函館市とどほっけ村

法華宗の日持上人にまつわる伝説のムラ・椴法華。
目の前の太平洋からのメッセージです。

見逃してはならない新聞記事

2016年10月31日 11時54分42秒 | えいこう語る

 

以前、某新聞社の報道部長から、こんな話を聞いたことがある。ある大きなまちを批判したわけではないが、そのまちと競争関係にある小さなまちにエールを送るような記事を書いたら、大きなまちの議会からクレームを付けられ、購読に影響するぞとまで言われたという。報道は公平でなければならない。だが、国民の生活を脅かす不当な権力には、敢然に立ち向かう姿勢がなければ、報道は単なる権力の飼い犬的存在になってしまうだろう。視聴率と同様、発行部数など最優先せず、自らの使命を発揮してもらいたいものである。

とはいうものの、新聞報道であれば洒落た文体やジョークもなかなか使用しづらいので、書き手は何らかの手段で読者に真実を伝えたいと思うに違いない。新聞記事を丁寧に読んでいると、いくつかの関連記事を合わせれば、編集する側が読者に伝えたい真意を汲み取ることができる。編集者が意図していかもしれないが、読者自らがいくつかの関連記事を編集し、自説を組み立ててみるというのも、新聞の楽しい読み方ではないかと思う。

例えば、今一番函館市民にとってうれしいニュースは、函館駅直近の若松埠頭に、12万トンクラスの大型クルーズ船が接岸できる埠頭を整備するというものだろう。1隻から2000人~3000人の客が下船し、市内で消費する経済効果は、大きなものがある。今後、年70隻ほどの入港を予定しているというから、ほとんどの市民は、港湾整備には好感を持っているようだ。だがこの予算は、アベ政権の「21世紀型のインフラ整備」という大形クルーズ船向けの港湾整備計画で、港湾の整備については函館市の継続要望だったが、9月の補正予算で函館市が要望している以上の6億3000万円が付いたという、どちらかというと棚からぼた餅的な、国からのサービース予算のようだ。市の一部負担もあるが、大間原発建設に反対し、国を提訴中の函館市に、国の急な思いやり予算が妙に気になる。

この予算について、函館観光振興に新たな希望がという、提灯記事が多い。そんな中、北海道新聞が『若松埠頭に、米海軍の掃海艇などが頻繁に入港してくるのではないか』という、一部の市民からの声もあるという、いたって軽めな記事が目に付いた。私が、記者なら「最大級の米空母で10万トンクラスなので、今後すべての米戦艦の入港が可能になる」と書きたくなる。函館港は国の直轄港湾なので、日米安全保障条約下での米艦隊の入港を、拒否することにはならない。老婆心を働かせれば、函館は軍港化する恐れがあるということだ。だが、新聞はそこまで踏み込んではいない。

こんな小さな記事を見つけた。「国会これが聞きたい」という、北海道選出の議員に聞くコーナーだ。佐藤英道衆議員(比例道ブロック)というが、どこの出身の議員か、私は名前も写真の顔にも見覚えがない。普通は読むことはないが「大型観光客船港湾整備の効果は、観光客多数消費多い」というタイトルだったので読んでみた。そこには今回の国の補正予算「21世紀型インフラ整備」で、北海道は函館だけでなく、小樽、稚内の3港に予算が付いたという。

ここで、私が思い出したのは、親米で改憲派の中曽根元総理の言葉だ。当時、訪米した総理は「日米運命共同体」を強調し「日本列島不沈空母化」や「4海峡封鎖」という、現実的な日米安保強化を主張した。大日本帝国復活かという当時の中曽根総理の勢いだ。

この4海峡封鎖だが「宗谷・津軽・対馬の東・西水道」だという。稚内港は何万トンクラスの船体が入港可能な整備にするかわからないが、もし、12万トンクラスの整備だとすると、宗谷海峡と津軽海峡は、米海軍の港湾内占有使用で、一朝有事には封鎖が可能となる。

米空母一隻の戦闘能力は、中国軍の40%の軍事力に匹敵するというので、単純に考えれば、米空母4隻で中国は殲滅できるということになる。ましてや北朝鮮など、歯牙にもかける必要もないのだ。これで我が北海道の防衛は万全ではないか。本土防衛体制は、中曽根総理以来、脈々と受け継がれているということになる。沖縄ばかりではなく、北海道も米軍基地化で、日本列島が不沈空母化するのというのが、新聞の小さな記事から私が勝手に組み立てて推測してみた、自説だ。

