Mr.コンティのRising JAPAN

マスコミの書かない&書きそうもない!スポーツ界の雑学・裏話を、サッカーを中心にコメントを掲載していきます。

惨敗 実力の差まざまざ 4.29 川崎4-1 京都

2009-05-02 | 京都サンガ J-League
再び2階のアウェーゾーンに着席する。スコアーは 0-3 残り時間は約15分程度。
階下から響いてくるサンガサポーター達の声援はこう言う状況でも途切れる事は無い。何とか一矢を…。
しかし79分。サンガゴール正面中央やや左よりから中村憲剛のスルーパスが途中出場の黒津に通りそのままシュートを放たれゴールネットを揺らされた。ついに4点差がついてしまった。 

         

8日前にACL Central Coast 戦とはまったく対照的な快晴、快適なスポーツ観戦日和だったのになぁ…..

その直後にも憲剛(日本代表)から鄭大世(北朝鮮代表)にスルーパスが通りまたサンガゴールにシュートを蹴り込まれた。 代表クラスは流石に違うなぁ…と感心してしまったがここはオフサイド。 でもオフサイドゴールを入れるともう6回もゴールラインを割られた事になる。 あと何点取られるのだろう….ピッチを眺めながら呆然とそう思った。90分を迎えようとした時、中央で相手ボールをカットした加藤が安藤に預け、ディエゴのヘッドで抜け出し菊池がタックルに入る前に放ったシュートがついにGK川島を破りフロンターレゴールに突き刺さる。 

         

ようやく意地を見せてくれたシーンに階下からは大歓声が沸き上がる。私も立ち上がって喜ぶ。今季初ゴールの加藤はそのまま表情を変えずにボールを拾いあげセンターサークルに向かって踵を返した。 このシーンに少し胸が熱くなる。 
ファインセーブを連発しゴールを守り続けた川島は座り込んでしまった。いくら味方がゴールを重ねてもGKは完封を目指すものらしい。 89分間無失点で切り抜けながらの最後の失点だけにその背中は悔しそうであった。
しかし試合結果には影響を及ぼさないゴールは間違いなく、2分間のロスタイムも過ぎ地元川崎フロンターレが快晴のもと快勝を飾った。
私は選手達に最後の声援を送ろうと再び階下に向かった。 フロンターレイレブン、審判団との握手を終えたサンガイレブンそしてベンチの選手達が広告板の間を通ってこちらに向かって歩んでくる。すると今度はサンガサポーター席からブーイングの嵐が起こる。選手達の表情が少し険しくなる。
私はただ、“頼むぞ。今シーズン最後まで頼むぞ !! “ と怒鳴るばかりだった。 一礼を終えた選手達が控室に向かうが1人だけこちらに戻って来た。背番号7番の佐藤勇人だった。 そしてサポーターのリーダーの一人が拡声器を使って何か叫んでいる。佐藤は恐らく彼に何かを訴えるような表情で話しているが声が聞こえない。 やがてサンガの役員の一人が彼を連れに来て控室に戻って行く。 

            

佐藤、役員を含め他のサンガの選手達の背中に向かって ” 京都サンガ!!“ のコールが起こる。私も精一杯のコールを選手達の背中に送った。 そうするしかなかった……..

            


春の暖かな日差しの中、今度は応援旗や垂れ幕を片づけ、帰り支度をするサポーター達を複雑な気持ちで眺めていた。向こう正面のフロンターレサポ達は選手達と歓喜の歓声を上げている。 あぁ幸せそうだなぁ……
さっきのシーン。気持はわかる。サポーターも選手も。 特に京都からわざわざ時間と費用を掛けてやって来たサポーター達が見たかったのはこんなサンガじゃなかったはずだ。勿論私も。 勝負の世界だから負ける事も覚悟はすべきだ。しかし、このスコアーそして試合内容では………

4月29日。昭和世代の私にとっては“昭和”天皇誕生日として馴染みのあった日。 前の週末とは異なり絵にかいたような晴天、スポーツ観戦日和。 私は意気揚揚と最寄りの駅に向かった。 ここから武蔵小杉までは電車で1本。そして武蔵小杉からは競技場まで直行のシャトルバスに乗り込む。 乗車賃は 200円。これがドイツだと無料なのだが試合前から缶ビール片手に “出来上っている” のがわんさといる。秩序良くバスに乗れることを考えれば200円くらい安いものだ。 バスの中は完全アウェー….と思いきや紫色の座布団や小道具を手にする人達もちらほら。 一時期に比べて関東地方のゲームでも競技場に足を運ぶサンガサポーターが随分と増えた様に思う。
この日の対戦相手は川崎フロンターレ。 1998年“博多の森の悲劇”に泣いた時。私はここの競技場から自転車で15分程度のところに住んでいた。その時愛するサンガはもうJ1にいたが横浜フリューゲルスの消滅でこのJ1参入決定戦を免れたのだった。1999年に川崎はJ1昇格を果たすが翌2000年には何とサンガと共にJ2に逆戻り。サンガは1シーズンでJ1復帰を果たすが川崎は以降4シーズンをJ2で過ごす。
ただサンガも天皇杯で優勝を果たした翌2003年は最下位に沈み2004年、3シーズンぶりに川崎と同じリーグに同居する事となった。しかしこのシーズンから両者の立場は逆転。川崎が勝点105、得点104 の圧倒的な強さで優勝し5年振りのJ1復帰を果たしたのに対しサンガは川崎に勝点で36 もあけられ5位に沈み更に1シーズンJ2 で過ごさねばならなかった。 
以降川崎はACLで上位を目指すまでになる一方でサンガは昇格と降格を繰り返し両者の力の差は歴然となっている。 

