元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「L.A.ギャングストーリー」

2013-05-17 06:28:17 | 映画の感想(英数)
 (原題:GANGSTER SQUAD)ブライアン・デ・パルマ監督の「アンタッチャブル」(87年)に似た映画である。警察のはぐれ者グループのターゲットになるのが実在のギャングで、スタイリッシュな銃撃シーンがあるところも共通している。ただしクォリティとして「アンタッチャブル」には及ばない。ならば“単なる二番煎じ”として片付けて良いかというと、そうもいかないのだ。何しろこの映画は十分に面白いのだから(笑)。

 1949年のロスアンジェルス。マフィアのボスであるミッキー・コーエンは、腕っ節の強さと当局側に対する狡猾な買収工作により街を支配していた。こうした状態を打破すべく、市警本部長はジョン・オマラ巡査部長をはじめとする6人の特殊部隊を組織し、警察官の権限を逸脱した荒っぽい手段でコーエン一味に戦いを挑む。



 身も蓋も無いことを言ってしまうと、本作が好印象なのは“製作時期”が大きく関係していると思う。もしも「アンタッチャブル」の公開に近い時点で製作されていたら、あるいはカーティス・ハンソン監督の「L.A.コンフィデンシャル」(97年)の直後に作られていたら、完全に無視されていた可能性が高い。真っ当な(?)ギャング映画をあまり見かけなくなった昨今だからこそ、大きな存在価値を獲得したと言えよう。

 しかも、この映画には“時事ネタに少しでもコミットしよう”などという下心も無い。絵に描いたような単純明快さ、そしてまるで西部劇のようなキャラクター設定で、娯楽映画ファンを喜ばせることにのみ専念している。この割り切りの良さはポイントが高い。



 キャスティングも良い。ジョン・オマラに扮するジョシュ・ブローリンは直情径行型の面構えでギャングどもに睨みを利かせ、一見軟派な二枚目のライアン・ゴズリングは、いざという時にガッツを見せる。荒野のガンマンみたいなロバート・パトリックや、強面の本部長役ニック・ノルティの登場も嬉しい。ヒロイン役のエマ・ストーンは(こういう雰囲気のシャシンでは)少々可愛すぎるかもしれないが、作品に花を添えている。

 そして何と言ってもミッキーに扮するショーン・ペンが光っている。元ボクターという設定で、絞り込んだ肉体と凶悪な目付きでギャングのボスを怪演。終盤には(意味もなく)プローリンとの鉄拳ファイトの場面まで披露するというサービスぶりだ。

 お手軽コメディの作り手だと思っていたルーベン・フライシャーの演出は、今回はなかなかハードボイルドなタッチでテンポも良い。ケレンたっぷりの活劇シーンなど、力業も見せつけている。暖色系でまとめた画調やセンスの良い衣装等も見逃せず、けっこう見応えのある作品に仕上がった。観る価値はある。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする