元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「天国から来たチャンピオン」

2012-02-19 06:31:14 | 映画の感想(た行)
 (原題:Heaven Can Wait )78年作品。後に緩いドラマ(?)を連発するエレイン・メイが脚本に参加しているせいかキレ味やタイト感は不足していると思う向きもあるだろうが、これはこれでよく出来たファンタジー編である。41年製作の「幽霊紐育を歩く」(監督アレクサンダー・ホール)のリメイクで、主演はウォーレン・ベイティ。監督はバック・ヘンリーとベイティ自身が担当している。

 NFLの花形選手だったジョー・ペンドルトンが、スーパーボウルの前日に交通事故で死んでしまう。しかし、天国の“台帳”によれば彼はまだ50年もの寿命が残っており、この事故は新米天使のミスだったことが分かる。ただちに地上に戻ろうとするジョーだが、すでに彼の遺体は火葬されていた。仕方なくジョーは、妻とその情夫に殺されるはずだった大富豪レオの肉体に“間借り”することになる。



 死んだはずの人間が何かの拍子で地上に戻るという設定のドラマは数多く作られているが、本作は必要以上にシリアス路線は取らず、かといって軽佻浮薄なお笑いにも走らないという、良い意味での中庸をキープしている。

 演出には無理がなく、スマートで洒脱な印象も受ける。途中はラブコメ的な展開をも見せるが、それも悪くないアクセントになっている。ラストの処理は御都合主義かもしれないが、作品の性格上許される範囲だと思う。

 ベイティは好演。ヒロイン役のジュリー・クリスティーも魅力的だ。ジェームズ・メイソンやジャック・ウォーデンのベテラン勢も良い。特筆すべきはウィリアム・A・フレイカーの撮影による透き通るような色遣いと、とデイヴ・グルーシンのジャジーな音楽で、作品に格調の高さを与えていた。なお、2001年に監督 クリス・ワイツとポール・ワイツの手によって再びリメイク版が作られているが、かなり評判が悪い(私は未見)。何でもその映画では主人公はスポーツ選手ではなくコメディアンになっているそうで、それだけでも面白くなさそうだ(笑)。
コメント
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