                   

武蔵小杉に到着する前はもう少し早く家を出れば良かったと思っていたがあのシャトルバスのおかげで無事スタメン発表直前に着席出来た。この日のサンガスタメンは下記の通りだった。

                   9 豊田 

      11林          10 ディエゴ        22 渡邉

            16 安藤            7 佐藤 

        6 染谷   14 李正秀   4 水本   26 角田

                   GK21 水谷

前節磐田戦と同じスタメン。しかし前節は 4-3-3 。この試合は4-2-1-2-1 だった。

一方の川崎は、親切にもメンバー発表の後掲示板に予想フォーメーションまで映し出してくれた。 前節広島戦からメンバーから森、伊藤、横山、鄭大世ら4人を外しメンバーを入れ替えていた。今シーズンはACLに参戦しているので4月8日、アウェー Gosford での Central Coast Mariners 戦から3週間で6試合目となるハードスケジュール。そして3日後にマリノス戦を経てそのまま天津に飛びACLの天津泰達戦更に5月10日にさいたまスタジアム2002 で浦和戦が続く。
サンガとしてはその過密日程に付け込みたいところだったが….. 井川が右サイドバックにはいり CB は菊池が寺田と組み、左サイドバックは村上が。そして中村憲剛が2列目右でなくボランチに起用された。 

          

快晴の中キックオフのホイッスルが鳴る。開始早々川崎ゴールに迫る。 
“鄭大世抜きでサンガとやろうってのかぃ??”… とこの時思った余裕は早々と霧散してしまう事に。 2分にサンガゴールに向けて縦パスが1本通り李正秀と矢島が競る。そして出て来たGK水谷と矢島が交錯し水谷が倒れて起き上がれない。 

          

そんな激しく衝突した様には見えなかったが4分経っても水谷は立ち上がれずとうとう担架で運び出され替って松井謙弥が入った。思えばこのアクシデントがこの試合の未来を物語っていたのかもしれない。 
以降サンガは防戦一方。両サイドにロングボールを放り込まれそこに田坂、ヴィトールそしてジュニーニョらがフォローに入る。特に対サンガ戦通算9得点の“天敵”ジュニーニョには良いようにやられた。9分にはジュニーニョに左サイドを突破され田坂を経由して中に入れられるとそこには矢島がフリーで走り込んだがボールは矢島の後方に入り事なきを得る。 前節磐田の早いサイドチェンジの前に最終ラインが揺さぶられ弱点を露呈したがその不安を思い出させるシーンであった。
そして17分、角田のパスをカットした田坂からジュニーニョにボールが渡るとマークに入った水本を振り切りシュートを放つ。 一旦はGK松井が弾くがこぼれ球をヴィトールに押し込まれ早くも先制ゴールを喫してしまった。

前節でも前半17分に先制ゴールを許したが一旦は逆転したのだ。この試合もきっと….と気を取り直すが攻勢をかけるのは川崎攻撃陣ばかり。両サイドを突かれPA付近で早いボール回しに遭い防戦一方。 この日の Match Day Program に

“CB の水本と李正秀はスピードタイプのFWに苦戦を強いられる傾向にある。前線が自由に動き回り、スピードある川崎攻撃陣とまともに対峙しても抑えるのは困難。佐藤や安藤らがパスの出し手にどれだけ厳しいプレッシャーを掛けられるかがポイントになる。” 

と書かれているがまさにその通りの展開。水本、李のCB 2人は高さそして1対1には強いがボールを速く回されると…この様にプログラムに書かれる様な事はサンガ首脳陣は知ってて当然。前節では試合後監督の指示で前線に3人が残る事になったので相手攻撃時にはMFにかなり負担がかかり、最後は磐田の術中にはまって行った感じがしたが、その試合もこの試合もそれに対する策は無かったのか….