新聞社も、港の観光化が軍港化に利用されることに懸念を抱いているのではないかと思う。新聞がはっきりその意図を書きだした時は、すでに遅しだ。だが、我が国には「神戸方式」という、米軍の入港を拒否した事例があるようだ。そのことにはいずれ触れるが、安全・安心なまちづくりが基本テーマの函館市町会連合会。函館港の大型クルーズ船入港は、はたして、安全・安心なまちづくりに反しないか、じっくり考える必要があるものではないかと思う。

それよりも函館市議会だ。再三「安保関連法」が議会に提出され採決されるが『15対14』で毎回賛成になるという。函館港に大形クルーズ船入港のための埠頭整備。市議会がどのような動きをするのか、それを注目してみたいものだ。

安全・安心なまちづくりには『市民参加』が重要だというのは『函館市自治基本条例』の、最も大切なところだからだ。

 

函館の未来像

2016年10月29日 11時19分39秒 | えいこう語る

 

昨日、工藤函館市長の講演会主催の政治パーティーに参加した。主催者側の発表は950人という。参加者の顔ぶれを見ても、2期目に突入した工藤氏の安定度が伺える。私が所属する市町会連合会の会長たちも、各テーブルに見える。昨日の私のブログで、函館市の未来を予測してみたが、ほとんど同じような内容で、一期目で見せた市長の勢いが復活し舌好調の工藤節が30分に渡り会場内に炸裂した。

市の行財政改革が功を奏しての3年連続の黒字を背に、その業績の饒舌ぶりは、アベノミクスの成果を語る総理より、数段格上に思え「陸(新幹線)海(大型クルーズ船の入港)空(空港の民営化)」の、函館市の今後の振興策を披露した。そればかりではなく、高齢化対策にも力を入れていることを強調し、市内に造成中の日吉町の福祉コミニューテーエリアも、国の認定第1号を受けて補助を確保したという。まさしく万全の体制で、かつては北海道の玄関としての港函館の再生に,まっしぐらに突き進む決意をアピールした。

大型クルーズ船の入港は、長崎港が年間100隻を超えているようなので、今後、年間70隻にしたいとの目標も掲げる。さらに来年は、クルーズ船の所有会社の多い米国を訪問し、自らが誘致活動をしたいと話していた。函館駅に近い若松埠頭に、長さ360メートルの接岸建設と12万トンのクルーズ船が入港できる予算も付いた。これは函館市の長年の要望だったが、国の方が積極的に補正予算を確保してくれた。昨日の私のブログに書いたとおり、最大級の米空母が10万トンクラスなので、国直轄の函館港としては、日米安保条約の下、米艦隊の矢継ぎ早の入港が予測されるに違いない。

市長の笑いありの、新函館活性化大作戦を聞いて、ふと北海道出身の漫才コンビ「タカ&トシ」の顔が浮かんできた。・・・『大型クルーズ船の誘致で、来年には市長自ら米国を訪問するようだね。函館港の観光化が軍港化しかねない要素も含んでいるよね。函館港は今後、観光化と軍港化か。いや、今年のみなと祭に、ミッキーマウスもやってきたので、応米化か」。・・・こんなギャグが私の脳裏に浮かんできた。

付録だが、私のテーブルに、道南のF町長がいた。檜山地域への高規格道路の要望に、函館市長も同行してくれた。今まで会うこともなかった、関係部局の上層部との面談もできたとという。歴代の市長は、どちらかというと我田引水型で、函館市さえ良ければという、道南の各自治体への配慮が疎かだったが、今の市長は違うと言っていた。道南全域を視野に入れた函館市長。今後の活躍は、函館から飛び立つ勢いをおおいに見せつけた昨日の函館の夜だ。簡単だが、昨日の私の感想だ。


原発・観光・軍港

2016年10月28日 12時48分51秒 | えいこう語る

 

「原発・観光・軍港」この3つが、函館市の未来を左右するキーワードだ。原発は津軽海峡の対岸に建設中の大間原発だ。世界初のフルMOX燃料を使用する原子炉、事故が起きると福島第一原発事故の比ではない。原発の目の前の津津軽海峡は国際海峡で、どこの国の船も通過できる。以前から他国の潜水艦が行き来しているといわれているので、大間原発を考えると、安全保障上非常に危険な海域である。

10月上旬に、陸上自衛隊が、津軽海峡での敵艦攻撃を想定した、初のミサイル訓練を実施した。その訓練に対し、こんな危険な海峡でプルトニウムとウランの混合酸化物燃料を使用する大間原発建設は「キチガイじみている」と発したのは、ドゥテルテさんかトランプさんだと思ったら、我が函館市長のクドウさんだ。最近は、歯に衣を着せない率直な発言が、世界中で国民の支持を集めているようだ。

