元・副会長のCinema Days

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「宝くじの不時着 1等当選くじが飛んでいきました」

2024-01-19 06:08:56 | 映画の感想(た行)
 (原題:6/45)これはダメだ。全然面白くない。ただし本国の韓国およびベトナムでスマッシュヒットを記録し、日本でも評判が良いようだ。今のところ、ハッキリとした否定的評価は見当たらない。これは、このコメディ映画のノリが肌に合わなかったのは私ぐらいだという証左だろうか(苦笑)。いずれにしろ、ここでは個人的なネガティブな見解を書き綴るしかない。

 北緯38度線近くで警備に当たる韓国軍の兵士パク・チョヌは、偶然手に入った一枚の宝くじが日本円にして約6億円の賞金に当選していることを知り小躍りする。だが突如強風が吹き、その宝くじは風に乗って軍事境界線を越え、北朝鮮の将校リ・ヨンホのもとへ飛んでいってしまう。ヨンホたちもこの宝くじが一等に当選していることを知るに及び、南北の兵士たちは所有権を巡って対立。共同警備区域のJSAで会談を開き、南側が換金するまでの間、互いに“人質”として1人ずつそれぞれの軍に紛れ込ませることで同意する。



 まず、この宝くじはチョヌが購入したものではなく、彼が拾得した物件に過ぎないというのは失当だ。要するに、これは(広義の)ネコババであり、話の発端が“その程度”であることに脱力してしまう。また、国境付近での軍事拠点であるにも関わらず、妙に雰囲気が緩い。北側には広報担当の若い女性将校がいたり、牧場や菜園などの施設まである。南側の士気もホメられたものではなく、緊張感のカケラも無い。

 ひょっとして“南北関係もこのようにソフトであれば良い”という願望を伴ったファンタジー路線を狙っているのかもしれないが、実際には相も変わらずミサイルを飛ばしまくっている無法国家を前にして、ファンタジーも何もないだろう。脚本も担当したパク・ギュテの演出は冗長で、繰り出されるギャグは過度に泥臭く、全てハズしている。少なくとも私は鑑賞中、一度も笑うことは無かった。ストーリーラインもピリッとしないが、終盤はますます要領を得なくなり、どうしてああいう結びになるのか納得できる説明は成されていない。

 コ・ギョンピョにイ・イギョン、ウム・ムンソク、クァク・ドンヨン、イ・スンウォンといったキャストは頑張ってはいるのだが、筋書きが斯様な有様なので徒労に終わっている感がある。それでもあえて興味を覚えた点を挙げると、まずヒロイン役のパク・セワンが可愛いこと(笑)、そして韓国では宝くじの当選金は換金時点で納税義務が生じることぐらいだろうか。

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