▼十勝管内鹿追町の陸上自衛隊然別演習場で、空砲で行う訓練にもかかわらず、実弾を使った訓練が行なわれ自衛隊員2名が負傷した。新聞報道は管理が杜撰とか、信じられない出来事で、陸自や防衛省は誠実に疑問に答える必要があるとしている。だが、安保関連法が成立し、海外での集団的自衛権行使を容認した時点で、実戦即応の訓練は当たり前ではないだろうか。すでに南スーダンに向け、北海道の部隊が、先日派兵されたばかりである。空砲訓練など、もはや、なんの意味も持たないというのが、隊員の常識ではないだろうか。法律が改正された時点で、自衛隊は、すでに国防軍として、精神と血液を入れ替えてしまったのではないかと思うからだ。
▼鹿追町の然別に行ったことがある。深い山の中である。一般人が近づけない訓練場で、空砲訓練など常識外の行為だ。実弾での熟練した技能を身につけなければ、戦場など行けるものではない。米軍だって、初めて戦闘に参加すると、身体が硬直し、迅速な活動が出来ないと聞いたことがある。今後の訓練は、全て実弾で実戦即応の訓練が行なわれるのが、隊員の命を守る正当な訓練であると考えたほうがいいだろう。
▼今回の出来事は自衛隊の不祥事ではない。安保関連法が施行されたので、正当な訓練だということを、国民が納得しなければならない事実なのだ。陸自や防衛省が、今回の訓練は誠に管理が行き届かない不祥事だと発表したとしたら、単なる茶番に過ぎない。「安保関連法がある国家にあって、実弾訓練は隊員の命を保護するのに、必要欠くべからざる訓練である」という、誠実な談話を期待している。そうでなければ国家・国民のために、命がけで活動しようとしている隊員に、失礼ではないかと思うからだ。
▼明日から行なわれる、伊勢・志摩サミット。テロの攻撃は警察の武器では対応できないだろう。自衛隊はどのような体制をとっているのか報道からは伝わってこない
。外国でのサミットは、軍隊が警護する。日本だって、完全武装した自衛隊が守ってこそ、各国首脳は安心するのではないかと思う。もし、クレー射撃が得意な麻生さんが総理なら、このサミットの警戒は自衛隊に任せたに違いない。アベ総理が衆参同時選挙は考えていないと発言しているが、麻生さんはやるべきだと強気発言をしているという。
▼安保関連法施行、消費増税の見送り、五輪の相次ぐ不祥事、それに東京都知事の税金の私物化、アベ総理への風当たりは強くなっている。だが、それらをすべて払拭するのが、オバマ米大統領の広島訪問だ。歴史的成果と、報道は一斉に称えるだろう。米大統領は専用ヘリで広島に到着する。はためく星条旗と日の丸の旗の波の中、ヘリから先に降りるのはエスコート役のアベ総理だ。その後に米国オバマ大統領が続く。今ブログを書きながら、私はすでに夢の中にいるような気分だ。
▼ハリウッド映画のような、広島での撮影シーンは続く。大統領の演説はノーベル平和賞授賞者としてふさわしい内容だろう。その横には、充実感に満ち溢れた笑顔のアベ総理がいる。1945年8月、様々な意見があったが、それらを押し切ってトルーマン大統領は歴史的決断をしたことを、アベ総理は思い出すに違いない。『衆参同時選挙のスイッチ』は、その時アベ総理の心の中で押されるに違いない。
▼小雨が降る我家の庭は、新緑のキャンバスの中に、つつじが真っ紅に咲き誇っている。半世紀以上も見慣れた平和で幸せな光景だ。だが、71年前、我が家の周辺は米軍の爆撃を受けている。すぐ近くの小学校は消失した。今回の実弾訓練、戦争の匂いが周辺に漂ってきたとこを実感する、鳥肌の立つ思いがする事件である。