函館市は自治体で初めて、原発訴訟を国に起こし注目されている。国もそろそろ原発再稼働や新設などという、国民を危険にさせる政策は、改めてほしいものだ。さて観光だが、函館は、3月の新幹線開業で、観光が好調だ。それに加え、函館空港も国の後ろ盾もあり民営化の方向に進んでいる。市単独での着陸料の無料化などの計画もあり、空の客の誘致にも熱心だ。一方、函館港は大型クルーズ船の相次ぐ入港で、観光経済が好調だ。

港湾の拡張整備は、以前から国に要望していたが、アベ政権が「21世紀型のインフラ整備」で、大型クルーズ船向けの港湾整備を打ち出した為、国が先日の補正予算で、6億3000万円を付けてくれた。それに、函館駅に近い若松埠頭に、360メートルの係留施設と、12万トンクラスが入港できるための浚渫工事もおこなってくれるという、国自らが函館市の観光振興に、支援してくれるというものだ。市の負担もあることながら、大間原発で迷惑をかけている函館市民に気を使っての、国の配慮なのだろうか。

これで函館観光は「(新幹線)(大型クルーズ船の入港)(民営化による競争力アップ)」最強の体制を整えることになる。今年も、函館市は、魅力ある町「全国一位」になったようだ。この座は今後、他に追従を許さぬ揺るぎのない存在になるに違いない。だがその最強観光を揺るがす存在は、やはり大間原発だ。先日、函館市の経済界を束ねる商工会議所の会頭に、59歳の久保氏が就任した。大間原発については「工藤市長はじめ、町会連合会と足並みをそろえて対応したい」とコメントした。何とも頼もしい新会長だ。以前、町会連合会が音頭を取って大間原発反対の

署名活動をおこなった時、商工会議所は経済界を束ねる立場から、署名を断った経緯があるからだ。

両手を上げての函館観光振興だが、ちょっぴり心配なこともある。12万トンクラスの港湾整備。今年就航した最大級と呼ばれる米空母、ジェラルド・R/フォードで、10万1600トンで、全長が333メートルだ。港湾は国の所管なので、日米軍事同盟下では、米軍からの要望があれば、通常は入港は拒否できない。「日米防衛協力のための指針」いわゆる新ガイドラインでは「米軍による自衛隊施設及び民間空港・港湾の一部仕様を確保する」となっている。

周辺事態の動きがありそうなので、米空母が函館港に入港する。船体の修理は函館どつくだ。食料や不足物の補給は陸上自衛隊がいる。傷病者の対応は、市内に函病はじめ大きな病院がある。空母の戦闘機は空港を使用できる。つまり函館港は「観光化と軍港化」が表裏一体の港湾なのかもしれないという懸念が、最近脳裏から離れない。

今夜函館市内のホテルで、工藤函館市長の講演会主催のパーティがある。市長の本音を聞きたくて毎回参加しているが、近年、行政運営が安定してきたせいか、以前より面白味に欠けている。今晩は、函館観光の「陸・海・空」振興政策に、歯に衣を着せぬ工藤節が炸裂することを期待し、心ときめかして会場に向かうことにしたい。


文化レベル

2016年10月26日 14時14分41秒 | えいこう語る

 

1000人ほどの田舎に住んでいると、ほとんど芸術性に飛んだ催し物などに触れる機会はない。秋の住民文化祭なるものも、いつの間にか3年に一度の開催になってしまった。主催者側の話では、住民からの出品作がなく、来館者も少ないからというのが理由だ。だが、このままでは、文化祭も終了せざるを得なくなるのではないかと危惧する。今年がその3年目で、久しぶりに絵を描く気分になったので、パステル画数枚を持ち込んだら、どうやら一般住民の作品は私だけのようだ。

因みに、前回私が持ち込んだ作品は、福島原発事故の放射能汚染で、生まれた土地から避難を余儀なくされた、南相馬市の主婦が書いた「原発反対」の詩だ。その詩は私の心を震わせたので、人を介して作者の了解をとり「拝啓・東京電力様」という題で、私が書にした。人前で朗読もした作品だが、内容が地域の文化祭に馴染まないというので、取り下げてほしいと言われた。函館市民の多くが大間原発の建設に反対している中、同じ函館市民なのに、この小さな地域では内容がきつすぎて、市民の理解を得られないのではないかという主催者の判断だ。

同じ函館市民でも、地域によって理解力が違うのは認めるが、教養として市民の理解度を高めていくのが、文化祭の持つ意義ではないかと思う。でも、現在進行中の米国大統領選で、私から見ると常識に外れているのではないかと思うトランプ候補が、かなり支持を集めている状況を見れば、常識などというのも、どれほどれほどの価値があるのか、不安になってくる。常識=専門的知識でない一般的知識とともに、理解力、判断力・思慮分別などを含む(広辞苑)。

