元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「平成無責任一家 東京デラックス」

2007-08-05 08:08:06 | 映画の感想(は行)
 95年作品。“ダマされるよりダマせ”が家訓の飴屋一家。母(絵沢萌子)は結婚&離婚を繰り返し、父親の違う4人の息子と、年下の愛人(岸部一徳)と暮らしている。市長選トトカルチョで大損した一家は、大勝負を夢見て上京。次男(岸谷五朗)の昔の恋人の家に居候すると、一家にダマされて彼らを追ってきたおっさん(麿赤児)達を仲間に加え、あの手この手の詐欺作戦を決行するが、なかなかうまくいかない。色恋に走る者も出たりしてチームワークは乱れ放題。果たして一家の運命は。

 感想なんだけど、全然面白くない(-_-;)。監督は「月はどっちに出ている」(93年)で各賞総ナメにした崔洋一だが、考えてみるとこの監督、けっこうな本数を撮っているが本当に面白いのは二作目の「十階のモスキート」(83年)ほか数本。「月は・・・」もそこそこ楽しめたが、あとは凡作駄作の山だ。

 具体的にどこがダメかというと、第一に話が不自然すぎることだ。“コメディに自然も不自然もあるか”と言われそうだが、フィクションなりのリアリティがなければ笑えるものも笑えないのである。この一家、詐欺で生計を立てているにしては手口が実に幼稚である。話にならないプロットである。頭脳ゲームを主体にした映画ではないが、少しは観客を納得させてほしい。

 第二に、喜劇のツボを外していること。笑いの中心が見えてこないことだ。「月はどっちに出ている」では主演の岸谷が等身大のキャラクターとなって、周囲のおかしな人物たちを引き立てていたが、今回は全員がそこそこおかしい人間として設定されているため、コメディ演技が拡散されてしまっている。加えて、舞台俳優中心のキャスティングと、長回しを主体とした気取った演出のため、笑いが小さくまとまってしまい、セリフの面白さも伝わらない。

 少しは泥臭くなってもいいから、パワーのあるキャラクターを真ん中に据えて盛り上げてほしかった。気勢の上がらないままエンド・マークを迎える画面に、東京スカパラダイスオーケストラの演奏が虚しく響く。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「レミーのおいしいレストラン」 | トップ | 「オーシャンズ11」 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

映画の感想(は行)」カテゴリの最新記事