▼ 野球は特別好きというわけではないが、北海道に住んでいれば日本ハムの動向が気になる。野球界でいえば「心・技・体」を兼ね備えたといえば、稲葉選手だろう。「心・技・体」には、おのずと美しさがそなわるし、正しさもそなわるのだ。美しさと正しさがグランドに花開く野球選手が稲葉篤紀だ。門外漢の私の感想もこのようだから、稲葉フアンの心中ははかりしれないものがあるのだろう。
▼ 稲葉ジャンプが始まっても、稲葉選手は自分が花形スターではなく、チームやフアンのためにあるという姿勢が、フアンを魅了するのだ。自分が打つ、さらに次の選手にも打って欲しいという、後輩のモチベーションを高める、名脇役に徹している姿に「美しさと正しさ」を見るのだ。男らしさといえば高倉健さんだが、稲葉選手も男らしさといえば、健さんにひけをとらないと私は評価している。共に謙虚さがあるからだ。男らしさとは“謙虚さ”がなければならないからだ。
▼ だが、このところの日本ハムの選手の配列はいただけない。名手糸井・鶴岡・大引そして小谷野が自らチームを離れた。野球は主役だけを育ててはならないのだ。チームが一丸となり勝利を目指す所にフアンは感動するのだ。映画やテレビドラマだって、主役を盛り上げる名脇役がいなければ、味気ない内容になる。名脇役がたくさん出て主役を引き立てるのだ。
▼ 黒沢監督の映画「七人の侍」を思い出してほしい。名脇役たちが主役の映画だ。そこに世界中の監督たちが絶賛するのだ。日本ハム栗山監督にお願いしたい。大谷投手や中田選手の主役ばかりが活躍するドラマは、あまり心を動かせないのだ。稲葉選手のような選手がグランドに9人並ぶ、そんな燻銀のようなチームを期待しているのだ。
▼ 最近、フアン離れが始まっているという噂も聞こえてくる。監督が主役のドラマも期待しない。早く稲葉監督と代わることが、北海道の野球フアンの望むところだと思うが。
▼ まったく意味不明な要望だが、アベ総理とクリヤマ監督の退陣を要求したい。