常識とは、一般的知識の判断で良くて、専門的知識はさほど必要ないということだ。いたずらに、教養や知識がどうのこうのという判断はしなくてもいいということだ。それが一般的ということなのだろう。そういえば、誰かも「智に働けば角が立つ」と言っていたようだ。みんなと同じ程度の考えをしていたほうが、地域の常識に当てはまり、違和感なく暮らしていけるということなのだう。・・・たぶん。

昨日、こんな話を聞いた。北海道初の国宝となった、中空土偶にまつわる常識だ。畑仕事をしていたおばさんが発見したが、あまりにも素晴らしい土偶で、その町は騒然としたらしい。だが、このようなものが発見されると、各機関に届けなければならない。道路や公共事業の建設などには大きな影響が出る。工事が進まなくなるのを懸念した、当時の地元議員の声が、何ともすごい。「漬物石にもならねえのに」と言ったという。中が空洞なので、重量は1キロにみたないからだろう。

だが、その漬物石より軽く見られた土偶、やがて国宝となり、周辺の縄文の遺跡群を含め、ユネスコの世界文化遺産の登録を申請中だ。その話を聞いて、新しく建設された、土偶の住まい縄文交流センターを尋ねた。保存状態を保つため、地下の薄暗い特別室の強化ガラスの中に立っていた。「漬物石にもならないと言われたんだってね」と私が話しかけると、いつも饒舌に答えてくれる土偶は、昨日は無言で、いつもの柔和な微笑みをしているだけだった。

私も「君は常識外だな」と言われることがある。そんな時はいたずらに反論せず、静かに笑っていようと思う。そうすれば、私もやがて国宝に近づくかも知れない。随分昔の話だが、北海道全体の地域活性化に、微力ながら協力したことがある。その時、最高責任者から「君たちは北海道の宝だ」と、褒め殺しをされたことがある。

でも、私たちは地域に住んでいると「この宝物?!」といわれるんですよと、言い返しておいた。あの頃の北海道は「一村一品運動」という、北海道全体が常識をぶち破り、新たな地域社会を創造するという、いたって健全な行政だったような気がする。


黒石市と岩内町

2016年10月24日 11時59分19秒 | えいこう語る

 

地元の祭りの写真コンテストで、最高賞の市長賞に内定したものを、被写体の中学生の少女が、いじめで自殺していたことがわかり、市長が賞を撤回していた。そのことが世間の批判を浴びたのが、青森県黒石市だ。批判に驚いたのか、再度受賞を決めたという混迷ぶりだ。自殺したことが賞の趣旨に馴染まないというより、いじめで自殺に追いやったことを糾弾すべきではないかと思う。地域社会での狭義の常識が表面化した、人間性軽視の出来事だろう。市全体の知的レベルが問われる、事件だ。

だが、似た事件が北海道岩内町で起きた。岩内町は泊原発の隣の町だ。ドキュメンタリ映画「二十歳の無言館」の上映で、主催者が町と教育委員会へ後援を申し込んでいたが「反原発色が強く、政治的主張を行う懸念があり、中立性を損なう恐れがある」として、後援を断ったという。上映会の主催者は、長野県で戦没画学生の遺作を展示する「無言館」の窪島誠一郎氏だ。

同じく後援を依頼された札幌市は「今回の映画は純粋に平和を考える内容である」として、後援を引き受けた。岩内町は、原発の交付金が入っている町だ。町並みの整備状況を見てもその恩恵が実感できる。泊原発の会社、北海道電力を慮っての政治的判断なのだろう。どこに政治的中立がなされているのか、全く得理解できぬ岩内町の判断だ。

岩内町は、昭和29年の洞爺丸台風の日に、大火が起きたことで歴史に名を記す町だ。かつて岩内町に作家の水上勉氏が訪れた時、その大火を小説にしてほしいと頼まれ、そこで上梓され映画にもなったのが「飢餓海峡」だ。戦後、荒廃した日本の闇を暴いた、邦画史上の最高傑作だ。

私も含め「飢餓海峡」で、岩内町を初めて知った方も多いに違いない。そして、岩内町の大恩人でもある作家水上氏の長男が,窪島氏なのだ。個人的な問題もあり、隠れた存在であったが、間違いなく親子である。「無言館」の作品自体反戦の思想が色濃いものだが、反原発につなげようとする考えに、岩内町の政治中立の欠片も見受けられない。自治体学の教授からは「住民の教養を深める支援になるのだから、後援するのは当然だ」との意見も出ている。

黒石市も岩内町も、この件をただの通りすがりの問題としてではなく、人間の尊厳と教養の問題として、住民に考えさせる場を与えてはいかがだろうか。地域社会には、往々にしてこのような問題が生まれる。このような問題を社会教育の場として論議できる環境があれば、地域の人間力は、さらに向上するに違いないと考えるのだが。