Mr.コンティのRising JAPAN

マスコミの書かない&書きそうもない!スポーツ界の雑学・裏話を、サッカーを中心にコメントを掲載していきます。

白星発進 まずは勝点3 バーレーン 2-3 日本

2008-09-12 | 夏季五輪
時計の針は後半の40分を過ぎていた。中村憲剛のゴールで3点差がついていた。マチャラ監督が何かピッチに向かって口を動かしている。独り言かもしれないけど彼自身これだけ日本に点差をつけられたのは初めてだろう。どんな気持ちなのかな、成田空港で出会って一緒に写真を撮らしてもらった時は随分と優しかったなぁ… このまま終われば彼も解雇されるのだろうか…それとも辞任するのかな……. そんな余裕を持ちながらテレビ画面を眺めていた。するとSayed Mohamed Adnan が中盤の右サイドから前方の逆サイドにロングフィードを入れるとゴール前でフリーの Salman Isa に渡り、そのまま日本ゴールに蹴り込まれ1点を返された。41分23秒だった。
内田、中澤がほぼ真ん中で立っており S. Isa は完全にフリーだった。そしてフィードを出した M. Adnanもノーマークであった。6月、成田空港でバーレーン代表一行と出会った時、M. Adnan もやさしかったなぁ....  
ゴールを決めた Isa も淡々とした様子。むしろ3点目となった憲剛のゴールのショックを引きずっている様にも見えた。岡田監督の悔しさを隠さない様子が映し出されたが、まぁ3点差で勝つのはムシが良すぎる、相手も最終予選に出てくる代表しかもホームゲームなので1失点くらいは…….. と深く気に留めていなかった。
しかしリスタートの直後、またも M. Adnan がセンターラインの後方からロングボールを日本ゴール前に上げると何と闘莉王がヘッドでGKに返すはずが楢崎とのタイミングが合わず自軍ゴールに入れてしまう。バーレーンは労せずして3点差から一気に1点差に迫る。42分57秒だった。1分34秒の間に2失点も喫した事に。 
これで場内の雰囲気は一変。試合開始から熱心に拡声器を使って応援していたリーダーのヴォルテージもテンポも一気に上がり、観衆の声援も….. こうなるとピッチのバーレーン選手達が俄然生き返ってくる。日本選手は一気に疲労が出たか後手、後手を踏み、完全に受け身に回ってしまう。交代選手枠は使い切っている。寝転がっていた私は思わず起きあがってブラウン管の前に…… それにしても本当にスポーツは精神力だなぁ….. 44分23秒 Jaycee Okuwunwanne が阿部と競りながらドリブルシュート。これは楢崎の正面に。44分40秒、Mohamed Abdulrahaman がミドルシュートを放つがこれは大きくゴールを外れる。 2人とも後半途中から交替出場の選手達。45分29秒には Okuwunwanne が中澤を背負いながらPAのすぐ外から振り向きざまにシュートを放つがこれもクロスバーの上に外れて行く。 Okuwunwanne はこのシュートに自信があったのかシュートの弾道を見て結構悔しがっていた。ロスタイムは3分、同点にされる可能性は充分に残っている。久しぶりに相手コートにボールが出るがオフサイドを取られる。そして Jamal Rahman がこれを日本ゴール前に放り込む、DF の Abdulla Marzooq が飛ぶが楢崎がパンチで弾き出す。そのこぼれ球に追いついた田中達也の後方から Abdulrahaman がチャージに入りファールを取られる。計時は47分20秒。このFKを大きく前線のにフィードしタッチラインを割る。そこからもバーレーンはボールを繋ぎ日本ゴールに迫ろうとするが48分8秒、シンガポール人の Bashir 主審がタイムアップのホイッスルを吹き何とか逃げ切る事が出来た………. あぁやれやれ、そういえば前回のワールドカップ最終予選の初戦、北朝鮮戦も最後まで冷や冷やしたなぁ……….

   

