒れ込んだ。 まさに技ありのプレー。しかしこれがイタリアがこの試合最もイタリアらしさを見せた瞬間だった。



ここで得たPKをIaquinta が決めてイタリアがようやく同点に追い付いた。
GK Paston, プレーオフでは見事PKをストップしたんだけど、やはりワールドカップはレベルが違うか…

試合を振り出しに戻した後もイタリアの猛攻は続く。 34分35秒 Montolovo のパスから De Rossi がシュート。両サイド、特にAll Whites の左サイドを Pepe, Zambrotta が徹底的に狙ってくる。37分にもこのサイドが崩されたが最後は Elliot がクリアー。40分には Iaquinta のスルーパスが Gilardino に入りシュートに持ち込むがGK Paston がキャッチ。
終了直前にもスローインを受けた Pepe が De Rossi のミドルを演出するが Paston がCKに逃れる。そのCKがネアー入るが今度は Nelsen がブロック。 こうして何とか同点のまま前半が終わったが、おそらくイタリア、ニュージーランド両国サポーター達はイタリアが逆転するのも時間の問題と思った事だろう。    後半に続く