▼私は、極度の高所恐怖症だ。テレビで高所作業をしている人や、谷を綱渡りする人などを観ると、チャンネルを変えるか目をそらしてしまう。お尻がムズムズして、心身が不安定になり、吐き気をもよおしそうになるからだ。飛行機に乗れないのでは、と思われるが、目的地にあっという間に到着できる喜びの方が先行し、眼下に見えるまち並みは、地図を広げ、まちを調べているような気がして、以外と平静なのだ。一度、昔の戦闘機のような小型飛行機で、函館上空を飛行したことがあるが、恐怖感は全くなかった。パイロットが相当の熟練者で、もしエンジンが止まっても、私なら下の平野の部分に着陸できますと、頼もしく語ったからだ。私も、グライダーのように風に乗って、無事着陸できるのに違いないと思ったからだ。
▼日銀が、初のマイナス金利政策を発表した。経済に疎すぎる私でも「マイナス政策」というのは、日本経済にとって、緊急異常事態発生と思わざるをえない。日銀は国債の買い入れを増やすなどして、世の中に出回る資金を拡大していたが、思ったほど市井銀行の貸出が伸びず、お金が動かない状態だったという。日銀がマイナス金利にすると、金融機関が貸し出しを促進するという期待感があるからだ。これが行なわれれば、金利低下や円安を促す効果があるという。だがこの政策、日銀内では賛成が5人で、反対が4人だったという。賛成した黒田日銀総裁も、私と同様高所恐怖症のようだ。綱渡り政策発表時には,顔がひきつっていたように感じたからだ。
▼高浜原発3号機が再稼働した。川内原発1・2号機に次ぐ3番目の再稼働だが、高浜3号機は、フルMOX燃料を使用する、プルサーマル原発だ。ウラニウムとプルトニウムを混合する燃料を使用するのだから、心配はさらに増す。30キロ圏内の防災訓練も実施していないという。さらに、使用済み燃料の処分場もないままだ。原子力による電力確保は20%ほどだが、その目標値を達成するための再稼働だ。福島の原発事故もいまだ収拾がつかない。さらに、いまだ決まっていない核廃棄物の処分場も、無理やり国が指定し押し付けるようだ。福島と同様な事故が他であれば、我が国の経済は壊滅すると誰もが思っている。これは「マイナス金利政策」より命の危険のある、綱渡り政策ではないか。
▼プルサーマル原子炉といえば、次の再稼働が気になる泊3号原発だ。3機ある泊原発だが、全て休止しているが、北電の3月の連結決算見通しが『250億円』の黒字に転換するという。それなら3機とも廃止してもいいのではないかと思う。黒字を支えたのは、原油安によるものだというが、原油の値段はあまりにも不安定だ。さらに黒字の原因は、私たち消費者だという。原発が全休したため、赤字だと言われ、無条件で値上げを受け入れたためだからだ。「値上げしなければ電気が止まる」という恐怖感を煽られ、まんまと黒字の片棒を担がせられたことによるものだ。我々市民も、電力の恩恵なしには生きていけぬところがある。そこにつけ込めば、黒字なんてちょろいものと思わせてはならない。こんな綱渡り政策で、毎年会社を維持させていたら、私たちの懐は火の車となる。火の車で電力が確保できればいいが、凍死してしまうのだ。
▼北電と共に変なのが、北海道の漁業生産状況の報告だ。最近漁獲高は激減している。イカやホッケ、スケソウダラ、サンマなどは20~30%減だ。我が村の地名「椴法華」の由来となっているホッケは、前年比40%減だ。小さいのは「ロウソク・ホッケ」回遊せず土地に根付き、脂の乗ったものは「根、ほっけ」などと呼ばれている。もはや「マボロシ・ホッケ」と名がついて、高級魚の仲間入りをしそうな状況になってきた。そのうちホッケ一匹が桐の化粧箱に入り、箱には「南無妙法蓮華経」と書かれ『日蓮・ホッケ』などとネーミングされ、最高級魚になってしまうなんて考えられなくもない。・・・冗談はさておき、1958年の統計以来、15年の漁獲高は最低になった。だが、ここでも逆転現象が起きている。品薄感から高値になったのと、輸出が好調で円安などにより、価格が高騰したため、黒字に転換したという。でもこんな綱渡り決算では、安定感のない漁業になってしまう。サンマも31%減だし、鮭・鱒のロシアでの漁もできなくなってきた。漁業は綱が頼りだが、綱渡り操業は御免被りたい。
▼TPP大将の甘利大臣が辞任し、石原伸晃さんになった。麻生さん。「石原さんは農業分野は不得手だから心配だ」という。我が北海道が最も注目するTPPだ。不得手な人がと心配するのは、農業関係者だが、はるみ知事は一向に動じない。「TPPの推進は道筋ができていて、国内的に影響がない」という。そんな考えであれば「原発再稼働」も「核廃棄物貯蔵所」も、道筋さえできれば受け入れてもいいという考えなのかもしれない。石原さんが無能のほうが、甘利さんが有能に見え、惜しい人を辞任に追いやったと国民は思うのではないか。さらに、野党が執拗に追求し、国会を混乱させたからではないかという、国民感情を引き出し、参議院選挙に有利に流れこむという作戦なのではないだろうか。
🔽その間に、伊勢・志摩サミットを成功させ、与党の安定感を誇示するという手はずだ。サミットでは、TPP論功行賞で、甘利さんも同席し、オバマ大統領から功績をたたえてもらうという、サプライズも考えられる。私はブログを書きながら、夜の夢ばかりではなく、白昼夢の世界に入り込んでしまいそうなこの頃だ。つまり、石原人事は、参議院選挙までの綱渡り人事ということだ。何とか落っこちないでほしいという、アベ総理の注文もあったのではないかと邪推もする。
▼とにもかくにも、アベ総理の狙いは『憲法改正』だ。そこまでは、綱渡りしてまでも、行き着くところまで行き着くという執念を感じる。それに全くついていけないのが今の野党だ。
▼「アベノ・サーカス」。いよいよ参議院選挙に向かって、あの手この手で観客を惹きつけ惑わす、迷演技の連続技が炸裂しそうな勢いだ。