▼物騒な見出しが、北海道新聞一面トップに掲載されている。28日夕刊は【米で香港人権法成立・トランプ大統領署名】だ。29日朝刊は、【中国・重大な内政干渉】と捉え「米国の香港人権法」に報復予告と記載されている。
▼こうなれば「米中戦争」前夜の様相を呈している。米国との軍事同盟を結んでいる我が国は、対中国の戦闘モードの準備は、万端整っているのだろうか。
▼核廃絶を訴えるフランシスコ教皇の対応も上の空で「桜を見る会」の名簿問題で、内閣が混乱しているので、そんな準備をしている暇はないに違いない。だが、対米貿易で中国が報復に出れば、米国の損害は我が国に押し付けられるというのが相場だ。桜でもめてる場合ではない。
▼「内政不干渉」というのが世界の常識だろうが、しかし、人権問題となれば、世界が見守ってやらなければならないだろう。だが、米国だって国内に人権問題を多く抱えている。米国の意図は、中国を「人権無視」の国として、劣等国の印象を強くするということなのだろうか。
▼それとも中国との軍事緊張感を煽り立て、我が国の米軍駐留費を増額させる作戦なのか。田舎オヤジのぼんくら頭では、まったく理解に苦しむ。ただ、米中戦争が勃発すれば、米軍基地化している我が国が、真っ先に攻撃の的になるということは、間違いないだろう。
▼世界レベルの「内政干渉」はさて置き、北海道の「内政干渉」について考えてみたい。苫小牧市が誘致しようとするIR(統合型リゾート)が、環境問題や賭博場が問題となるため、最大会派の自民党にも意見がばらつき、29日北海道新聞朝刊は道議会で【知事IR断念・表明】とある。
▼これってちょっと「早トチリ」のような気がする。4月に新知事になった鈴木(38歳)は道民の圧倒的な支持を受け当選した。その背後には、菅官房長官の絶大なる後ろ盾があった。
▼今後の北海道経済の振興には、観光客誘致がメインだ。これは道民も理解している。そのため、菅は道内7空港の一括民営化を成し遂げたのだ。それはIR法とセットのものだ。空港問題もIR問題も、バックには菅官房長官がいる。
▼IRの誘致がなくなれば、自民党にとって鈴木はお払い箱だ。そこで政府は、来年1月までのIR申請を、2021年1月から7月までに延ばしたのだ。もしこの時期に北海道が申請しなければ、次の申請は2028年以降になるという。
▼マムシのような菅官房長官が引き下がるとは思えない。今日の道議会で、知事は【断念したかのように見せるだけだ】と私は想定している。なぜかといえば、IR誘致をさせるために、五輪マラソンを札幌に持ってきたのだ。それは、【道民の熱狂】をMAXにしてからのIR申請だ。
▼そうなれば鈴木は3期知事の椅子を約束され、その後は間違いなく国会への登場となる。これを鈴木が蹴ることなどありえないからだ。これが私がえがく「妄想」だ。
▼話はそれたが「内政干渉」についてだ。苫小牧市だけの問題としてではなく北海道全体でIRを考えようと、室蘭市民が反対の署名活動を実施し、道庁に提出した。
▼署名の数はわずか【1012名】で、新聞の記事も小さい。誘致推進の苫小牧市長は「内政干渉」だというだろう。だが、この運動は、香港市民の行動にも匹敵する内容を持つ。
▼新聞社も、この行動が持つ民主主義の在り方を、もう少し大きく取り上げてほしいものだ。少数意見を尊重することが民主主義の基本精神だからだ。付和雷同する市民より、物事の良し悪しをはっきり見極める市民の方が、真の市民だと思う。
▼「内政干渉」について考えてみたが、人権を著しく毀損される場合は、外から応援してやるのが、効果的というのも分かる。国家が動き出すと、胡散臭い面が出てくるように思うからだ。
▼国民が自主的に動き出すと「国民主権」というものが、輝かしく思えてくる。そうであれだ市民の「内政干渉」は、民主主義の原点のように思うからだ。
干渉はしたくもないしされたくもなし
本物の「山頭火」の気持ち