昭和39年の東京オリンピック。
日本選手がオランダのヘーシンク選手に抑えられ破れた時、畳の上で手を上げたヘーシンク選手の姿は、いまだに脳裏から消え去らない。
負傷した足を引き摺り、エジプト選手を破った山下選手。天井を見上げ男泣きした姿も忘れない。
フランス選手に審判の誤審ではないかとの判定で敗れた、篠原選手の口惜しさも決して忘れない。
私たちは、柔道は相撲と同様、国技であるとの思いが強い。
「柔よく剛を制す」。体の小さい日本人が、外国の大きな選手を豪快に投げ飛ばす。それだけに他のスポーツより、日本人の心が揺さぶられるスポーツでもある。
昨日全日本柔道選手権がおこなわれ、100キロ超級の五輪代表に、21歳で国士館大生の石井慧選手が選ばれた。
準決勝に残った4強は、井上康生・鈴木桂治・棟田康幸、石井慧の、世界最強のメンバーである。テレビで観戦する方も、思わず力が入り、技が出るたびに「よし!」と声が出てしまう。
決勝は、鈴木対石井の争いになった。
石井は大内狩りで技ありを取って優勢になったが、後半守りに転じた。年齢が若いせいか、勝ちにこだわり過ぎたきらいが見えた。
柔道も技の判定の基準が、微妙に変化を見せている。やはり金メダルを狙うには、切れ味のよい一本勝ちが要求されるだろう。そのことを考えると、石井選手の試合運びは、期待を裏切られた感じがした。この試合で石井選手の柔道は「心・技・体」の、「心」の未熟性が僅かに見えたような気がした。
しかし翌朝の新聞には「代表に決めてもらう柔道ではなかった」と、語ったと言う。
もちろん金メダルをとって欲しい。しかし、私が柔道に期待するのは、強さの中にも礼節を重んじることであり、何よりも「潔さの精神」が柔道の最大の魅力だからである。
大相撲の朝青龍の強さは、間違いなく金メダルであるが、私があの横綱に距離感を感じるのは、相手に対する「思いやり」が欠けているからである。
柔道も相撲も国際化の波の中で漂っているようだ。
隣国のオリンピックには、日本の選手の「潔さ」に、世界中から拍手が湧き起こるような戦いをして欲しいものである。
私は個人的には棟田選手が大好きである。勝っても負けても四方に向かい、きちんとお辞儀をする。真の武道家の精神を、そこに見ることが出来るからだ。
日本選手がオランダのヘーシンク選手に抑えられ破れた時、畳の上で手を上げたヘーシンク選手の姿は、いまだに脳裏から消え去らない。
負傷した足を引き摺り、エジプト選手を破った山下選手。天井を見上げ男泣きした姿も忘れない。
フランス選手に審判の誤審ではないかとの判定で敗れた、篠原選手の口惜しさも決して忘れない。
私たちは、柔道は相撲と同様、国技であるとの思いが強い。
「柔よく剛を制す」。体の小さい日本人が、外国の大きな選手を豪快に投げ飛ばす。それだけに他のスポーツより、日本人の心が揺さぶられるスポーツでもある。
昨日全日本柔道選手権がおこなわれ、100キロ超級の五輪代表に、21歳で国士館大生の石井慧選手が選ばれた。
準決勝に残った4強は、井上康生・鈴木桂治・棟田康幸、石井慧の、世界最強のメンバーである。テレビで観戦する方も、思わず力が入り、技が出るたびに「よし!」と声が出てしまう。
決勝は、鈴木対石井の争いになった。
石井は大内狩りで技ありを取って優勢になったが、後半守りに転じた。年齢が若いせいか、勝ちにこだわり過ぎたきらいが見えた。
柔道も技の判定の基準が、微妙に変化を見せている。やはり金メダルを狙うには、切れ味のよい一本勝ちが要求されるだろう。そのことを考えると、石井選手の試合運びは、期待を裏切られた感じがした。この試合で石井選手の柔道は「心・技・体」の、「心」の未熟性が僅かに見えたような気がした。
しかし翌朝の新聞には「代表に決めてもらう柔道ではなかった」と、語ったと言う。
もちろん金メダルをとって欲しい。しかし、私が柔道に期待するのは、強さの中にも礼節を重んじることであり、何よりも「潔さの精神」が柔道の最大の魅力だからである。
大相撲の朝青龍の強さは、間違いなく金メダルであるが、私があの横綱に距離感を感じるのは、相手に対する「思いやり」が欠けているからである。
柔道も相撲も国際化の波の中で漂っているようだ。
隣国のオリンピックには、日本の選手の「潔さ」に、世界中から拍手が湧き起こるような戦いをして欲しいものである。
私は個人的には棟田選手が大好きである。勝っても負けても四方に向かい、きちんとお辞儀をする。真の武道家の精神を、そこに見ることが出来るからだ。