ボールの出してとなる川崎の中村、谷口はサンガボランチの佐藤、安藤と比べると役者が1枚上手…..感は否めない。2列目の田坂、ヴィトールがどんどんサイドを突いてくる。さらに天敵ジュニーニョがドルブルを持ち出すや否やDFラインはパニックに陥る……
また攻撃頼みの綱、ディエゴはボールを受けてもすぐに相手のマークが二人、三人と厳しく取り囲み、ボールが出せない。 ディエゴには彼の足元に向けてしかボールが出ない。従って相手DF陣もマークがし易い。中村をボランチに置いたのはディエゴ対策か? 従ってワントップの豊田にはボールが出ずに孤立気味。19分43秒には焦れてきたディエゴが中村憲剛を後方から蹴とばしてイエローを受ける。こうなると偶発的に前線にボールが出て何とかファールを貰いセットプレーからディエゴ、豊田、水本そして李の高さに頼るしかないか…
33分にはそのCKを得る。水本がエリア内に入り矢島と競りながらもヘッドを放つがゴールには至らず逆にそこからカウンターを食らい反対にCKを献上。そのCKに谷口にあわやのヘッドを放たれるがボールをクロスバーを越えてくれた。
40分19秒にはジュニーニョからのスルーを受けた矢島にシュートを撃たれゴールを割られるがここはオフサイド。線審が女神に見えたよ…..

              

44分には渡邉が散々振り回されたジュニオールへのチャージにイエローが出される。 攻守の中心選手がイエローを貰う悪い流れのまま前半が終わろうとしたが48分にディエゴのスルーに林が飛び込む。そのまま川島にボールは掴まれたが最後のあわやのシーンに後半期待をさせてくれた。

後半は他のサポーター達と共に声援を送ろうと1階の立見席に移動する。何とか連敗ストップを….と願いながら。

             

サンガベンチは後半からシジクレイをボランチに入れ、角田をベンチに下げて渡邉を右サイドバックに入れる。しかし開始早々試合はいきなりCKのピンチを迎えその後も左から危ないクロスを入れられるなど向こう正面のサンガゴール前で展開される。ここは何とか水本、李の高さで跳ね返した。
だが5分を過ぎると2列目から前線へ効果的なパスが通りチャンスを作る。後半は豊田のワントップはそのままで2列目を左からディエゴ、安藤、林に並べ替える。ディエゴを相手のボランチから遠ざけるサイドに移したと言う事か…
そのディエゴ、シジクレイからのスルーに豊田、林が走り込む。 53分にはスルーを受けた豊田がそのままドリブルシュートに持ち込もうとするが菊池にカットされた。 逆サイドにいた安藤がフリーだったのだけど….. 寺田、菊池を中心とした川崎DF陣も容易にシュートを打たしてくれない。 
そして63分カウンター攻撃を見せた川崎にヴィトールのドリブル突破から左サイドを破られ中のジュニーニョを経て最後は矢島の振り抜いた右足からのショットがサンガゴールに突き刺さりあっさりと追加点を奪われてしまった。

私の周囲は信じられないくらい静かになった。そして遠くからフロンターレサポーター達の歓声が響いてくる…..
64分には豊田がイエローを貰ってしまい、67分には加藤弘堅に替ってベンチに下げられてしまった。 流れはどんどん悪くなっていく。 豊田は対峙する寺田に空中戦では結構互角にやっていたが孤立するシーンも長く最後まで川崎DF陣に脅威を与えられなかった。 
これでサンガは林がワントップ気味に。2列目は右からディエゴ、加藤、安藤が並ぶ。 70分には安藤からのスルーに抜け出した林がフリーでシュート体勢に入る。 よし!!と身を乗り出すが林のショットは川島のファインセーブを引き出すに終わった。 さすが元U-20そして現代表候補だ….
さぁここから反撃と思うも、73分ヴィトールのCKを谷口がヘッドで折り返し右サイドにいたジュニーニョに渡り、対サンガ戦10得点目にあたるゴールを決められた。 

            

あぁ相手のセットプレーには強いサンガDF陣ではなかったのか……..
3失点目からのキックオフ直後、ほぼ中央から佐藤が抜け出しフリーでショットを放つがここも川島がストップ。そして私は2階席に再び向かった。 
林、佐藤、どちらかのシュートが決まっておればなぁ….と思いながら…….

勝った川崎は入れ替えて起用された選手達が結果をだす会心の試合内容だっただろう。 それだけ選手層が厚いのか、それともサンガが弱いのか……
これで3連敗。さいたまスタジアム2002 で浦和に敗れた時は “これで首位戦線に残れるかな??”と按じたが、今は“J2落ちしないかな?”と心配の内容が深刻になった。 
試合終了後のブーイングは物議を醸すかも知れない。 チームを愛すればこそブーイングも否定できないと思う。私にはそれが出来ない。それだけ愛情が薄いと言われそうだけど…..

今後のサンガの奮起を期待するしか…… ないんだよなぁぁぁ ……