今回のお気に入りは、すごい標本です。
北海道新聞が紹介していた「北大総合博物館のすごい標本」を読みました。
AMAZONの内容紹介を引用します。
=====
開館20周年を迎えた北大総合博物館の収蔵標本と研究のあらましを伝えるビジュアルブック。
300万点に上る収蔵標本のうち特に重要なものを、植物、昆虫、古生物など10の分野別に各10点、合計100点取り上げ、精細な写真と解説で紹介する。
宮部金吾(植物)、松村松年(昆虫)など歴代研究者の横顔、標本作成や保存に欠かせない道具、建物の見どころや学生・ボランティアの活動なども収める。関連年表付き。
北海道大学総合博物館……
1876年(明治9年)に開校した前身・札幌農学校以来、北海道大学が収集してきた標本を収蔵・展示する総合博物館。設置は1999年。
陸上植物から考古学まで幅広い分野からなる標本群は約300万点に上り、ある生物を定義する際の拠り所となる「タイプ標本」約1万3千点を含む。
築90年余を誇る旧理学部本館で研究・教育を行うとともに、約50人の資料部研究員、約250人のボランティアが、企画展示、市民セミナーなどの活動を支えている。
=====
「研究のあらましを伝える」って、もしかしたら退屈で面白くないかもしれない、と心配しつつ読み始めました。
その予想は当たっていました。
多くの分野は地味で退屈な話でした。
でも時々ほお!という話があり、さらにわずかにとても面白い話がありました。
ということで心に残った話をご紹介します。
・植物学者・宮部金吾は新種の植物の名前に苦楽を共にし、若くして亡くなった後輩研究者・工藤祐舜の名からユウシュンランと名付けたそうです。
お気に入りの「北海道主要樹木図譜」という日本を代表する美しい図譜を制作した名コンビにそういう逸話があったのですね。
・健康食品で有名なユウグレナとはどうやらミドリムシらしい、というアバウトな知識しかありませんでしたが、面白い進化をしていることを知りました。
ユウグレナのグループには光合成するものとしないものがいるそうです。
もともと光合成をするバクテリアを飲み込んで光合成をして栄養を得ていましたが、一部に光合成を止めてエサを捕食するものが現れ、さらにその一部に再度光合成で栄養を得るものが現れた、という面白い進化をしているそうです。
植物なのにミドリムシだし・・・まったくもって不可思議な生き物です。
・エンマコガネの解説には「アリの巣の生きもの図鑑」で「お気に入り」の仲間入りをした丸山宗利さんの名前が登場しました。
生き物の死体やフンを食べているウジをムシャムシャ食べる姿から閻魔様の名をとって名付けられたそう。
アリの巣に入り込んでアリやアリの幼虫を食べる種類もいるそうですがなかなか見つからず希少標本でしたが、丸山さんが北大の院生のときに札幌市の円山でたくさん捕まえてきたそう。
この欄の筆者はあまりに想定外だったようで「灯台下暗し」だったと書いているのが印象的でした。
・古生物のコーナーの筆者は小林快次さん。
その名前を見ただけで、期待が膨らみました。
以前「ザ・パーフェクト」という本で読んだ「むかわ竜」の完全化石の発見話はとても面白かったです。
(むかわ竜はカムイサウルス・ジャポニスクと名付けられました)
その小林さんによる読者を意識した面白い解説でした。
ニッポノサウルス
旧樺太で発見された完全体の恐竜化石。
カモのような口で頭にトサカがあるハドロサウルスの仲間。
最近の研究でヨーロッパに近縁種をもつ恐竜の幼体であることが判ったそうです。
発掘からかなり年数が経っていますが継続して研究されているのですね。
この化石は博物館の目玉なので、研究がさらに進むことを期待しています。
デスモスチルス
カバのような体つきですが近年の研究では、水中に完全対応していたそうです。
その短すぎる解説に「もう少し詳しく説明してー!」と声が出そうになりました。
「水中に完全対応」ってことはクジラやイルカ並みってこと?
