函館市とどほっけ村

法華宗の日持上人にまつわる伝説のムラ・椴法華。
目の前の太平洋からのメッセージです。

津波警報発令・避難勧告

2010年02月28日 16時57分32秒 | えいこう語る
南米のチリでM8・8の地震が発生した。


私が小学校6年の50年前にも、チリで世界最大の地震が発生している。
その時は、見る見る間に波が引き、今まで大干潮でも見たことのない海底まで露わになったのだ。
その後徐々に波が満ちて、平常位置に戻ったという記憶がある。
年齢が一つ下の妻は函館駅前に住んでいたが、周辺は海水が押し寄せ、学校が休校となったと話している。
私の家はすぐ目の前が海である。先日地域防災リーダーの講習会も受講したので、海中に顔を出している、波消ブロックの水位を双眼鏡で観察していた。
20分で水位が20センチほど上昇したのを確認したので、これは相当危険だなと判断した。
村内の防災無線から「2メートルの津波の恐れがあるので、非難するように」と空襲警報発令のような、避難勧告の放送が流れた。
私は今朝沖に出なかったが、この放送により間引き昆布の小さな作業船は、いち早く港に引き返した。
それとは反対に、大型漁船は港から一斉に沖に出た。津波の時は港に係留していると損害が大きいからである。
消防車が警戒に走り回り、次第に緊張感が高まってくる。
隣の老夫婦に避難する準備をさせ、車に乗せ山の方に避難した。
津波到達時間の2時間以上前に非難したので、そのまま函館市内まで山道を通り、スーパーで買い物をして戻って来た。
老夫婦は数年ぶりで函館に出かけたと喜んでいる。
戻ってみると、避難勧告が放送されたわりには、非難した人が極端に少なかったようだ。
私たちのように役所の指示に従い、非難した者は慌てふためいたようなイメージである。・・・なんだかカッコ悪いのだ。
ラジオで津波情報を聴いていると、私たちの周辺の海岸の町では、ほとんどが非難したように報道されている。
避難勧告という非常事態の実態に、かなりの矛盾を感じてしまった。
50年前のチリ地震の津波で、三陸海岸では百数十名が犠牲になったのである。
4月に町内会の総会があり、役所の方も出席する。
今回の避難勧告についての内容を質問してみようと思う。
なんたって、地域防災リーダーの講習修了書を、函館市長名でいただいているからである。
でもなんともなくてほっとしている。


縁の下の力持ち

2010年02月27日 14時24分21秒 | えいこう語る
冬季オリンピックがテレビや新聞で報道されている。


自国の選手ばかりでなく、どこの国の選手にも声援を送っている。
特にメダルを獲得した選手には、それまでの努力を思うと、感動で涙が出てくる。
選手は勿論だが、それを支えてくれた多くの人々にも拍手を送りたい。
朝日新聞のカメラマンIさんは、毎日活躍した選手たちの素晴らしい写真を紙面に掲載している。
Iさんは、前回の金メダリスト荒川静選手の、イナバウワーの決定的写真を掲載された方だ。
一枚の写真が掲載されるのが、どれほど大変なことなのか、本人から話を聞いたことがある。
ちょっとした縁で、私が取材を受けたことがある。一枚の写真のために、朝から夕方まで、実の3日間私についてくれたのだ。
近くから遠くから、まるで忍者にように、こちらに意識させないように撮っていた。
昨日国内での撮影があったと思うと、次は海外で事件があるとすぐ飛び立つという。お嫁さんなどもらう時間がないと笑っていた。
今回もやはりカナダにいた。
毎朝新聞の写真の横にIさんの名前を見つけ、いい写真を撮っているなと楽しみにしていた。
浅田真央さんが銀メダルをとった、ビールマンスピンの写真もIさんだった。
しかし私が今回一番感動した写真は、スノーボード金メダリストの米国の選手が、宙に舞った瞬間の写真である。
まもなく競技も終了するが、いままでとは別の視線でオリンピックを楽しませてもらった。
縁の下の力持ちの人たちにも、メダルを差し上げたいものだ。


「漁師見習53」水温み海に花咲く

2010年02月26日 14時20分54秒 | えいこう語る
関東のブログ仲間からは、梅や福寿草が咲いたという春の便りが届くが、我が村には雪があり、寒さもまだ厳しい。
しかし昨日は13度という高温に恵まれた中、第3回サクラマス釣り大会がおこなわれた。
ところが海水温と暖気の差がありすぎ、濃霧が発生したと思ったら、周囲の山どころか隣の釣り船まで見えなくなった。
聞くところによると、昨日のような海霧は「移流気」といい、タイタニック号が沈没したときの状態だという。
船上では船頭さんが、得意気にコンパスを出し、港に戻るためのレクチャーが始まる。
やがて霧が薄くなると、近くの岬の先端と、恵山頂上だけが霧にぽっかり浮かんだように現れた。海賊でも出現しそうなミステェリアスな雰囲気だ。
釣りのほうは「潮だまり」という状態で、潮の流れがないので魚も泳いでこない。
渡り鳥が海面すれすれに規則正しく飛んでいく。
「渡り鳥は頭の中にコンパスを持ち、気象も的確に把握する凄い能力を持っている」と、飛ぶ鳥を見つめ感動も新たにする。
「超能力」という字は、昔は「鳥能力」と書いたのではないかと、これもまた、一同妙にうなずく。
「来週は、この岬の影にある舟入間に船をつけ、七輪に火を熾し「シュル貝」と呼ばれる、ムール貝に似た貝を採り、海賊パーティーをやろう」と船頭さんが提案した。
釣りを切り上げ、養殖昆布の間引き作業を3時間ほど手伝う。あたたかさのあまり帽子を脱いで作業した。
頭の中はもはや海賊パーティーで一杯である。
そこに波に揺られ、透き通った肌にスカートのすそには鮮やかな紫色のフリルをつけた踊り子さんが出現した。
越前クラゲの子供だろうか?
2010年北海道トドホッケ村で咲いた春一番の花は「海原に咲く水中花」だった。


「漁師見習52」遊びがあるから仕事も楽しい

2010年02月24日 14時40分35秒 | えいこう語る
荒海でのサクラマス漁と養殖昆布の間引き作業。
ほとんど毎日の出漁で、すっかり「潮のかほり」という香水の似合う男になってしまったようだ?
この香水いい香りなのだが、塩気が多すぎ肌荒れを起こすという難点がある。そこで日に3度は洗顔をするように心がけ、スキンローションも欠かせない。男らしいのかオカマ的なのか、微妙な海の男である。
村の防災無線から正午を知らせるチャイムが鳴る。それを聞いてカモメが船の近くに集まってくるのだ。
船上での昼食は、パンとホットコーヒーだ。太平洋上でのネスカフェは実に美味しい。カモメにキャンディーを投げると、包み紙をくちばしでむいて食べるので驚いてしまう。パンを投げると上手にキャッチする。
昼食時のカモメたちの見事なショーは、心が和む。
サクラマス釣りではホッケも釣れる。トドホッケ村のホッケは、一夜干しは勿論のこと、フライにすると美味しい。パン粉を付ける前に日本酒をさっと振りかけると美味しさが増す。すり身汁も美味しい。
この頃漁から戻ってくると、妻が抹茶を入れてくれる。
海の匂いをたっぷりかいだあとの、抹茶の香ばしい匂いは、なんともいえない。
茶碗の中に緑色の太平洋がある。
抹茶など京都や奈良のお寺を観光で訪ねたときにしか飲んだことはないが、太平洋から戻って来ての抹茶の味も格別である。今のところは疲れて抹茶を自分でたてる元気はないが、そのうち妻から指導して貰おうと思っている。
今朝はマス釣りと昆布作業に出かけようと思ったが、風無し波平らかで、久しぶりにウニ漁があった。
今晩は漁師仲間との週1回の飲み会である。
私の船頭さんも参加するので、ウニをたくさんいただいた。
船頭さんは、昨日サクラマス用の新しい竿を購入してきたので、明日は昆布の仕事休んで、第3回のサクラマス大会を開催するという。
私の船頭さんは仕事になると見習の私に指導は厳しいが、時々遊んでくれるので、私も楽しんで漁師見習をさせてもらっている。
ウニ漁の朝


「漁師見習51」旬を味合う

2010年02月22日 16時49分13秒 | えいこう語る
養殖昆布は、ロープに昆布の種子を11月に付け、海に浮き玉をつけて沈めて置く。3ケ月後の2月から間引きを始める。
昨日生まれて始めてその作業を手伝った。養殖の場所は比較的波が穏やかな海域だ。
サクラマス釣りの漁場の荒波は「極寒の北の漁場」という感じだが、波が比較的穏やかで風も少ない昆布の養殖場所は「沖縄の海」という感じだ。
地獄と天国ほどの差、そんな感じだ。それだけマスの漁場は波が高いということである。
昨日船頭さんが「あんたも恐ろしいと思っているだろうが、俺だって内心の恐ろしいと思っているのだ」と、漏らした。
なぜ危険を冒してまで釣りに出かけるのかというと、勇気がなければ漁師は食っていけないということのようだ。
「00名人」といわれる漁師は、最後までしぶとくねばっていて、人より多く釣ってくるのだ。
そんなわけで、初めての昆布の間引き作業は、マス釣りから比べると、鼻歌が出そうな作業だった。
それでも4時間近くの作業だった。重量労働にはそれなりのご褒美がある。
ロープに天然のワカメが、ほんのわずかだが付着していた。
船頭さんが「初物だから持っていけ」と、頂いて来た。
湯通しすると、見事な若緑色に変わった。
千葉県在住で、高校時代の友人I女史が作った器に盛り付けた。
彼女はアマチヤながらも、県展に連続入選している。数年前から故郷函館の海の色を器に塗りこんでいる。
この色は昆布養殖場所に、光が差し込んだ時の海の色なのだ。
器の微妙な線は、私が送った漁網を使ったものだ。
器良し、ワカメ良し、若ワカメなので白ワインで頂いてみた。
こんな美味しいワカメをいただいたのは、生まれて始めてである。