▼千歳市に巨大な次世代半導体工場「ラピダス」の建設が始まって、経済や雇用の活性化が期待され、北海道全体が浮足立っている様な気がする。
▼先日「千歳市町会連合会」を尋ねたが、市民はラピダスの進出について、よく理解していないという感じを受けた。
▼千歳市は新千歳空港を持つ10万人ほどのまちだ。札幌市から40キロの地点で、苫小牧市に隣接している。空港近くには広大な土地が広がっている。
▼ラピダスには世界中から、関係会社の進出が目立っている。国家肝入りのビック・プロジェクトに見える。
▼それが北海道の発展、しいては我が国発展につながるのは、報道から推察する限り期待はできそうだ。
▼進出だけをとらえれば、ロシアのウクライナ侵攻を思い出す。ある日突然千歳市に‟侵攻”?してきたという感じだ。
▼ロシアはウクライナへの、原発やダムなどのインフラへの攻撃が目立つ。もし我が国にどこかの国が侵攻してきたら、半導体工場は最も標的にされる可能性がある。
▼しかし新千歳空港は国交相が設置・管理する国家管理空港だ。航空自衛隊も隣に併設され、共有空港となっている。管制塔は自衛隊が管理している。
▼千歳空港は1997年の「日米新ガイドライン」で、我が国周辺有事には米軍が使用を要請する空港だ。
▼そんな防衛上に最も堅固な地域性も、考慮した上での千歳市進出だったのだろう。隣の苫小牧市も、ラピダスの進出により、データーの集積会社が進出するようだ。
▼先日苫小牧港も防衛上の拠点として、整備予算が来年から付くと報道された。苫小牧港も1997年の「日米新ガイドライン」では、有事の際に米軍が使用を要請する港に、指定されている。
▼ラピダスの世界各国の会社の進出があれば、新千歳空港にも多くの外国人が押し寄せる。苫小牧は北海道で近年、IR(カジノ中心のリゾート)の候補地に名乗りを上げようとしたが、市民の反対も多く断念していた。
▼だがラピダス進出で好機再来とみたか、道議会自民党の議員たちが「IR」の勉強会を立ち上げるという。
▼このバックには「IR」促進派の萩生田光一政調会長や道内選出の国会議員もいるという。
大阪万博開催後に「カジノ・リゾート計画」を立てている大阪と似たような感じだ。
▼半導体は武器製造の必需品だ。まして【憲法改正】後に、「戦争放棄」を放棄してしまえば、ラピダスの役割は最重要となる。
▼そんなことまで勝手に妄想してしまえば、北海道の未来もしぼんでしまう気もする。だが我が国が、中国や北朝鮮そしてロシアとの外交がうまくいかない現状を見れば、なんだかこのプロジェクトも心配が多くなる。
▼東京五輪・札幌冬季五輪・大阪万博・ラピダス。これらの国家が関わり、国民が十分理解できないままに突き進むプロジェクトは、なんだか不透明さに溢れている。
▼そしてその陰でうごめく‟陰謀?”は、ほとんど解明されないままだ。ラピダスの千歳市への侵攻が、アイヌ民族が国家の植民地政策に翻弄されたように、北海道が国家管理下に置かれる大地であってはならない。
▼「ラピダス」とは‟2022年8月”、日本の大企業8社が出資する、日本半導体メーカーの会社の名前だ。
▼ちなみに「ラピダス」とはラテン語では「速い」「急ぎの」「猛烈な」という意味があるという。
▼北海道はアイヌ語で「アイヌ・モシリ」という。その意味は「人間が住む静かな大地」だという。
▼以前北海道の自動車事故防止標語に「ゆっくり走ろう北海道」というのがあった。広大な大地「アイヌ・モシリ」。立ち止まって考える必要性を感じる。