鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

60代前半のオヤジがお気に入りを書いています。

お気に入りその1950~絵本3冊

2020-11-02 12:15:27 | 鬼平
今回のお気に入りは、絵本3冊です。
先週「たくさんのふしぎ」シリーズ以外の絵本から2冊ご紹介しましたが今回も3冊ご紹介します。
①うつくしい絵(かこさとし)
 かこさとしさんがどんな美術評論をしているのかを知りたくて選びました。
 かこさんなら美術評論家の高尚すぎる解説とは違う、名画の本質について書いてくれるはず。
 分かったようで分からない解説より心に伝わるシンプルな解説を期待しました。
 登場するのはダビンチ、ゴッホ、北斎、レーピン、ピカソ。
 うつくしい絵には画家のうつくしい心が現れていることをていねいに説明しています。
 北斎の北斎漫画は庶民の飾らない暮らしにやさしく焦点を当てています。
 ピカソの「ゲルニカ」は戦争に苦しめられる人々や動物たちに焦点を当てています。
 レーピンの「おもいがけなく」は政府に拘留されていた男が解放され家に戻った瞬間の
 家族の表情に焦点を当てています。
 画家は絵のモデルになった人や動物の心を伝えることに焦点を当てて絵を描きます。
 画家が絵を通して何を伝えたかったのか、その声を聴くことが大切なのだと学びました。

②木の本(萩原信介)
 気に入ったページを開いて飾りたくなる素敵な絵本という紹介が気に入り、購入しました。
 届いた本を開くと確かに美しく描かれた木々や花々が全ページにたっぷり描かれています。
 絵を担当したのは東京芸大出身の画家だそう。
 でも芸術作品というよりもボタニカルアートと言った方が良いほど正確に描かれていました。
 そして思わぬオマケとして、たくさんの種類の葉っぱが挟まっていました。
 前の持ち主が本書で紹介している木々の葉を集めたようです。
 何枚もの葉を絵と比べて同定を試みましたが想像以上に難しくて、これかな?というのは
 わずか2枚という惨憺たる結果でした。
 葉には1枚1枚個性があるため、微妙な違いをどこまで容認するかを迷ってしまい自信が
 なかったのです。
 専門家なら一目で種を同定したでしょうね。
 巻末の解説部には葉の同定の難しさが追加されていました。
 枝の根本側から先にかけて葉の形が変わる場合もあるのだそうです。
 これではお手上げ。
 葉をそっと本に挟み、本棚に戻しました。
 ちなみに近所の街路樹の名前を本書で知ることができました。
 長丸の葉状の翼の中央に数個の種をぶら下げて遠くに飛ばす特徴からボダイジュだと
 特定できました。
 確かお釈迦様がその下で悟りを開いたと伝えられる木もボダイジュだったはず。
 調べるとあちらはインドボダイジュという別種なのだそうです。

③稲と日本人(甲斐信枝)
 甲斐さんの「雑草のくらし」「ひがんばな」は名作です。
 彼女は「稲と日本人」という歴史的、文化的に大きなテーマを10年もかけて書きました。
 本書では稲と日本人が2000年以上に渡り関わってきており、切っても切れない関係だと
 学びました。
 ・中国では元々野生稲が自生しており、6000年ほど前には栽培していた。
 ・日本で水田による大量栽培が始まったのは2千数百年前。
  それまでは地植えで細々と栽培していた。
 ・田んぼを作るために山や森を切り開いてきた。
 ・田んぼに水を引くために争いが起きたり、寒さで稲が枯れ多くの人が飢え死にした。
 ・寒さに強い稲がない頃は、新潟の米は「鳥またぎ」と呼ばれていた。
  (不味くて鳥も食わない)
 
 飲んべの自分にうれしい記述もありました。
 阿部亀治という山形のお百姓さんが寒さに強い「亀の尾」という稲を開発したという
 記述です。
 「亀の尾」の子孫が「コシヒカリ」「ヒトメボレ」というのも大切な情報ですが、
 「亀の尾」はマンガ「夏子の酒」で幻の酒造好適米として登場しました。
 久須美酒造 清泉 純米大吟醸「亀の翁」。
 奮発しただけあって美味しいお酒でした。


コメント
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