それともアザラシやトドくらいってことかな?
でも体形が流線形とは程遠いので、どんな風に泳いでいたのか想像がつきません。
今度博物館に行ったら真っ先に質問してみようと思います。
もうひとつ近年の研究によると、海苔巻きを束ねたような歯は、水草をかむために
使っていたのではなく、強い吸引力で水草を吸い取るときに食いしばるために使って
いたそうです。
進化樹のどの系統に属するかが謎の生物らしいですが、上記ふたつの説から考えると
体形と食べ方がジュゴンとかマナティに似ているのでその先祖に違いない、と
思いました。(素人なので勝手な決めつけをお許しください)
この化石も今後研究が進むことを期待しています。
アンモナイト
異常巻アンモナイト化石は、ニッポニテス(日本の石)と名付けられており、
日本古生物学会のシンボルマークになっているそう。
またアンモナイト化石が寄せ集まった化石の解説に、軽石などと一緒に石化している
ことから、アンモナイトの殻は軽いため軽石などと一緒に打ち寄せられて石化したと
考えられているそう。
これまでサザエのように重くてがっちりした殻を想像していましたが、オウムガイの
殻が軽いことを今、思い出しました。
その他、岩石・鉱物コーナーには札幌の旧・豊羽鉱山にスマホに必要な希少金属が眠っているとか、考古学コーナーにはオホーツク人はアイヌ人のイオマンテ(熊送りの儀式)によく似た儀式を行っていたなどという話題があり、多少興味を持って読みました。
北大総合博物館を見学したのはいつ頃だったでしょうか?
ブログを検索すると、すぐに2006年と判りました。
検索機能って便利なものです。
14年も前に行ったきりだったのですね。
開館から7年目と21年目では、展示の様子も大きく変わっていることでしょう。
コロナの影響で閉館している博物館が多い中、通常通り公開を続けているそうです。
今年は自転車で行こうと妻と話しています。
北海道新聞が紹介していた「北大総合博物館のすごい標本」を読みました。
AMAZONの内容紹介を引用します。
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開館20周年を迎えた北大総合博物館の収蔵標本と研究のあらましを伝えるビジュアルブック。
300万点に上る収蔵標本のうち特に重要なものを、植物、昆虫、古生物など10の分野別に各10点、合計100点取り上げ、精細な写真と解説で紹介する。
宮部金吾(植物)、松村松年(昆虫)など歴代研究者の横顔、標本作成や保存に欠かせない道具、建物の見どころや学生・ボランティアの活動なども収める。関連年表付き。
北海道大学総合博物館……
1876年(明治9年)に開校した前身・札幌農学校以来、北海道大学が収集してきた標本を収蔵・展示する総合博物館。設置は1999年。
陸上植物から考古学まで幅広い分野からなる標本群は約300万点に上り、ある生物を定義する際の拠り所となる「タイプ標本」約1万3千点を含む。
築90年余を誇る旧理学部本館で研究・教育を行うとともに、約50人の資料部研究員、約250人のボランティアが、企画展示、市民セミナーなどの活動を支えている。
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「研究のあらましを伝える」って、もしかしたら退屈で面白くないかもしれない、と心配しつつ読み始めました。
その予想は当たっていました。
多くの分野は地味で退屈な話でした。
でも時々ほお!という話があり、さらにわずかにとても面白い話がありました。
ということで心に残った話をご紹介します。
・植物学者・宮部金吾は新種の植物の名前に苦楽を共にし、若くして亡くなった後輩研究者・工藤祐舜の名からユウシュンランと名付けたそうです。
お気に入りの「北海道主要樹木図譜」という日本を代表する美しい図譜を制作した名コンビにそういう逸話があったのですね。
・健康食品で有名なユウグレナとはどうやらミドリムシらしい、というアバウトな知識しかありませんでしたが、面白い進化をしていることを知りました。
