鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

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お気に入りその2053~たくさんのふしぎ4

2022-03-07 12:15:53 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、たくさんのふしぎ4です。
「たくさんのふしぎ」シリーズから3冊の感想を書きます。

①大草原のノネコ母さん
出版社の内容紹介を引用します。
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ノラネコの研究者伊澤さんがオーストラリアへ。
誰一人いない大草原で狩りをして生きているネコたちに会ってきました。
実はこのネコたちの先祖は、ヨーロッパからつれてこられた町のネコ!
すむ場所にあわせて、しなやかに暮らしを変えていくネコたちの姿が見えてきます。
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若い頃に読んだ星新一作品にネコが登場するものがありました。
地球を訪れた宇宙人が密かに地球上の生物を観察し、こう報告しました。
「地球の主はネコであり、その奴隷としてヒトがいる」
飼い猫は確かにそうでしょう。
でもノラネコは自分の力でたくましく生きています。
本書は野生に戻って生きるノネコ(ノラネコ)たちを観察した記録です。
舞台はオーストラリア。
元々哺乳類は有袋類と単孔類しかいなかったこの地にネコやウサギ、キツネ、ヤギなどが持ち込まれ、生態系が壊れました。
動物行動学者である著者によると、持ち込まれた動物を根絶させることは、絶滅しかかっている動物を救うのと同じくらい難しいのだそうです。
ウサギたちは地中トンネルで複雑につながった巣を作って暮らしています。
ノネコは巣の入り口で子ウサギが出てくるのを待ち構え、狩ります。
そしてノネコ一家もウサギの巣に間借りして暮らしています。
何とも不思議な関係です。
筆者は6家族のノネコたちの赤ちゃん誕生から巣立ちまでを観察しました。
6匹の母ネコはそれぞれ5匹前後の子を育て、亡くなった子はわずか3匹で、ほとんどの子を独り立ちさせることができました。
天敵や事故、病気などを考えると驚くべき数字です。
母ネコの昼夜を問わない苦労が報われ、こちらまでうれしくなりました。
ただし最後に、独り立ち後の暮らしの厳しさが書いており気になりました。
乾季となり、昆虫やトカゲくらいしかエサがなくなるそうです。
中には餓えから街に戻るネコもいるそうです。
子らの無事を願いつつ読み終えました。
本書についてもうひとつ。
絵を担当した平出衛さんの描いたネコが実に見事でした。
ネコのしなやかで自然な動きが丁寧に表現されています。
そうそうネコってこういう仕草をするよね、というネコあるあるがたっぷり登場します。
ネコ好きの方におすすめです。

②熱はつたわる
出版社の内容紹介を引用します。
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ストーブをつけるとなぜ暖かくなるの? 
お湯は温かく、水は冷たい、そのわけは? 
熱さ、冷たさに果てはあるの? 
電子レンジと炭火はどうちがうの?
子どもに聞かれて窮するような疑問の数々に、この本では根本から答えます。
著者は最先端の科学知識を「わかるように」伝えてくれる第一人者。
画家も物理学を専攻したサイエンス・イラストレーター。
寒い冬が来る前に「熱い旅」をどうぞ。
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学生時代にあまり熱心に勉強しなかった熱力学がテーマ。
熱量保存の法則、熱平衡・・・。
小学生に戻って基礎から勉強し直すつもりで読みました。
本書で興味深かったのは、蒸気機関を発明したワットが、やかんのふたが蒸気で持ち上がるのを見て蒸気機関のヒントを得たというエピソードです。
ニュートンがリンゴが落ちるのを見て万有引力の法則のヒントを得たエピソードに似ています。
偉大な理論や技術も最初はこういう身近なヒントから始まったのですね。
ワットが蒸気機関で最初に成し遂げたのは、炭鉱の坑道が湧き出す水により水没するのを防ぐためのポンプの製作でした。
豊富にある石炭と水をうまく活用した見事な発明です。
やがて蒸気機関は応用され、石炭を運ぶ蒸気機関車になりました。
続いて鉄鉱石も効率よく運ばれることとなり、産業は飛躍的に進歩していきました。
「産業革命」というのはこういう風に始まったのですね。
本書は当初考えていた熱力学ではなく、産業革命の物語としてとても興味深く読みました。

③こんにちは、ビーバー
出版社の内容紹介を引用します。
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アラスカの大自然に生きるビーバーに魅せられた動物写真家が、時間をかけ真正面から、その生態を生き生きと記録しました。
動物園でみるビーバーはせっせと巣穴を修復するだけですが、アラスカの野生のビーバーは違います。
山を登り、木を倒し、枝をかじって巣穴に運んでくる、力強いビーバーの姿をみてください。
天敵のカワウソには太い尻尾を水面に打ち付けて威嚇し、勇ましく闘うこともあります。
ビーバーの作る巣穴は、自然のダムになり、他の動物たちの住みやすい環境をつくることにもつながっています。
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たくさんのふしぎシリーズにはたくさんの観察記があります。
どれも客観的な事実だけでなく、著者の印象に残る体験が添えられており、読者は筆者に導かれて疑似体験ができます。
本書もその一冊。
本書のおかげで本物のビーバーを知ることができました。
・ビーバーは木の葉や皮、小枝などを食べる
・冬期間の食糧とするために巣に木の葉などを大量に備蓄する
・外敵から身を守るために巣の出入口は水中に作る
・出入口が常に水中になるよう川を堰き止めてダムを作る
・巣は何代にも渡り使用される
・平たくて硬い尾は泳ぐときに舵の役割をする
・毛皮が撥水性と保温性に優れているため乱獲され、ヨーロッパではほぼ絶滅し、アラスカでも希少種となり保護されている
いろいろ書きましたが、本書で一番印象的だったのは現地でビーバーが人気がないということ。
ビーバー好きの著者がその生態を詳しく説明することでようやく好きになってくれたそう。
愛嬌がある顔をしていると思うのですが、そう見えないのでしょうか。


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