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函館市とどほっけ村

法華宗の日持上人にまつわる伝説のムラ・椴法華。
目の前の太平洋からのメッセージです。

八幡君逝去

2011年05月25日 11時16分25秒 | えいこう語る
八幡君(ヤハタ君=仮名)15歳が、去る4月22日に亡くなったと聞いた。
ヤハタ君と私は、特に知り合いというわけではないが、サーフサイドの前を散歩する白い小犬だ。
飼い主が漁師さんで、その持ち船の名が「八幡」なので、私が勝手にヤハタ君と名付けただけだ。
漁師さんの犬らしく、小柄ながら威勢がよかった。私が近寄ると大きな声で吠えていた。だから私とは顔見知りだが、親しいという間柄ではなかった。
1年程前には、おじいさんと一緒に散歩に出ていた。
「俺が疲れていても、時間になれば、散歩に出かけようと吠えるんだ」と、おじいさんが嘆きながらも、ヤハタ君に引っ張られ、散歩を強制されていた姿を目にしたものだ。
おじいさんが疲れてしまったのか、その後は大柄な身体のおばあちゃんと散歩していた。
そのあたりから、ヤハタ君は、私と出会っても吠えなくなり、毛並みも乱れ、精彩を欠くようになった。
おばあちゃんに聞くと、もう高齢で視力も悪くなりめっきり弱まったという。
最近、ヤハタ君の散歩する姿を見ない。
昨日おばあちゃんが、ミニ何とかという小犬を連れて散歩していた。
尋ねるとおばあちゃんがしんみり話し出した。
※ヤハタ君が散歩していた銚子ビーチ。


「半年前、片目が見えなくなり、それで側溝に落ち足を骨折し、4月22日亡くなった。15年も一緒に暮らしたので、土に埋めるのもかわいそうなので、函館市内の火葬場に連れて行った。すごい立派な火葬場で安心して見送ることができた。でもかわいそうで、私も三日間体調を崩し、病院通いをした」と、語った。
東日本大震災後、老夫婦と暮らしていた猫が、数日後戻ってきた時の二人の喜びようをテレビで観た。
「実の孫より可愛い、よく生きのびてくれた」と涙を流した。
老人にとっては、よき話し相手だったのだろう。
最近のペットブームには、急速に進みすぎた文明社会が置き忘れた、人間のやさしさと悲しさが、垣間見れるような気がする。
私も子供の頃は犬を飼っていた。近所にもたくさん犬がいた。仲良くなっても動物は先に亡くなる。子供心にはそれがとても悲しかった。
おばあちゃんと小犬。今度はたぶんおばあちゃんが、先に旅立つはずである。
おばあちゃんの傍らで小犬の泣く姿が、ふと浮かんだ。
ヤハタ君のご冥福をお祈りしたい。