  
いよいよ始まったワールドカップ最終予選。ホームでは確実に勝ちアウェーでは勝ち点を失わないと言うのが鉄則。初戦のバーレーン戦はアウェーゲームだが勝つには越したことはない……….
バーレーンのスタメン、GK は不動の Sayed Jaffer, DF ラインは6月の日本戦の様な4バックでは無く3月のマナマでの試合同様3バック。左サイドバックには Mohamed Hussain CB は長身のSayeed Mohamed Adnan で右サイドバックに Abdulla Marzooq ボランチには Mohamed Salmeed と Sayed Jalal, , 2列目の右には Abdulla Omar。左にはFouzi Aaish。3月の日本戦ではこのポジションは Salman Isa が務めた。前線にはSalman Isa , Ismaeel Latif と Aala Hubail が並ぶが Ismaeel は最前線に張ったり左に流れたりするが、最も留意すべきは過去日本戦で通算3ゴールを挙げている Aala Hubail のポジション。そして3月の試合のスタメンからはトップ下にいた Abdulla Fatadi に替ってスタメン起用されたFouzi Aaish 。 Aaishi は3月のマナマでの日本戦で途中交代出場後以降は全ての試合にフル出場をはたいしており、この試合でもスタメンに。2列目の左サイドに張るが Fatadi の様にトップ下にもポジションを移すのだろうか…… 
日本はGKが楢崎。 Aaishi の様にマナマでの試合の次からずっとスタメンでフル出場を果たしている。DFライン、こちらは4バック。CBに中澤、闘莉王、右サイドは五輪メンバーだった内田。左サイドには流通経大戦でも起用された阿部。ボランチに遠藤と長谷部。MFは右サイドが中村俊輔、左サイドに松井、中盤には3人の欧州組が起用された。FWは玉田がワントップでその下に田中達也が抜擢された。欧州組でも稲本はベンチからも外れ、他に駒野、水本、大黒そしてGK西川がメンバーから外れた。マナマでの試合のスタメンに起用された選手は阿部(この時は右のDF。)中澤の2人だけ。途中出場選手(遠藤、玉田)を入れても4人だけであった。

試合は開始から日本が速い出だしでバーレーンを押し込む形に。4分には松井が7分には阿倍がミドルを放つ。10分には遠藤からボールを受けた阿倍が逆サイドにクロスを上げるがこれは大きくゴールを外れる。その約30秒後に内田が右サイドをドリブルで上がり中に入れるとボールを受けた達也が振り向きざまにシュートを放つがこれはGK正面。阿部、内田の両サイドが積極的に上がりバーレーンの前線を抑え、自軍のチャンスを作る。バーレーンは日本のサイドバックの後ろにロングボールを特に阿部があがった後に入れて来る。しかし正確なロングフィードを入れられるDFは CBのMohamed Adnan なので日本の前線は彼にボールが入るとロングフィードを読めたのではないか? 16分には俊輔から達也にボールが渡り Marzooq が後ろからチャージに入りファールを貰いFKを得る。ゴール正面やや右側であったが距離は直接狙える範囲だ。闘莉王が壁の横に入る時など小競り合いが続く、長谷部、Sayed Jalal, Aala Hubail がBashir 主審に呼ばれて注意を受ける。そしてファールのホイッスルが鳴ってから3分近く過ぎようやく遠藤と俊輔がセットしたボールの脇に就く。遠藤が一旦ボールを跨ぎ戻ろうと踵を返した瞬間に俊輔が左足を振りぬくと闘莉王の右脇を通ったボールはそのままバーレーンゴールネットを揺らし先制点が生まれた。 GK Jaffer は1歩も動けず。さすが俊輔と言うFKだったが遠藤の動き、闘莉王の立ち位置も見事だった。 3次予選では前半に得点を挙げられなかったが大事な最終予選では早い時間にゴールを挙げることが出来た。

    

これで目が醒めたかリスタート後はバーレーンが押し込む時間が続いた。2列目の A.Omar とS.Isa が両サイドいっぱいに張りボランチの M.Salmeen , S.Jalal が前に出て来て日本のPA付近でボールを繋ぐようになった。この時間でもF. Aaish が日本の左サイド側に張るがこれも阿部の裏側を取る為か……
20分には I.Latif がヘッドで落としたところを走り込んだ S.Isa が拾ってドリブルシュートを放つがこれは楢崎がパンチングで跳ね返した。しかしこの劣勢の時間帯も失点につながらずそして長くは続かなかった。24分を過ぎると松井が少し下がって相手のボールを積極的に取りに行き、達也、玉田も左サイドにより守備のフォローに入り2人のボールキープ力をここでも生かす。28分には松井からボールを受けた達也が左サイドでドルブルシュートを撃つがこれは Marzooq に当たってCK. この時は中澤、闘莉王が上がって来た。遠藤が蹴ったCKは俊輔に繋がり右側逆サイドに上がった中澤に送られ、中に折り返す。そこには玉田がおりシュートを放つが M. Adnan に当たり跳ね返りをダイレクトで阿倍が撃つもGK Jaffer がパンチで撃ち返す。そのこぼれ球を俊輔が拾い左サイドの松井に。松井は逆サイドにいた闘莉王に送るがこれはオフサイドを取られたがこの動きは3月の試合では見られなかった。
32分、松井のインターセプトから攻撃に転ずると達也を経由して左サイドに寄った玉田に繋がる。PAのすぐ外でM. Salmeen がファールで玉田をストップ。またも好位置でFKを得た。FKを蹴る遠藤に闘莉王が声をかける。遠藤はゴール前には入れずにエリア外から走り込んだ俊輔にシュート練習の様なグラウンダーを送る。俊輔の左足が再びバーレーンゴール目がけて一閃するが今度はその弾道はゴールネットに届かず F. Aaish の手に当たりPKを貰う。後日専門誌で読んだがこの動きは闘莉王の発案だったらしいがバーレーンDFも相手FKのピンチでこれだけエリア内にスペースを空けているとは……。 PKは誰が蹴るのだろう?俊輔に挽回のチャンスが与えられるか…… と思ったがベンチから“ヤット!! “ と言う指示が飛び遠藤がGKの動きをよく見てにボールを転がし追加点を挙げた。遠藤は観客性からレーザービームで妨害されたとの事であったがよく落ち着いたもの。GK の Jaffer は6月のオマーン対日本のビデオを見なかったのかな???