ユウグレナのグループには光合成するものとしないものがいるそうです。
もともと光合成をするバクテリアを飲み込んで光合成をして栄養を得ていましたが、一部に光合成を止めてエサを捕食するものが現れ、さらにその一部に再度光合成で栄養を得るものが現れた、という面白い進化をしているそうです。
植物なのにミドリムシだし・・・まったくもって不可思議な生き物です。
・エンマコガネの解説には「アリの巣の生きもの図鑑」で「お気に入り」の仲間入りをした丸山宗利さんの名前が登場しました。
生き物の死体やフンを食べているウジをムシャムシャ食べる姿から閻魔様の名をとって名付けられたそう。
アリの巣に入り込んでアリやアリの幼虫を食べる種類もいるそうですがなかなか見つからず希少標本でしたが、丸山さんが北大の院生のときに札幌市の円山でたくさん捕まえてきたそう。
この欄の筆者はあまりに想定外だったようで「灯台下暗し」だったと書いているのが印象的でした。
・古生物のコーナーの筆者は小林快次さん。
その名前を見ただけで、期待が膨らみました。
以前「ザ・パーフェクト」という本で読んだ「むかわ竜」の完全化石の発見話はとても面白かったです。
(むかわ竜はカムイサウルス・ジャポニスクと名付けられました)
その小林さんによる読者を意識した面白い解説でした。
ニッポノサウルス
旧樺太で発見された完全体の恐竜化石。
カモのような口で頭にトサカがあるハドロサウルスの仲間。
最近の研究でヨーロッパに近縁種をもつ恐竜の幼体であることが判ったそうです。
発掘からかなり年数が経っていますが継続して研究されているのですね。
この化石は博物館の目玉なので、研究がさらに進むことを期待しています。
デスモスチルス
カバのような体つきですが近年の研究では、水中に完全対応していたそうです。
その短すぎる解説に「もう少し詳しく説明してー!」と声が出そうになりました。
「水中に完全対応」ってことはクジラやイルカ並みってこと?
それともアザラシやトドくらいってことかな?
でも体形が流線形とは程遠いので、どんな風に泳いでいたのか想像がつきません。
今度博物館に行ったら真っ先に質問してみようと思います。
もうひとつ近年の研究によると、海苔巻きを束ねたような歯は、水草をかむために
使っていたのではなく、強い吸引力で水草を吸い取るときに食いしばるために使って
いたそうです。
進化樹のどの系統に属するかが謎の生物らしいですが、上記ふたつの説から考えると
体形と食べ方がジュゴンとかマナティに似ているのでその先祖に違いない、と
思いました。(素人なので勝手な決めつけをお許しください)
この化石も今後研究が進むことを期待しています。
アンモナイト
異常巻アンモナイト化石は、ニッポニテス(日本の石)と名付けられており、
日本古生物学会のシンボルマークになっているそう。
またアンモナイト化石が寄せ集まった化石の解説に、軽石などと一緒に石化している
ことから、アンモナイトの殻は軽いため軽石などと一緒に打ち寄せられて石化したと
考えられているそう。
これまでサザエのように重くてがっちりした殻を想像していましたが、オウムガイの
殻が軽いことを今、思い出しました。
その他、岩石・鉱物コーナーには札幌の旧・豊羽鉱山にスマホに必要な希少金属が眠っているとか、考古学コーナーにはオホーツク人はアイヌ人のイオマンテ(熊送りの儀式)によく似た儀式を行っていたなどという話題があり、多少興味を持って読みました。
北大総合博物館を見学したのはいつ頃だったでしょうか?
ブログを検索すると、すぐに2006年と判りました。
検索機能って便利なものです。
14年も前に行ったきりだったのですね。
開館から7年目と21年目では、展示の様子も大きく変わっていることでしょう。
コロナの影響で閉館している博物館が多い中、通常通り公開を続けているそうです。
今年は自転車で行こうと妻と話しています。
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