  


日本にとっては前半で2点のリードを奪うと言う最高の試合展開となった。その得点は共にセットプレーからであったがそれらは達也と玉田のドリブルに対してのファールで得たFKから。彼らが創ったチャンスとも言えた。

  

後半に入ると“シーズンが開幕したばかりの”バーレーン選手が慣れて来たのか出だしが速くなりボール支配率が上がって来た様に見えたが、前半同様日本選手達はボールを取られても個々の攻守の切り替えが早く、バーレーンも最後の決定的なパスが全く出せなかった。そして1対1でも日本選手の方が優位に立っており長谷部がボールを持つ相手に早く寄せてチャンスの芽を摘む等バーレーン選手達の焦りを増幅させ、逆に玉田や達也にボールが渡るとファールで止める様になるので余計に日本が優位に。 62分には A. Hubail, I. Latif が下がりJaycee Okuwunwanne とMohamed Abdulrahaman が投入される。最も警戒すべき A. Hubail はこの日は良いボールが貰えず仕事にならなかったのではないか? 局面打開に Okuwuwanne の様な突破力のある選手を入れたのだろうが、マチャラ監督としてはせめて1点差で入れたかっただろう。 
66分カウンターから達也が右サイドをドリブル突破を図りマークに入った M. Husain を振り切った瞬間に倒される。Bashir 主審はHusain にイエローカードを提示する。Husain はこの試合2枚目の警告で退場となるが納得のいかなず Bashir 主審に詰め寄る。主審のからだを触れさせまいと Marzooq, S.Jalal そしてM. Adnan の3人がかりで Husainと主審の間に入る。このジャッジは少し Husain に厳しくはないか?と思うがリプレーを見ると Husainは抜かれた瞬間に達也の踵を蹴っていたのでこれは妥当なジャッジと言えただろう。この時点でバーレーンの勝利はかなり難しくなったと思った。日本ベンチはここで松井に替えて中村憲剛を入れる。松井は35分にイエローを受けていたので次のウズベキスタン戦には出場できない。 
75分に憲剛からのスルーパスが達也に渡ると達也は Marzooq を振り切って中に送るがわずかに走り込んだ玉田に合わず逆サイドにボールが流れる。そのボールを拾った Aaish がドリブルで上がろうとするのを長谷部が奪いフリーで放ったシュートはポストを直撃、そのこぼれ球を拾った達也が狙うが今度はクロスバーを直撃する。 2点差でリードしているとはいえ、ここは相手にとどめを刺すために決めたかったシーンだった。でもあそこでドリブルをする Aaish も??だ。 M. Husain が本来はこのポジション。退場を受けて Aaish が左サイドバックに入っていた。
そのいやなムードは85分憲剛のミドルシュートが M. Adnan にあたってコースがかわってバーレーンゴールネットに突き刺さった瞬間に一掃された(様に思った)。憲剛はシュート前に阿部からボールを受けたのだが阿部も憲剛も全くフリーだった。交代選手が追加点を決めたので残り時間からこの試合は完全に日本のものだと思った………
       
    
終わってみれば3点差が1点差。しかし勝点3は変わらない。最後に得失点差の争いにならない事を祈るが….
両チームの選手コンディションを比較すると3月の時と反対であっただろう。そしてこの日の Bashir 主審は公正、いや日本に有利に笛を吹いてくれたか……..
俊輔をはじめ欧州勢はその存在感を示した。それだけ彼らがもし怪我などで予選期間中に離脱などしてしまうと少し心もとない。 次は10月15日さいたまスタジアム2002 に2戦2敗ウズベキスタンを迎える。それだけに厳しくなりそうだ。チケット手に入るかなぁ……….

最後にFIFAのホームページにマナマで現地在留邦人の方達が代表選手達と記念撮影をするところが紹介されていた。在留邦人にとってこう言う機会は非常に貴重でありがたい機会。それだけに勝てて良かったと思った。彼らの為にもアウェーでも好結果を残してくれることを期待する。